原題:『PITY』
監督:バビス・マクリディス
脚本:バビス・マクリディス/エフティミス・フィリップ
撮影:コンスタンティノス・ククリオス
出演:ヤニス・ドラコプロス/エヴィ・サウリドウ/マキス・パパディミトリウ
2018年/ギリシア・ポーランド
オフビートの「悲劇」について
主人公は事故で昏睡状態で入院している妻を持つ弁護士で、毎朝号泣している有様なのだが、毎日お見舞いに行きながら近所の住人が焼きたてのケーキを届けてくれたり、クリーニング店の店長にサービスされたり、秘書に気を使われたりしている内に、このような「悲劇」が快楽に変わってきて、BGMでさえ派手にオペラが流れる。
ところが妻が奇跡的に回復した後、それまでの周囲の人々の温かな配慮が一気に引いていってしまい、逆に「悲劇」を感じてしまうようになる。何とか涙を流そうとするものの、悲しいことが無いのだから泣けるはずもなく、飼い犬を船に乗せて海の中に捨てて、行方不明になったということで家族総出で探すのだが見つかるはずもなく、だんだんと弁護士は精神のバランスを失ってしまう。壁に掛けていた絵画を穏やかな海辺の風景から嵐に見舞われている帆船に変えて、ヘビーメタルをBGMに自ら「悲劇」を作り出すのだが、それを具体的に書く事は野暮というものであろう。
登場人物はアキ・カウリスマキ監督の作風のように機械仕掛けのような感じだが、それが新進監督の技なんか限界なのか微妙なところではある。
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