原題:『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』
監督:金子文紀
脚本:宮藤官九郎
撮影:山中敏康
出演:岡田准一/櫻井翔/岡田義徳/佐藤隆太/塚本高史/内村光良/ユンソナ/古田新太
2003年/日本
余命の限定で輝く青春について
世紀が変わった後に、改めて青春映画を撮ろうとする時に、既成の作画を試みても既成の感動しか得られないということぐらい宮藤官九郎ならば十分に承知しているはずで、それならば敢えて「野球の試合」というフォーマット内で過去の作品の引用に徹する中、まさに「弾ける」ものこそが感動につながる可能性に賭けているように見える。
木更津キャッツアイのメンバーたちが相変わらずふざけている「裏」で、死んだはずのホームレスだったオジーに特殊メイクでなりすまし、刑務所から出所して来たばかりの「微笑みのジョージ」は自分の偽札作りの邪魔をする木更津キャッツアイのメンバーたちの殺害に暗躍する。孤島にアマゾネス軍団を登場させ、ラストで出現する「ゴミンゴ」は『ゴジラ対ヘドラ』(坂野義光監督 1971年)のヘドラをモチーフにしたものであり、 船越英一郎が演じたモー子の父が笛を吹いてゴミンゴをコントロールするシーンはウルトラマンタロウの笛吹き怪獣「オカリヤン」がモチーフなのだろうか? 散々な目に遭いながら余命半年を過ごしてしまった「ぶっさん」こと田渕公平が主治医に再び「あと半年」としか言われないのであるが、あやふやでありながらこの余命の限定こそ青春を謳歌する唯一の方法ではないのだろうか。