MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『別れる決心』

2023-03-03 00:58:04 | goo映画レビュー

原題:『헤어질 결심』 英題:『Decision to Leave』
監督:パク・チャヌク
脚本:パク・チャヌク/チョン・ソギョン
撮影:キム・ジヨン
出演:パク・ヘイル/タン・ウエイ/イ・ジョンヒョン/コ・ギョンピョ/パク・ヨンウ/キム・シニョン
2022年/韓国

国境を越える作品について

 主人公の刑事のチャン・ヘジュンと介護施設で働くソン・ソレが出会ったのは、ソレの夫が登山中に転落死をしたことがきっかけである。ソレは中国出身で韓国語が母国語ではないために、韓国語での取り調べは難しいのではないかというのは昔の話で今はスマホの翻訳アプリがあるから便利になったものではあるが、それでも誤解は生じていて、例えばソレが夫を殺害した犯人であることを隠蔽したことでヘジュンが「自分は崩壊した」と言ったことに対して、そばで聞いていた中国人のソレは中国語で「愛している」と聞こえたらしいのだが、ここのニュアンスは日本人には分かるはずもなく、日本語字幕でも説明はないのだが、ヘジョン本人が「僕がいつあなたを愛してるって言いました?」とソレに問いかけているところを見ると、韓国人でさえも分からないのかもしれない。しかしソレは(もちろん韓国語の)崩壊という言葉を調べて「崩れて壊れる」という意味だと知ったのだから、ここのニュアンスはやっぱりよく分からない。
 それ故に、舞台がプサンからイポに変わった後半になってヘジュンがまたソレに出会ったときの驚きは想像を絶するものであったろう。「自分は崩壊した」と口走ったヘジュンはソレに「スマホを海の深いところに捨てて。誰にも見つからないように。」とも言っていたのだが、ラストシーンを見てから思うことは、ヘジュンの韓国語に対するソレの解釈なのであり、当然それは翻訳アプリで解決できるようなものではないのである。
 それにしても映像は韓国製であるにも関わらずヨーロッパ作品のようなテイストで、敢えて言うならば『気狂いピエロ』(ジャン=リュック・ゴダール監督 1965年)のような雰囲気を放っていると思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/hominis/entertainment/hominis-hominis-media-2023-2-10181


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