MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『俺はまだ本気出してないだけ』

2013-06-18 22:06:48 | goo映画レビュー

原題:『俺はまだ本気出してないだけ』
監督:福田雄一
脚本:福田雄一
撮影:早坂伸/工藤哲也
出演:堤真一/橋本愛/石橋蓮司/生瀬勝久/山田孝之/濱田岳/水野美紀
2013年/日本

自由という「感染力」

 主人公のバツイチの大黒シズオは、42歳で「自分探し」のために会社を辞めてみたものの、具体的な目標は持っておらず、朝からサッカーのゲームを楽しんでいる有様なのだが、ある日、本屋で立ち読みをしていた際に、突然の‘天啓’により「ファーストキッチン」でバイトをしながら漫画家を目指すことになる。
 このシズオの楽観性は意外と‘感染力’が強く、シズオ本人は漫画家としてなかなかデビュー出来ない状況にあるにも関わらず、相談にのっていた幼馴染の宮田修まで会社を辞めてシズオのバイト仲間の市野沢秀一を誘ってパン屋を開業することになり、シズオを担当していた「中学館」の編集者の村上政樹も会社を辞めてしまい、シズオの一人娘である高校生の鈴子までも風俗で働くようになる。
 一人の男により周囲の人間がおかしくなっていくストーリー展開は『テオレマ』(ピエル・パオロ・パゾリーニ監督 1968年)を想起させるが、何故シズオが会社を辞めることになったのか、あるいは何故シズオが妻と離婚し、鈴子を引き取って一緒に暮らすことになったのか、ストーリーの核心が描かれていないために物語に深みが無く、『HK/変態仮面』(2013年)のような突き抜けた笑いも無く、『コドモ警察』(2013年)のような‘物悲しさ’も無く、中途半端な感じは否めない。少なくとも本気を出し続けているにも関わらず、くすぶっている人たちにとっては何の参考にもならない。


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バブル世代の政調会長

2013-06-18 00:38:15 | Weblog

「原発事故による死亡者は出てない」自民・高市政調会長(朝日新聞) - goo ニュース

 「事故を起こした東京電力福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況

ではない。安全性を最大限確保しながら活用するしかない」と原発の再稼働を目指す方針

を改めて強調し「原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働している間のコスト

は比較的安い」と語ってしまう自民党の高市早苗政調会長は相変わらず目先の利益に

しか興味が持てないように見える。もちろん“事故によって死亡者が出ている状況”ならば

原発の再稼働などありえないが、死亡者が出ていなくても健康被害を被っている人たちが

多数にのぼるかもしれないという将来に起こり得る危機に対する意識の欠落、あるいは

“稼働している間のコストは比較的安い”という開き直りには唖然としてしまい、やはりバブル

時代に培われた“楽観性”は死ぬまで治りそうにはない。

 


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『遠くでずっとそばにいる』

2013-06-17 21:59:51 | goo映画レビュー

原題:『遠くでずっとそばにいる』 英題:『Far Away, So Close』
監督:長澤雅彦
脚本:狗飼恭子
出演:倉科カナ/中野裕太/伽奈/清水くるみ/徳井義実/六角精児/岡田奈々
2013年/日本

「印象派」から「ラファエル前派」へ

 2013年7月、交通事故の後遺症で記憶障害が残り、10年分の記憶を失ってしまった27歳の主人公である志村朔美が病室から抜け出すと、タバコを吸っている見知らぬ男がいる。その男は谷口工務店を営んでいる谷口正之であることが分かるのであるが、問題なのは2人がいる場所に掲げられているモネの「睡蓮」の絵画である。実は朔美は学生時代に美術部に所属しており、義理の妹である志村美加がボートに乗りながら、まるでジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」、あるいはアーサー・ヒューズの「シャロットの女」のように睡蓮のある水辺を流れるシーンを挟んで、朔美は、一見するならば「睡蓮」が描かれているような作品の全体の半分を見つけ出す。やがて1年半前に付き合っていた男性と一緒に乗車していたクルマで交通事故に遭遇し、男性を亡くしていたことを知る。その男性が残りの半分を持っており、合鍵を持っていた朔美が男性の部屋に入って2つの絵を合わせてみると、その絵は大空をメインに描いた風景画だった。つまり「睡蓮」のように見えていた絵は雲が湧いている青空だったのである。
 わざわざモネの名前を朔美に言わせたことから、印象派の光学的な部分をテーマに扱うのかと思いきや、「睡蓮」を「青空」に変換したことで、それは「蓮」から「天国」という説話論的に処理されることになるものの、この意表をついた演出はラストで空を見上げる倉科カナの美しさも手伝って決して悪いものではないと思う。


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奇妙な平均反発係数の検査

2013-06-17 00:12:23 | Weblog

11、12年統一球は飛ばなすぎ…NPB調査(日刊スポーツ) - goo ニュース

 平均反発係数の検査というものは、2011年に4回、2012年に3回行われている。

2011年5月9日の第一回目の検査の平均は、下限の0.4134を下回る0.411という

数字が出ており、この時点で製造メーカーのミズノに改善を促すべきなのであるが、翌月の

6月29日の第二回目も同じ0.411という数字で、9月8日の第三回目は0.408と寧ろ

数字が悪化してしまっており、驚くことに10月12日の第四回目は0.405とさらに悪化

してしまっている。製造過程において改善の難しい技術的な問題もあるだろうから百歩譲る

として1年かけて2012年の検査では良くなったのかと思いきや、4月11日の第一回目の

検査の平均は、0.409、6月18日の第二回目は0.411、8月17日の第三回目は

0.406といずれも下限を下回っている。今年になってようやく4月11日の第一回目の検査

の平均が0.416、6月7日の第二回目も0.416と安定した数字になっている。一体この

検査結果が何を意味するのかよく分からないのであるが、今年になって急に統一球が飛ぶ

ようになったという噂は早々に出ていたのだから、日本野球機構のコミッショナーであり、

統一球導入の最高責任者でもある加藤良三が「知らなかった」ということは日本プロ野球

そのものに興味が無いということであり、野球に興味を持っていない人が実質を伴わない 

“名誉職”のような感じでコミッショナーになってしまうからこのような問題がおこるのである。


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『インポッシブル』

2013-06-16 21:21:21 | goo映画レビュー

原題:『The Impossible』
監督:J・A・バヨナ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス
撮影:オスカル・ファウラ
出演:ナオミ・ワッツ/ユアン・マクレガー/トム・ホランド
2012年/スペイン

人種と経済の関係性

 イギリス人の医師であるマリア・ベネットとスコットランド人で仕事で日本に出張している夫のヘンリーがルーカス、トーマス、サイモンの3人の息子を連れて2004年のクリスマス休暇を過ごしたタイのリゾート地で遭遇した、スマトラ沖で起こった大地震により発生した巨大津波が巻き起こす物語は「白人優位」という批判が見受けられるが、これは人種の問題というよりも経済力の問題と捉えるべきであろう。もちろんタイトル通りに「ありえない出来事」が度重なる幸運により可能になったことは全くの偶然であるにしても、マリアが自身の判断で現地の医師に抗生物質を注射させたことは、医師としての知識があったためであり、一方、携帯電話を巡る静かなる‘攻防’において、ヘンリーが携帯電話を借りることが出来た理由は、他の被災者たちにはヘンリーのように助けを求められる相手がいなかったように見える。電話を受けたヘンリーの父親が手配したからこそ保険会社が用意したベネット一家専用のチャーター便で一家は助かったのである。もしも経済的に余裕がなければ、父親と離れ離れになったトーマスとサイモンのように他の被災孤児たちと一緒にトラックでまとめてどこかへ連れ去られた可能性もあったはずで、2人は寸前のところでルーカスとヘンリーと再会でき、両親の‘経済力’のおかげで助かったのである。


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日本の“ミドル・エイジ”

2013-06-16 00:30:18 | Weblog

日本の人権大使、国連委員会で苦笑に「黙れ」(読売新聞) - goo ニュース
日本の大使が「シャラップ!」=国連拷問禁止委で暴言(時事通信) - goo ニュース

 日弁連代表団の一員として会場にいた小池振一郎弁護士によると、アフリカの島国である

モーリシャス代表が、取り調べ時に弁護士の立ち会いを認めない日本の司法制度を「中世

のものだ」と批判した事に対して日本政府代表として出席した上田秀明人権人道担当大使

が「この(刑事司法)分野で日本は最も先進的な国の一つだ」と反論したところ、会場から

苦笑が漏れ、怒りのあまり上田大使は、「笑うな。なぜ笑うんだ。シャラップ、シャラップ」と声

を上げたらしい。英語で複数形の「ミドル・エイジズ(中世)」とすべきところ、単数形で

「ミドル・エイジ(中年)」と発音したために、「日本は中年でない」と言ったと受け取って笑った

人もいたとみられるようだが、国連の委員会のような場で「シャラップ」のような乱暴で非礼

な表現を使う事は語学力以前の非常識だし、何よりも、日本の取り調べにおいて、“容疑者”

に対して「シャラップ」と言って脅して黙らせていることを身をもって証明してしまっており、

“ミドル・エイジ”が日本の司法制度の“ミドル・エイジズ”を暴露しているところが情けない。


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『キャスト・アウェイ』

2013-06-15 23:55:29 | goo映画レビュー

原題:『Cast Away』
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
撮影:ドン・バージェス
出演:トム・ハンクス/ヘレン・ハント/ニック・サーシー/ジェニファー・ルイス/クリス・ノース
2000年/アメリカ

時間概念の変化について

 運送会社フェデックスで管理職の立場に就いている主人公のチャック・ノーランドは職業柄のせいなのか病的と言えるほどに時間厳守を従業員にも求めており、それは自国民のみならず、‘お国柄’など関係なかった。そのような性格のノーランドが、問題が発生したマレーシアに向かうために自社の貨物機に同乗中に、嵐による墜落事故に巻き込まれ、奇跡的に無傷で生き残ることができたのであるが、南太平洋の無人島に一人で約4年間取り残されることになる。
 それまで効率よく時間を使っていたノーランドにとっては火を起こすだけでも大変な時間と身体的ダメージを伴う労力を使うことになるだけでも我慢ならなかっただろうし、孤独な4年間で人生観が変わってしまうことは容易に察しがつく。特に、自家製の筏を作って無人島からの自力での脱出を試み、運良く大型貨物船に発見され帰国したものの、既に自分は死んだものと見なされ、婚約者だったケリー・フレアーズが歯科医と結婚し、子供までいたことを知った時、「何故そんなに急いだんだ」と自分のことを棚に上げて憤慨したに違いない。
 ノーランドはやり残していた仕事を果たすために、小包を届ける。あいにくそこの住人は不在だったために、ノーランドは感謝の意を伝えるメッセージを残して家を後にする。十字路で行き先を思案していたところにクルマが通りかかり、女性が降りてきて、それぞれの道の向かう先を教えて、先ほどノーランドが訪れた家の方へ向かってクルマで去っていく。彼女のクルマを見送りながら、それでもノーランドはもはや昔のように急ぐこともなく、相変わらず周囲を見回しながら、自分が書いたメッセージを見た彼女が戻ってくることを期待しつつ待っているのであるが、作品の冒頭で、彼女がフェデックスで送った小包をロシアで受け取った彼女の夫に愛人といるところを目撃してしまっている観客は、ノーランドと彼女とのハッピーエンドを確信することになるのである。
 エンドクレジットにはドアーズの「ハートに火をつけて(Light My Fire)」が最後の曲として載っているのであるが、何故か聞こえてこない。


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フランシスコの知性

2013-06-15 00:18:42 | Weblog

法王「出世主義はハンセン病」 WHO特別大使が遺憾表明(産経新聞) - goo ニュース

 英紙のカトリック・ヘラルドによると、3月に就任したローマ法王フランシスコは、今月6日、

バチカン市国で行われた教皇庁スタッフらの育成機関「教皇庁聖職者アカデミー」の演説に

おいて、出世主義をハンセン病に例えて批判し、内面の自由を得ることや教会の果たす

役割の重要性を説いたらしい。これはただ単にハンセン病に対する偏見だけの問題では

ないと思う。出世にがめついことが“見た目に悪い”という比喩としてハンセン病が選ばれた

わけなのだが、出世のための“政治活動”で時間を取られて内面を磨けないという意味なら

ともかく、“内面の自由を得ることや教会の果たす役割の重要性”と見た目の悪さは

相反するものではないのだから、これはハンセン病の問題以前にレトリックというものを

解していないフランシスコが抱える知性の深刻な問題なのである。


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『エイリアン』『エイリアン2』

2013-06-14 20:36:38 | goo映画レビュー

原題:『Alien』
監督:リドリー・スコット
脚本:ダン・オバノン
撮影:デレク・ヴァンリント
出演:トム・スケリット/シガニー・ウィーバー/ヴェロニカ・カートライト/ジョン・ハート
1979年/アメリカ

原題:『Aliens』
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
撮影:エイドリアン・ビドル
出演:シガニー・ウィーバー/マイケル・ビーン/ランス・ヘンリクセン/キャリー・ヘン
1986年/アメリカ

「シネマスコープ」と「ビスタサイズ」

 『エイリアン』を話題にするとどうしてもシガニー・ウィーバーが演じた主人公のエレン・リプリーとエイリアンの対決から暗示させる「フェミニズム」の話になりがちなのであるが、ここでは「一匹のエイリアン」から「複数のエイリアン」に移行する際のジャンルの変化に注目してみたい。
 『エイリアン』の冒頭のシーンは惑星やスペースシップを登場させることで、SFホラー映画に相応しいオープニングだと言えるのだが、『エイリアン2』はなかなか宇宙そのものを見せようとしない。娘のレベッカも同乗していたジョーダン一家が乗っている探査車も、撤収したリプリーたちを救うために操縦士のコレット・フェッロが搭乗したドロップシップ機も‘宇宙色’が感じられず、寧ろ‘宇宙色’を排除してBGMにマーチを流すなど徹底して戦争映画を装う。
 何故リドリー・スコットがSF映画として始めた作品の続編をジェームズ・キャメロンは戦争映画に作り変えてしまったのかが大きな疑問として残る。その上、後に『タイタニック』(1997年)や『アバター』(2009年)など映像に拘った作品を発表するジェームズ・キャメロンがシネマスコープで撮られた『エイリアン』の続編をわざわざヴィスタサイズで撮っていることも不思議である。
 あくまでも想像の域を出ないのであるが、1986年当時のシネマスコープサイズの映像の質にキャメロンは納得出来なかったのではないだろうか。精度の低い画質でSF映画を撮るよりも、敢えて画質の荒いヴィスタサイズで戦争映画を撮り、リアリティを追求することでキャメロンは映画そのものの質の高さを維持することを選択したのだと思うのである。


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クソみたいな奴とツイッター

2013-06-14 00:04:20 | Weblog

復興庁幹部ツイッターで暴言、市民団体に「左翼のクソども」 処分検討(産経新聞) - goo ニュース
庄司智春、Twitterアカウント削除「SNSと言うモノに若干疲れました」(ORICON STYLE) - goo ニュース

 復興庁で福島県の被災者支援を担当する水野靖久参事官はツイートの真意をただした

毎日新聞の取材に「個人でやっている」「記憶にない」とだけ繰り返し、コメントを拒否し、

その直後、ツイッターのアカウントを削除したようだ。批判を受けて削除するくらいの信念

しかないのであるならば、最初からツイッターなどに関わらなければいいと思うのだが、削除

してしまっては惜しいと思われる部分を6月13日付毎日新聞からいくつか引用しておこう。

「労働者の党が通告を出さないため、多数の労働者が深夜残業なう」(12年10月31日)

「(国会議員の質問通告が来るたび)4問被弾。あー面倒」(同年11月1日)、「釣銭詐欺

(タクシー運転手から余分な釣り銭を受け取ったとする女性国会議員のツイートを引用して

評論)」(同年11月16日)、「皆で福島に行ってしまえば、議員対応も法制局対応も主計

対応もできなくなるから、楽になりそうだ」(2013年1月9日)、「某党本部内でビールを飲む

など」(同年1月21日)、「我が社の大臣の功績を平然と『自分の手柄』としてしまう某大臣

の虚言癖に頭がクラクラ」(同年2月6日)、「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせ

られる集会に出席。不思議と反発は感じない。感じるのは相手の知性の欠如に対する

哀れみのみ」(同年3月7日)、「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに曖昧

なままにしておくことに関係者が同意しただけなんだけど、こんな解決策もあるということ」

(同年3月8日)、「今日の最も重要なお仕事は某党本部の冷蔵庫に缶ビールを補充する

など。その大半は自分で消費するんですが...」(同年3月13日)、「国会議員相手に失礼

なことを言い過ぎたとちょっと反省。まあ、いいか...」(同年3月19日)、「ドラえもんの通告

が遅い件」(同年4月2日)。お笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春も12日に、ツイッター

アカウントを削除した。原因は「クソみたいな奴がまだ存在して」いるからだそうで、それが

誰かは改めて言うまでもないだろう。


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