金亀公園を通り三の丸橋を渡った。それから湖周道路に出て北東に進み、コンビニの横の小道に入ると松林が見えた。そして波の音がかすかに聞こえてきた。

最初、琵琶湖には穏やかな印象を受けたが、強い風が吹きつけると一転して荒々しい様相を呈した。それにもめげず松原の水鳥はスイスイと泳いでいた。
晴れているとは言っても顔は引きつり、自然と目が細くなる。厚着をして来たのは大正解だった。近江人はこの厳しい自然の中で知恵を絞って生きてきたことを悟った。

暫く湖畔を散歩し矢倉川の標識を確認して折り返した。遠方にそびえる城迄は30分以上歩かなければならないと思った。その時、「近江名物」と太字で書かれた看板が目に入ったのである。
「これか…。せっかくの機会だから試してみよう」
