寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

10年振りの鮒ずし(後編)

2008年01月28日 | 食材

かねやす】のお母さんに教わった鮒ずしの楽しみ方をご紹介しよう。非常に簡単な料理(吸物)である。茶碗に頭と尾を入れて、お湯を注いで3分待つだけ。

じわじわと脂が浮いてくる。箸で頭を崩して汁を吸う。調味料は何も入れていないのに、上品で淡い旨味が出ている。

目と顎の周りのゼラチン質が熱によってグミのようにプルンプルンになるのが面白い。ちゃんとした吸物ができるのは驚きだった。ネイティブの意見は聞いてみるものだ。

鮒ずしのご飯を使った吸物

次に鮒を包んでいたご飯を種にして吸物を拵えてみた。スプーン1杯のご飯に薄めのだしを張る。するとだしにえもいわれぬ深い味わいが生じる。酸味が相乗効果によって高次元の旨味に変わるのだ。

鮒ずしは捨てるところのない立派な食材である。発酵食品の調味料としての大いなる可能性を私に示してくれた。

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10年振りの鮒ずし(前編)

2008年01月28日 | 食材

遥か昔に中国から伝わった熟ずしの製法を我が国で更に進化させたものが鮒ずしである。煮頃鮒(ニゴロブナ)のメスを原料として作る。鮒の鱗、エラ、ワタを取り除き真子だけを残して塩で漬け込み、ご飯と共に重石をしてゆっくりと乳酸発酵させた保存食だ。

鮒ずしのビニル袋をハサミで切るやいなやプーンと臭ってきた。鼻が45°回転したかのような刺激だ。鮒に付着したご飯を箸でかき集め、皿に盛った。

ニゴロブナと江州米

出刃包丁で頭と尾を切り離す(これで一品作るので取っておく)。そして贅沢に5mmの厚さにスライスするとオレンジ色の真子が現れた。鼻が馬鹿になったのか、臭いが気にならなくなっていた。

滋賀の肴に広島の酒「酔心」を合わせた。ご飯は酸味の強いクリームチーズみたいで、これを舐めるだけで酒が飲める。鮒ずしはまず爽やかな酸味が口中に広がり、続いて摩訶不思議な旨味が舌を包み込む。この余韻を楽しみながら杯を重ねた。

スライスした鮒ずしの断面

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