「花園町遊廓」を代表する木造建築が大通りの北側(貸し布団店のある筋)に存在する。二階の壁に注目して欲しい。窓の上の壁が蝙蝠型にくりぬかれて後ろ側に障子が設けられている。

夜に灯りをともせば、大きな蝙蝠が羽を広げて飛んでいるように見えたことだろう。これを目印に男達が「悪所」に通う様子を思い浮かべた。「造形の規範になっているもの」として「有形文化財」に登録する価値はあると思う。

広大な敷地から見て相当数の部屋があったと考えられる。妓楼の一部は生け花教室になっていた。大通りの突き当たりを左に曲がり「簱崎神社」に参拝した。

旅をして「惹きつけられる町」と「そうでない町」があるが、私の米子市に対する評価は長野市同様に後者である。泥臭い印象は今回も払拭できなかった。
「もう二度と訪れることはないだろう」
そんな捨て台詞を残して次の目的地に移動した。
