青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

真夏の近江熱風録 浴衣姿と蒲生野と編

2013年07月28日 00時45分49秒 | 近江鉄道

(ギャラリートレインがやって来た@八日市駅)

八日市駅から、再び本線に戻り一路貴生川へ。近江鉄道の本線は米原から彦根~八日市~貴生川まで全長が47.7kmもあり、これは全国の地方鉄道(三セク系を除く)では有数の長さなんではなかろうか。富山地鉄の本線が電鉄富山~宇奈月温泉で53.3kmだからそれに次ぐくらいなのかなあ。地元の小田急線で換算すると新宿から愛甲石田くらいまでの距離と考えるとこれはなかなかの長さ。現在は普通列車の運行しかないので、全線を通しで乗ると1時間半程度かかる。既に時刻は午後2時半、日没は長いので大丈夫だと思いますが、とりあえず先を急ぎます。留置されているコカ・コーラ編成の向こうからやって来るのは貴生川行きギャラリートレイン805編成。

  

八日市から出ると八日市線を右に分け、貴生川までは蒲生野と言われる東近江の穀倉地帯を走って行きます。長谷野、大学前、名神高速をくぐって京セラ前からはほぼ真っ直ぐに進路を取り、桜川、朝日大塚、朝日野と車窓の景色は至って変わらず、ただひたすらに夏の日差しの田んぼの中をゴトゴト、ゴトゴト、ひねもすゴトゴトと行くのみの電車。乗客はまばらな静かな車内で、早朝からの行動の疲れかうつらうつらと眠くなって来る。そのまま体ごと夏に溶けて行きそうだ。

  

八日市~貴生川間では乗客の流動も極端に下がり、さながら雰囲気は閑散線区の様相を呈して来る。日野で上り列車と交換。八日市から先は、基本的に日中は日野駅で上下列車が交換するダイヤのようです。交換相手は単車の220型ですが、そのくらいのボリュームの乗客しか乗らないと言う事でしょうか。日野を出るとお隣の水口松尾までは4.9kmと線内で最も駅間距離が長く、低い分水嶺を清水山トンネルで越えて行く。このトンネルの坑口がまた優良物件で、レンガの門柱に矢羽のように伸びた迫石がいかにも明治のトンネルらしい。トンネル内の漏水がひどく、列車は通過時に制限20がかかっており実に慎重に歩みを進めて行きます。トンネルを出ると水口(みなくち)の市街に向けて下りとなり、夏草の線路をカーブしながら走るガチャコン電車。

  

水口松尾、水口、水口石橋、水口城南の水口四兄弟に丁寧に停車した後、貴生川を渡って大きく左にカーブすると、右からJR草津線の線路が近付いて来て終点貴生川に到着し近江鉄道完乗。ここは滋賀県甲賀市になりますが、北陸の雰囲気を感じた始発駅の米原と比べると、なんかこう…関西だなって感じの空気感がありますね。しっかしここまで乗って800円たあ1デイ・スマイルチケットのコスパたるやはかり知れんw


貴生川からは、信楽高原鉄道が信楽へ向けて伸びています。元国鉄信楽線の三セクですが、1991年に列車同士の正面衝突による大惨事(信楽高原鉄道列車衝突事故)を起こした事は皆さんの記憶にも残っている事かと思われます。現在も信楽までの盲腸線にとどまっている信楽高原鉄道にも、行政の方には近江鉄道と信楽高原鉄道を繋げた上で京阪神方面へ路線を延伸する構想(びわこ京阪奈線構想)があるらしいですな。鉄道版京滋バイパスみたいな雰囲気もあるのだが、事業化には相当の時間がかかるものと思われます。あ、画像の後ろの方に不気味な緑一色の車両が写ってますが、気になさらぬようにw

 

近江鉄道の貴生川駅のホームは1面2線。到着したホームの反対側には、夕方から日野までのシャトル往復に充当される225型が留置中。小さな体の全面に「おーいお茶」ラッピングを施しておりますが、気のせいか近江鉄道全線に亘っても伊藤園のベンダーが多かったような(笑)。近江鉄道の重要スポンサーの一つなんでしょうかね。

 

貴生川からは乗って来たギャラリートレインに再乗車。高宮~貴生川の本線筋は日中1時間ヘッド、そして距離も長いとなるとなかなか途中下車してあれこれとしている時間もないのが正直なところ。本当ならば蒲生野の豊穣な稲田の風景なんかをバックにちょっと撮り歩いたりとかしてみたかったんだけどなあ。帰りもきっちり日野駅で交換する上下列車、今度の対向は朝一番で乗った検診ラッピング@801編成でした。近江鉄道標準の、運転席を頂点として上下が中線を挟んで互い違いになるホーム配置の日野駅。構内踏切を渡ってお出掛けの女子高生2人組、歩みを合わせてウォーク・オン・ザ・レイル。


日野を過ぎ、八日市に向けて徐々に増えて行く乗客。びわこ学院大学の最寄り駅である大学前駅でサークル帰りの大学生がドドッと乗車、八日市線でも気になってたけど、今日はいやに浴衣姿が目立つ。ちょうどこの週から夏休みだし、沿線のそこかしこでお祭りでもやっているのだろうね。そんな華やかな祭りの日の近江鉄道、浴衣姿の若い娘の盛り髪あでやかに西日の蒲生野を走ります。

まだまだ続く。
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