ヘッドは取り敢えず組み上がった。
真っ先にやるのはバルブクリアランスの調整である。
XR250に乗っている人で、もしもバルブクリアランスの調整をやった事が無いという人は是非ともやった方が良いです。ロッカーアーム式のキモだし、何つっても金が1円も掛からない(シックネスゲージとマイナスドライバー、10mm&12mmのメガネレンチは必要。シックネスゲージはマトモなのを買っても1000円~2000円。マイナスドライバーは安物でも十分だが、メガネレンチが無いからといってスパナはやめた方が良い)。
ううう、俺のシックネスゲージ、錆びてるう! PBのマイナスドライバーも錆びてる・・・。
どうもこのRFVCという大袈裟なシステムに疑問があり、ロッカーアーム周りを少しでも軽く動く様に出来ん物かと、タペットアジャストスクリューのロックナットをチタンナットに替えれないかと思ったのだが(いつも行くネジ専門店でチタンのねじを売っている)、残念ながら細目である。しかもIN側は7ミリ。用事があって店に行ったついでに念の為聞いてみたが、流石に置いてないそうだ。もしかしてモンキーあたりと共通部品だったりすればタケガワがリリースしてないかチョロっと調べたが、モンキーエンジンのはもっと径が小さい様だ。
仕方ないので次。
バルブタイミングを測る。問題はHOTCAMの標準値が不明な事だが、取り敢えず計測開始。
XR250はダイヤルゲージのセットが非常にやり難い。ヘッドカバーがカムシャフトホルダーも兼ねている上に、ヘッドカバーにロッカーアームが付いている。故にヘッドカバー等を全て組んだ状態でなければ測れないのは当然だが、ダイヤルゲージの先っちょをセットする所が無い(サブロッカーアームの上だとリフト量が判らないので不可)。針金でダイヤルゲージのシャフトを延長して作業開始したが、どうにも上手く行かない。結局四苦八苦しつつリテーナーに直接載せて何とか・・・。一箇所セットするのに何度もやり直しつつ、4本のバルブを全て測ってみた。
が、何故か規定値に対して作用角が少し足りない。リフト量はほぼ規定値を出しているのだが?
真っ先に考えたのはバルブクリアランスが正しくない(大きい)という事だが、もしもそうだとすればリフト量も規定値がでていない筈である。
作用角は通常であればリフトし始めて1mmの所から、閉じてきて最後の1mmまでで計測する。正確な理由は知らない・・・多分、リフトし始めと終わりでは、リフターに対してのカム山が(XRの場合はロッカーアームに対してのカム山)非常に深い角度から接触するので、ちょっと狂っただけで結果にかなりの差が出てしまう事と、1mm位の開きだと実質開いてない状態に近いからではと思っている。
で、ダイヤルゲージはバルブの動きと全く同じ向きにセットしなければ正確な測定結果が出ない。勿論極力同じ向きになるようには努力しているのだが、チョビッと傾いただけでクランク角にして数度の誤差が出てしまい、1mmリフト位置が違ってしまうのだろう。
計測した数値から推察するに、恐らくHOTCAMのカムプロフィールは以下の通りであろう。※正確性は保障しません!!!
もしもこの推測が正しいとすれば、バルブ開き始めの1mm、閉じかけの1mm時点がほぼ均等にズレているので、心配していたバルブタイミングの遅れは無い。実はカムシャフト組み付け時、カムスプロケット側から見てスプロケを極力左に回した位置でノックボルトを締めた・・・まあ、気分の問題だと思いますが(爆)。※実際7mmのピンに対して7.1mmの穴だったので、0.05mmずらしてもカムタイミングは0.25°も変わらない。
コレだけの結果が出せていれば安心だ。
・・・それにしてもXR250って、エラくオーバーラップが小さいですな。HOTCAMに変更しても、数値的にはKLXよりも随分大人しい。参考までにKLX250のプロフィールは以下。
■IN開き 22°BTDC
■IN閉じ 62°ABDC
■EX開き 61°BBDC
■EX閉じ 19°ATDC
KLXに抜かれても、この辺りを言い訳に出来そうです(爆)。
俺がこの世の食い物の中で一番好きなのは、チョコレートである。
甘くて、それでいて苦くて。ポリポリ噛んで食べても良いし、じっくり舌の上で溶かして食べるのも良い。
ちょっと腹が減ったな、なんて時はチョコレートをひとかけら口に入れれば、かなりの長時間持ちこたえる事もできる。
空腹感を紛らすのみでなく栄養価も高いので、冬山で遭難した人が、持っていた板チョコを少しずつ食べて救助隊の到着を待ち、遂には無事生還した!・・・なんて話もあるくらいなのである。
近年では「チョコレート効果」等という商品まで産まれ、その効能に注目が集まっている。具体的には・・・
●ストレスの低減
●虫歯の防止
●病気や傷の治癒能力の向上
●動脈硬化の抑制
●がんを抑制できる可能性
などなど・・・。
ちなみに、チョコレートの規格が定められており、
●チョコレート=チョコレート生地そのもの、又はチョコレート生地60%以上の物
●準チョコレート=チョコレート生地60%未満の物
●チョコレート菓子=準チョコレート生地60%以上の物
●準チョコレート菓子=準チョコレート生地60%未満の物
以上の「チョコレート生地」の定義としては
■チョコレート生地 カカオ35%以上
■ミルクチョコレート カカオ21%以上
■準チョコレート カカオ 15%以上
■準ミルクチョコレート カカオ7%以上
と分類されるのだそうだ。「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」の分類と似て、パーセンテージそのものは食べるだけの人間にとっては無意味だが。
ここのところは「カカオ100%」とか「カカオ99%」という商品が目に付く。稀にウマイ物もあるが、その殆どはチョコレート好きの俺ですら眉間に皺が入る味である。
さて、ワイン等では、その道の通は高級品に拘ったり魅せられたり・・・と聞く。
だが俺は○○産で△△というメーカーが作った□□というブランドの、等とは拘らない。平気でコンビニ等で入手した物を食べる。
その中で発見したのがコレ、カバヤ食品の「あっさりショコラ苺」である。
カバヤ食品といえば、我々の世代では「BIG1ガム」が特に有名であろう。箱の中身の大部分はプラモデルで占められ、申し訳程度に入ったガム。プラモデル欲しさに商品を購入した少年がガムを捨ててしまったりして社会問題(社会問題としてはビックリマンチョコの方が有名か)にもなった。
古株商品は「ジューC」。円筒状の紙容器に入ったラムネ菓子(赤血球みたいな形の)物。「ゴールドチョコレート」なんてのもあったなあ(パッケージは変更されたが今もラインナップに入っている様だ)。
個人的に印象深いのは「マスカットキャンデー」かなあ。高級果物の味を家庭へ・・・みたいなコンセプトだったらしい。子供の頃にオフクロが良く買ってきてた。連続して何個も食べると何故か舌が切れた。
現在も玩具菓子やキャラクター物の路線と、ミディアムアッパーな路線の二本立てで商品展開されている印象であるが、取り立てて人気商品と呼べる存在は無い様だ(スミマセン)。
件の「あっさりショコラ苺」に初めて遭遇したのは確かまだ1件目に勤めた看板屋に在職中だったと思うので、少なくとも1998年には既に販売されていたと記憶している。
当時は袋に「冬季限定」と謳われており、一般的なアルファベットチョコよりも金額的にも高めの印象だった。毎年冬のたびに買いあさって食べてきたのだが、何故かここ2~3年は身近に売っている店が無く(カバヤのHPを見て、販売は継続しているのは知っていた)困っていたのだが、遂に店頭に並べられている所を発見。以前は袋に印刷されていた「冬季限定」の文字は消えている。とりあえず3袋購入。
現シリーズには「あっさりショコラ」、「あっさりショコラ苺」、「ピュアショコラ」とある。また以前は「あっさりショコラバナナ」もあったと記憶している。
この中で一番完成度が高いと感じるのが「あっさりショコラ苺」である。チョコ本来のほろ苦さは影が薄いが、抑えられた甘さと、サラリと溶ける食感によって次々と手を伸ばしたくなる。
そんな訳で俺のXR250には「KABAYA」のステッカーが貼られている。
サイズを間違えて用意していたカムシャフトベアリングの正しい物が入荷した(仕事の仕入先に取り扱い業者があるので、そこに頼んでいる)。
やっと組める・・・。
ベアリングが無い間にHOTCAMの説明書(当然全部英語)を熟読していたのだが、何故かバルブクリアランスの指定がXR250のサービスマニュアルによる指定よりも少々大きい事に気が付いた。
純正の指定は・・・
■IN 0.10±0.02
■EX 0.12±0.02
とある。
HOTCAMの指定では
■IN 0.13
■EX 0.15
となっている。
先日、入手後2年以上放置したHOTCAMを箱から出した時、ノーマルと比較・・・と思ってノギスで簡単に測定したのだが、もうちょっとマジメに測ってみた。
現物カムシャフトの測定結果は以下(マイクロメーターで測っている)。
何回も測定をし直した上で最も正しいと思われる数字であるが、ノーマルの方は中古であり、しかも焼きついていたエンジンの物。SM上の指定の基準値に納まっていたとは言え、あまり当てにはしない方が賢明かと思われる。
加えてノーマルとHOTCAMの双方共、比較参考にできるデータが記載されていない。
ノーマルで記載があるのは
○弁開閉時期
●IN開き 5°BTDC @1mm
●IN閉じ 35° ABDC @1mm
●EX開き 35° BBDC @1mm
●EX閉じ 5° ATDC @1mm
HOTCAMでは
○リフト量
●IN9.0mm
●EX8.7mm
○Duration(作用角)@1mm(1mmリフト時、大抵の場合コレが基準になる)
●IN236°
●EX236°
ノーマルカムの作用角は単純な足し算で求められる。IN、EX共に220°である。HOTCAMの236°というのは、一般的なチューニング用カムシャフトとしては大人しい数字だ。
ノーマルのバルブのリフト量の基準値が公表されておらず、俺自身ノーマルを仮組みしてまで測るのも面倒なので、ロッカーアームのレバー比を計算で導き出して机上の空論を展開。
先日はいい加減な事を書いてしまったが、その計算によれば思っていたよりもリフト量が増えるという結果が出た(間違っている可能性が高いので数字の公表は差し控えます・・・どうやって計算するのかは各自お考え下さいませ)。
単純に考えるとバルブクリアランスを基準よりも広く取った場合は、作用角が減り、リフト量も減る。カム山のベース径がノーマルより小さい事の相殺かと思ったが、どうも別の理由の様だ。
憶測ではあるが、恐らく実際にテストして導き出した数値ではと思われる。
仮組してあったタペットカバーだが、サブロッカーアームの動きが重いのが気になる。RFVCであるXR250は一般的なロッカーアーム方式とは異なり、INバルブ同士とEXバルブ同士が逆ハの字になっているので、バルブを真っ直ぐ押す為にロッカーアームが二重仕掛けになっている。ここまでしてRFVCに拘る必要があるんだろうか?
メインのロッカーアームの方はシャフトで支持されているだけだが、サブロッカーアームはウェーブワッシャーにてロードが掛けられているのでフリクションが大きい。なので万力で挟んで潰し、フリクションが軽くなる様にしてみた。
直接万力で挟むのもどうかと思ったので、鉄板二枚で挟み、鉄板ごと万力で潰した。簡単に平たくなってしまうかと思いきや、結構しぶとい。何度も仮組みして動きとクリアランスを確認しつつの作業。
写真は作業途中の物で、最終的にはもう少し平らに近い状態となった。
それと以前の記事で「銅ワッシャをオイルストンで研いで再使用」とか書いたのだが、スミマセン。その後OHガスケットセットに含まれている事が判明し、新品に入れ替えた。このガスケットセットの内容の管理が出来てなくて、既に結構無駄な買い物してしまっている。近い内に纏めてデータ化します。
カムシャフトを組む。
写真はMD30のスプロケの上にME08のスプロケを重ねた物で、180°反転させてもピッタリ重なる。ノックピンの様なボルトで位置決めするカムスプロケットは、スプロケットを対称に割る位置関係に穴があるので180°回転させた状態で組んでも問題は無いのだが、この二つの穴は径が異なる事が判明。穴位置の公差を吸収する為だと思われる。なんでこんな事を気にしたのかというと、シリンダーヘッドを面研(といっても手作業であり、削った量はかなり小さい)してるので厳密にはバルブタイミングが遅れてしまう事、カムスプロケット一回転でクランクシャフト二回転に相当、つまり一回転で720°である。ノックボルトの芯間のピッチは50mmであるので、50*3.14÷720=0.218・・・ノックボルトの位置で円周方向に0.218mm狂うと、バルブタイミングが1°狂ってしまうからなのである。
一度でもエンジンの組みバラシをした事がある人ならば判ると思うが、ノーマルのエンジンは非常にいい加減に出来ている。部品単位ではかなりの精度を出していると思うが、前出のノックボルトも然り、7mmのピンが刺さる穴は7.0mmではダメなので、小さい方の穴は7.1mm(ノギスにて計測の為、正確性は今一つ)、穴位置の公差吸収の為に大きい方は7.5mm。中心の穴はカム側のボスが外径38mmに対して内径38.1。クランクシャフト側のスプロケットはクランクシャフトに刻まれたスプラインに嵌るのだが、当然ここにも公差が見込まれている筈である。それでもこの辺りはまだマシ。カムスプロケットは、ピストンが上死点時にスプロケットに刻まれた印がシリンダーヘッドに平行になる位置に組み付け、との指示(つまり目測)だが、どう見ても平行にならねえ(爆)。
たまたま出来が悪い部品が集まってしまうと、その個体(バイク)は所謂「ハズレ」ってヤツである。でもまあ仮にハズレだったとしてもそれなりに普通に動くのがメーカー製エンジンの凄い所でもあるのだが、それをそのまま組んだエンジンはチューニングエンジンではない。仮に鍛造ピストンやハイカムが組み込まれていても、チューニング(調律)してない以上はチューニングエンジンでは無いのである。コレを指摘されて「ドキッ」ていうショップもありますでしょ? 自覚のある人は偉いっつーか、マシ。出来合いの部品くっつけただけで「カスタム」とか言って能書きタレるバカショップは、俺は大嫌いである。近所にもありますが。その他、身近にも堂々と不動カスタムバイク(改造メニューは確かに凄い)を取材されて雑誌に載せる店もありますな(ゴメンネー)。※個人的にはカスタムとチューニングは、全く種類の違う物だと思っている。
公差どうのこうのはともかく、現状では対策のしようも無いので、取り敢えず組む。
カムシャフトベアリングは右が6003LU、左は6003Z。どちらも入手時は両側シールだが、その片側を取り外して使用。両側シールのベアリングにはグリスが詰め込まれているので、パーツクリーナーで洗い流します。空転させて比べると、接触シールのLUと非接触シールのZでは、恐ろしくフリクションが違う。
ついでに・・・俺はエンジンを組む時、コレを使っている。
REDLINEのアッセンブリ・ルーブ。要するに組み立てグリス。SMでモリブデン溶液とか出てくる物の一種だ。REDLINEは7~8年くらい前に突然現れて大旋風を巻き起こしたが、最近あまり売っている所を見掛けない。流動性のテストでは超ブッチギリの好結果を叩き出すらしいのだが(コチラは聞いた話、ROYAL PURPLEも同等らしい。ホント?)、俺が昔何種類もオイルを用意して持ち込んだ「焼き付きテスト」ではアッサリ4CRに敗退。このアッセンブリ・ルーブを使ってるのはコダワリでも何でもなく、ちっとも無くならないから(爆)。
あと、治具を製作した。
インシュレータの位置に取り付ける、マグネットベースの台座と、左側クランクケースカバーを外した時用のフライホイール刻印を合わせる針。フライホイールの上から取り付けてあるのは、単なる360°分度器である。10年くらい前に文房具屋で買った物。本来は専用品の様に金属製が良い。フライホイールセンターボルトで共締めした時、樹脂製だとボルトを締めきれないのでヤンス。
つづく。