午後から、坂下での[徳一菩薩シンポジューム]に初めて参加した。友人の『徳一と法相唯識』の著者、白岩孝一氏から開催のチラシが送られてきて、楽しみにしていた。
主催は『徳一菩薩に学ぶ会』、仏都会津の祖・徳一菩薩を顕彰し、地域の活性化を目指して設立された会で、今年は第4回目、坂下公民館で開催された。
第1回が勝常寺のある湯川村、第2回が円蔵寺のある柳津町、第3回が慧日寺の坂下町で開催されてきた。
春先、白岩氏の『徳一と法相唯識』出版祝賀会に参加して、難しい法相唯識を知った。以前から関心があった徳一、本棚にも数冊の関連の本があった。
拙ブログ内を【徳一】で検索すると、実に23編もあった。
徳一の建てた磐梯町の慧日寺はじめ、湯川の勝常寺、市内門田の観音、柳津の虚空蔵尊、西会津の鳥追い観音などを訪ねた折に書いたものだ。
また、白岩氏の著作について、さらに先日は、磐梯町の募集した「慧日寺に関してのエッセイ」応募のことも書いた。
シンポジュームの記念講演は、「徳一の道」と題した、法相宗大本山薬師寺の僧、次喜勝氏のユーモアあふれる講演で、なかなかつかめない徳一像を一層鮮明に理解することが出来た。
・・・《主な内容》・・・
①徳一の仏子道(生涯) ②徳一の修行道 ③徳一の菩薩道に分けて、残された関連文献 を下に丁寧に解説された。
○20歳前後で会津を目指した。194ケ寺が徳一建立・中興の伝承。
うち、福島県139ヶ寺、茨城県44ヶ寺など。
○古密教では、過ちを悔いる(悔過)作法が執行された
供養の対象 薬師如来・変化観音(十一面観音、千手観音、馬頭観音など)・虚空蔵菩薩・吉祥天などの現世利益の強い諸尊。
○悉皆成仏の一乗思想の最澄や、即身成仏の空海に共通する思想は、現状肯定であり、徳一の根底の考えは、現状打破の思想であること。
○空海の将来した密教は大日如来を主尊とするが、徳一の法相では特定の主尊を定めることはなく、そのときに応じて好みで選ぶこと。
○江戸時代にもずいぶん徳一が信仰されたようだ。宗派によらずそれぞれに合った形で信仰された。
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その後、のシンポジュームで、ゲストパネラーの環境考古学者・保田喜憲氏は、今の大震災と原発汚染は3番目の危機、1番目は明治維新の会津。2番目は第2次世界大戦の敗戦だと言う。そしていづれもが福島が犠牲になったと。そんな今、現状を打破し新しい時代を作ろうと徳一が訴えているようだと。また、そういう時期には偉大なリーダーが現れるが、それは、東北出身の若者に違いないと。・・・・胸を打つ話だった。
年末の気忙しいときを縫い参加したが、ひととき奈良、平安の古に思いを馳せることができた。
何となく生きている現実に気づき、「生きる」と言うことをあらためて考え直したい思いに駆られた。
1300年前、目の前の人々を救いたい思いで布教した徳一の心情を思った。 信仰とは何か、生きるとは何か・・・大切なことを見つけた思いがした。