9年前、長期入院中に励まし合ったKさんの奥さんが会津を訪ねて来られた。
昨夜猪苗代に宿を取り、今朝10時に妻と若松駅へ出迎えた。
地元伊勢原市在住のKさんは同じ福島県人、福島市の出身で病室が同じ階で、私より元気だった。
具合の芳しくなかった私の病室をよく訪ねて励ましてくれた。
退院後も、1~3ヶ月の検診に上京した際も、偶然病院でお会いしたことも二度あった。
その後、数年してKさんの訃報に接した。ことしはKさんの7回忌という。つかの間のだったような気がする。
いまは一人になった奥さんはようやく落ち着き、あちこち旅行を楽しんでいるそうだ。
何時しか妻とはメル友に、ときどきメールでやりとりしている。
市内を案内するつもりでいたら、「塔のへつり」へ行きたいとのこと。意外だった。
下郷までの車の中で、Kさんの病気のこと、孫たちのことなどいろいろな話をした。
運転しながら二人の会話を聞き、入院中の辛かったこと、そして健康で過ごしている今の幸せをつくづく思った。
塔のへつりは、もう30年ぶりくらいになるか。
子供が小さいころ、狭い「へつり」部分でお弁当を広げた覚えがあったが、立派な吊り橋も架かり、その頃とはかなり違っていた。
売店で、その頃求めたナメコの木工の置物を見てとても懐かしかった。
今は川口に住む彼女の帰りの電車が2時過ぎ、少し時間があるので、折角来られたので、近くの大内宿へ案内することにした。
かやぶき屋根の宿場が連なる大通りをゆっくり歩いた。さわやかな五月の風が気持ちよかった。
お昼は名物の一本ネギ蕎麦を楽しく食べた。冷たい汁をネギ一本で食べる。ネギは根元はいいが、食べ進むと辛くなった。
初めての体験だったが、結構食べやすく、おいしかった。おいしい蕎麦を味わうことが出来て、いい思い出になった。
帰りはコブシラインを本郷へ抜けた。思い出の地で、新しくできた本郷焼きの資料館や陶磁器会館で、窯元の作品を見ることができた。
駅まで送り、お互いの健康を祈念してお別れした。Kさんの奥さんには、楽しい思い出の旅となったことだろう。
Kさんもご一緒だったらとの思いがわいて切なくなった。
同伴した友は詰まらないというけど、その証のために訪ねなくてはと歩いたのです。ところが、前より川の嵩が増えてへつりと奇岩に見応えがあったと喜んでました。