エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

胸塞がり涙先立つ「ある明治人の記録」

2014-10-20 | エッセイ

 

                                                    大庭が自刃に使用した脇差。
                                                    切腹に当たり、使用者が明確で短刀類も現存している会津藩士は数少ない  (福島民友新聞)
 
 民友新聞(16日付)で「150年ぶり「帰郷」北海道で自刃した会津藩士の遺品」を読んだ。

http://www.minyu-net.com/news/news/1016/news1.html

関連して【編集日記】(17日付)には、会津若松の恵倫寺に眠る柴五郎についてふれ、いづれの遺品も共に歴史に向き合わせてくれる“血涙”の記録であるとあった。

すり減るほどに読んだ文庫本「ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 」を再び手にした。

その扉には 「胸に詰まる思いで読了 懊悩流涕やむことなし」との読後感が認められていた。

そして、いつしか記憶してしまった血涙の辞の一節が口を衝いて出てきた。

 「幾たびか筆とれども、胸塞がり涙先立ちて綴るにたえず、むなしく年を過して齢すでに八十路を越えたり。

       ・・・故郷の山河を思い過ぎし日を想えば心安からず、老残の身の迷いならんと自ら叱咤すれど、懊悩流涕やむことなし」

当時の五郎少年の純真な心情、その後の斗南での餓死との戦い等など、折々の彼の悲痛な心情に涙が溢れた。まさに血涙にまみれた資料だ。


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