エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

求めない すると-

2008-03-09 | 文芸
                  【春近し 裏庭3/9】


 昨年、加島祥造著の詩集「求めない」が出た時、本屋で立ち読みをした。
その後、ベストセラーとなった。何でこんなに話題になり、売れるのだろうか。
 今の時代は、やはりみんなが大切なものを求めているのだと思った。

中野孝次の「風の良寛」には、碁の友である詩人・加島祥造が紹介されていた。そこには、加島が英訳を参考にして自分流に詩として訳した老子を読み、老子が急にはっきりしてきたと述べている。老子の言う道(タオ)とは、無とか、空とか、虚とか、そういう言葉で成り立っていて、道元や良寛に相通じるように思えた、と。

 いつか、中野の紹介する「老子」について、わかりやすい加島の著書を読んでみようと思っていた。最近、文藝春秋で『「求めない」僕が愛した女性』という加島の文章で「ベストセラー著者の半生」を読んだ。
 彼は、「求めない」とは自分の心を戒めるための呟きだという。人間はそもそも「求めすぎる」のではないかと。70歳で、自分の中の新たな可能性を掘り起こしたのは、詩と老子の道(タオ)と伊那の自然とに出会ってからだと言う。
「求めない」は求めることを否定するのではなく、むしろ「求めなさい」と言う。より良い自分を求めるために今求めているものを止めたらどうかと。

詩集「求めない」の原点は、老子の「足ルヲ知ル」のようだ。
 現代人に欠けるものは、「足を知ること」だと思った。
あらためて、「欲はなく、決して怒らず」、穏やかなこころで生活したいと思っている。

 老子を学びたいと思っている。まづは「求めない」から、加島の著書の何冊かを読んでみたい。


 求めない-
 すると
 今じゅうぶんに持っていると気付く

 求めない-
すると
 今持っているものが
 いきいきとしてくる 

 求めない-
すると
 心が澄んでくる

 求めない-
すると
 悲しみが消えていく

 求めない-
すると
 時はゆっくりと流れ始める

 求めない-
すると
 心に平和が広がる


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