明治25年10月19日読売新聞
本日のべったり市
明20日は恵比寿講につき日本橋大伝馬町より大丸よりに到るまで3~4丁間は今夜例年の通り開店して明日の用意を商うという、その売物の主な商材は麹漬の大根であるのでこの市をべったり市と呼び、またくされ(腐れ)市と称する由来にて、この市の昔より人出が多いのである。
読売新聞は“ベッタリ市“と”腐れ市“とある。
ベッタラ市と長谷川時雨
明治20年代の大伝馬町付近の風景は都新聞・東京日日新聞の記事から少しづつ江戸から近代明治へ向かっていく動向が見えるが恵比寿講の記事の前後にある日常記事の時代的背景がつかめず、ただ字面を転記して、その内容や背景は薄らとしか見えなかった。その時、長谷川時雨という女性作家が「旧聞日本橋」と言う随筆を書いていて、その内容から明治20年代の日本橋通油町付近の情景が10代の少女の目線で生き生きと描かれているのを知った。(明治12年生まれ・樋口一葉は明治5年生まれ)
アンポンタン(安本丹・うすのろ)と呼ばれていた少女の目で明治の中頃つまり江戸と呼ばれていた都市が東京と変身していく中で商家の並ぶ日本橋本町通の人々の様子が解る。今風に言えば漫画の“ちびまるこちゃん”の世界でしょうか。
長谷川時雨の随筆が書かれたのは昭和の始めですが「旧聞日本橋」の世界は明治15年頃から彼女が19歳(数え年?)で嫁いだ頃までの、つまり明治29年までの日本橋通油町の様子で“べったら市”は二ヶ所に書いているが(町の構成・大丸呉服店)浅漬大根の話が出てこない。あんぽんたんの少女には切山椒は覚えていてもべったら漬は食べなかっただろうか?次のように解釈すればよいのだろうか。10月19日の朝からべったら市は盛況となり、浅漬大根の市は大伝馬町付近が多く、通油町の方は少なかったのだろうか。長谷川家は商人の家でないので(弁護士)恵比寿講は詳しく知らない。明治の中頃はまだ恵比寿講のための市だったのだろう。浅漬大根はこの時はまだ市の主な商材でなかったのではないのか。
蕎麦屋の利久の話は明治19年の日本橋一帯にコレラが感染した状況をあらわしている。石炭酸は当時コレラの消毒用として撒かれていた。
あんぽんたんの時代に交通は馬車鉄道の時代であった。明治15年から明治37年3月までの東京の市街交通の人力車と共に繁栄していた。当時の日本橋区大伝馬町界隈は商業の中心地として発展していた。多くの人力車・乗合馬車鉄道が行き交っていた。
本日のべったり市
明20日は恵比寿講につき日本橋大伝馬町より大丸よりに到るまで3~4丁間は今夜例年の通り開店して明日の用意を商うという、その売物の主な商材は麹漬の大根であるのでこの市をべったり市と呼び、またくされ(腐れ)市と称する由来にて、この市の昔より人出が多いのである。
読売新聞は“ベッタリ市“と”腐れ市“とある。
ベッタラ市と長谷川時雨
明治20年代の大伝馬町付近の風景は都新聞・東京日日新聞の記事から少しづつ江戸から近代明治へ向かっていく動向が見えるが恵比寿講の記事の前後にある日常記事の時代的背景がつかめず、ただ字面を転記して、その内容や背景は薄らとしか見えなかった。その時、長谷川時雨という女性作家が「旧聞日本橋」と言う随筆を書いていて、その内容から明治20年代の日本橋通油町付近の情景が10代の少女の目線で生き生きと描かれているのを知った。(明治12年生まれ・樋口一葉は明治5年生まれ)
アンポンタン(安本丹・うすのろ)と呼ばれていた少女の目で明治の中頃つまり江戸と呼ばれていた都市が東京と変身していく中で商家の並ぶ日本橋本町通の人々の様子が解る。今風に言えば漫画の“ちびまるこちゃん”の世界でしょうか。
長谷川時雨の随筆が書かれたのは昭和の始めですが「旧聞日本橋」の世界は明治15年頃から彼女が19歳(数え年?)で嫁いだ頃までの、つまり明治29年までの日本橋通油町の様子で“べったら市”は二ヶ所に書いているが(町の構成・大丸呉服店)浅漬大根の話が出てこない。あんぽんたんの少女には切山椒は覚えていてもべったら漬は食べなかっただろうか?次のように解釈すればよいのだろうか。10月19日の朝からべったら市は盛況となり、浅漬大根の市は大伝馬町付近が多く、通油町の方は少なかったのだろうか。長谷川家は商人の家でないので(弁護士)恵比寿講は詳しく知らない。明治の中頃はまだ恵比寿講のための市だったのだろう。浅漬大根はこの時はまだ市の主な商材でなかったのではないのか。
蕎麦屋の利久の話は明治19年の日本橋一帯にコレラが感染した状況をあらわしている。石炭酸は当時コレラの消毒用として撒かれていた。
あんぽんたんの時代に交通は馬車鉄道の時代であった。明治15年から明治37年3月までの東京の市街交通の人力車と共に繁栄していた。当時の日本橋区大伝馬町界隈は商業の中心地として発展していた。多くの人力車・乗合馬車鉄道が行き交っていた。