昭和28年10月20日朝日新聞
みこしも繰り出す
昨日の「べったら市」
19日は江戸の名残の年中行事・日本橋大伝馬町の「べったら市」宝田エビス神社の宵宮で町内のカシラたちの威勢のいい木やりの声でフタが開く。付近の問屋街に露店がずらり。神様に供える浅づけを売る店が並ぶ。
その昔下町っ子が汁のしたたる浅づけを荒縄でぶら下げ(それべったりつくぞ)
と振り回し女子供を「キャツキャッ」と言わせたのが起こりだそうだが、この市は昔も今もその年の最初の年の市。
暮れの景気を推し量るバロメーターと言われるだけに縁起を担ぐ商人たちで押し合いへし合い。今までに出たことがないオミコシも今年から繰り出してのお祭り騒ぎであった。
昭和28年10月20日読売新聞
浅ヅケの香りに漂う恒例のべったら市が19日夜から日本橋大伝馬町通りを中心として開かれた。ずらりと並んだ350軒のべったら・植木屋の露店から「さあ買った,買って」手拍子も景気よい呼び声が掛かって夜の人出はざっと8万人。芳町の芸者衆も粋な姿も混じり、夜の更けるまでにぎわいを見せたが今年は天候の不順にたたられてダイコンの出来も良くなく一つ100円均一と昨年より高め、それでも縁起物とあって売れ行き上々。
べったらの樽を開けると年の市の幕開けと言うがこの夜の温度は午後6時現在19度で平年より3度高。しかし、気象台では「この天候も21日から崩れ、気温も下がって,霜も全国的に早くおりそう」と予報は晩秋の訪れ。
浅ヅケとは浅漬大根=べったらののこと。当時は当用漢字の中に“漬”の字がなく、新聞記事や法律には“ひらがな”か“カタカナ”で表記しなければならなかった。
みこしも繰り出す
昨日の「べったら市」
19日は江戸の名残の年中行事・日本橋大伝馬町の「べったら市」宝田エビス神社の宵宮で町内のカシラたちの威勢のいい木やりの声でフタが開く。付近の問屋街に露店がずらり。神様に供える浅づけを売る店が並ぶ。
その昔下町っ子が汁のしたたる浅づけを荒縄でぶら下げ(それべったりつくぞ)
と振り回し女子供を「キャツキャッ」と言わせたのが起こりだそうだが、この市は昔も今もその年の最初の年の市。
暮れの景気を推し量るバロメーターと言われるだけに縁起を担ぐ商人たちで押し合いへし合い。今までに出たことがないオミコシも今年から繰り出してのお祭り騒ぎであった。
昭和28年10月20日読売新聞
浅ヅケの香りに漂う恒例のべったら市が19日夜から日本橋大伝馬町通りを中心として開かれた。ずらりと並んだ350軒のべったら・植木屋の露店から「さあ買った,買って」手拍子も景気よい呼び声が掛かって夜の人出はざっと8万人。芳町の芸者衆も粋な姿も混じり、夜の更けるまでにぎわいを見せたが今年は天候の不順にたたられてダイコンの出来も良くなく一つ100円均一と昨年より高め、それでも縁起物とあって売れ行き上々。
べったらの樽を開けると年の市の幕開けと言うがこの夜の温度は午後6時現在19度で平年より3度高。しかし、気象台では「この天候も21日から崩れ、気温も下がって,霜も全国的に早くおりそう」と予報は晩秋の訪れ。
浅ヅケとは浅漬大根=べったらののこと。当時は当用漢字の中に“漬”の字がなく、新聞記事や法律には“ひらがな”か“カタカナ”で表記しなければならなかった。