大正5年10月20日朝日新聞
散々な浅漬屋
雨にたたられたべったら市は三分の一も売れず。
これから当分三度の食事に供される浅漬大根は年の市始めと言うべったら市は昨日朝から開かれた。例により日本橋の大伝馬町、小伝馬町、人形町通りの両側には縁起物や荒物や金物やと軒を並べ400軒からの浅漬屋が店を張り「さあ、味のよいのを買わんかいなー」と景気良く売り出したがあいにくの雨のため客足悪くおまけにとても高く値段を吹っかけているので商売は思わしからず夜には雨がますます激しく夜10時頃には数えるほどの人出と商人連は青息吐息となって3銭位から飛び切り上等品がせいぜい10銭位まで値下げし、悲鳴を上げて売り切ったが(持込んだ)樽の三分の一は樽の蓋も開けず11時頃にはそろそろ店仕舞の支度をしていた。
大正5年10月21日読売新聞
浅漬のうまい頃
不正品は安い
香の物の浅漬の美味い頃になりました。今年の練馬大根は普通の出来でさほど上出来で出なかったので大分品によって違いますが上等もの卸値・貫目1円20銭位になるだろう。
小売値で1円10銭位の相場で下物は店によって値段が異なる。しかし、丁度おいしい味加減は何と言っても上物でス(中が空洞)のない大根を白味醂と麹とザラメ砂糖で漬けた物は真っ白く綺麗で味も格別違っています。そして浅漬の漬け具合は気候の暑さ寒さによってちがいます。丁度良い漬け具合ならば4~5日の間に上げてしまいます。それから往々安物の中にはサッカリンを使った不正品がありますから気をつけて下さい。それは外観だけではチョッと素人には区別しかねます。漬物の色も真っ白で食べてみると悪甘く苦くまた値段が一貫目70~80銭の安い値段ですからすぐわかります。
散々な浅漬屋
雨にたたられたべったら市は三分の一も売れず。
これから当分三度の食事に供される浅漬大根は年の市始めと言うべったら市は昨日朝から開かれた。例により日本橋の大伝馬町、小伝馬町、人形町通りの両側には縁起物や荒物や金物やと軒を並べ400軒からの浅漬屋が店を張り「さあ、味のよいのを買わんかいなー」と景気良く売り出したがあいにくの雨のため客足悪くおまけにとても高く値段を吹っかけているので商売は思わしからず夜には雨がますます激しく夜10時頃には数えるほどの人出と商人連は青息吐息となって3銭位から飛び切り上等品がせいぜい10銭位まで値下げし、悲鳴を上げて売り切ったが(持込んだ)樽の三分の一は樽の蓋も開けず11時頃にはそろそろ店仕舞の支度をしていた。
大正5年10月21日読売新聞
浅漬のうまい頃
不正品は安い
香の物の浅漬の美味い頃になりました。今年の練馬大根は普通の出来でさほど上出来で出なかったので大分品によって違いますが上等もの卸値・貫目1円20銭位になるだろう。
小売値で1円10銭位の相場で下物は店によって値段が異なる。しかし、丁度おいしい味加減は何と言っても上物でス(中が空洞)のない大根を白味醂と麹とザラメ砂糖で漬けた物は真っ白く綺麗で味も格別違っています。そして浅漬の漬け具合は気候の暑さ寒さによってちがいます。丁度良い漬け具合ならば4~5日の間に上げてしまいます。それから往々安物の中にはサッカリンを使った不正品がありますから気をつけて下さい。それは外観だけではチョッと素人には区別しかねます。漬物の色も真っ白で食べてみると悪甘く苦くまた値段が一貫目70~80銭の安い値段ですからすぐわかります。