漬物のおけいこ 井上秋江著
明治38年2月 国会図書館 デジタルライブラリより
福神漬
色々な材料を細かに刻んで醤油と味醂とで漬けあげた物で弁当のおかず等にはことによろしい物です。上等なのは缶詰にして永く保ちます故に軍用としても用いられます。
材料
竹の子・しそ(しそは青しそを用います)なた豆・かぶら・茄子。干し大根等、この他にマツタケも入れますが,味はよろしいけれど永く持ちません。前記の品々は土用を越せるように(注・夏のこと)塩を強くして塩漬にしてこれを原料とします。
漬け方
さて材料を一緒にして漬け直すのですが,そのときは一旦塩出しして塩気を取り、これを十分に良く絞って汁気がなくなり、カサカサになるまで搾ります。それを細かく刻み、まず醤油に浸しておくのです。醤油に漬けて五日間も経ちますと、醤油の味がしみ込みます。最も醤油がまんべんなくしみわたるように幾度も上下にかき回さねばなりません。(塩出しとは材料を水につけて塩分を取る)
味付け
前記のようによく醤油に漬けましてから更に味付けをするのです。それは上等な醤油と味醂と砂糖を加えた汁をこしらえて置き、カメなり壷なり缶なりに詰めます。味付けは前の材料を入れてこの汁をかけて貯蔵します。汁の分量は、次の通り。こうして食べるのは即席漬でもよし、また何時までも置いても良い。
原料 120匁に対して汁 20匁
福神漬の永年保存漬
本仕込みにして永く保たせようとするには醤油に漬ける前に水を切るのですが材料を布か何かで包んでなるたけ水を切るようにしなさい。水を良く切るほど永く保ちます。(本仕込みにするには圧搾機と申す機械にて全く水気の無いように搾ります。)
そしてこれを缶詰にするのですがこの様にすれば何年も貯蔵でき土用中でも容易にカビが生えるようなことはありません。
干し大根の福神漬
干し大根を横から一分位に切りまして、味醂一合、醤油二合一緒に沸騰させ、冷ました汁の中に唐辛子一つ二つ入れ、それを一週間ほど漬けて置くのです。
日露戦争中にこのような本が出版された。福神漬が普通名詞となっていたのだろうか。家庭等で缶詰が出来たのであろうか。
明治38年2月 国会図書館 デジタルライブラリより
福神漬
色々な材料を細かに刻んで醤油と味醂とで漬けあげた物で弁当のおかず等にはことによろしい物です。上等なのは缶詰にして永く保ちます故に軍用としても用いられます。
材料
竹の子・しそ(しそは青しそを用います)なた豆・かぶら・茄子。干し大根等、この他にマツタケも入れますが,味はよろしいけれど永く持ちません。前記の品々は土用を越せるように(注・夏のこと)塩を強くして塩漬にしてこれを原料とします。
漬け方
さて材料を一緒にして漬け直すのですが,そのときは一旦塩出しして塩気を取り、これを十分に良く絞って汁気がなくなり、カサカサになるまで搾ります。それを細かく刻み、まず醤油に浸しておくのです。醤油に漬けて五日間も経ちますと、醤油の味がしみ込みます。最も醤油がまんべんなくしみわたるように幾度も上下にかき回さねばなりません。(塩出しとは材料を水につけて塩分を取る)
味付け
前記のようによく醤油に漬けましてから更に味付けをするのです。それは上等な醤油と味醂と砂糖を加えた汁をこしらえて置き、カメなり壷なり缶なりに詰めます。味付けは前の材料を入れてこの汁をかけて貯蔵します。汁の分量は、次の通り。こうして食べるのは即席漬でもよし、また何時までも置いても良い。
原料 120匁に対して汁 20匁
福神漬の永年保存漬
本仕込みにして永く保たせようとするには醤油に漬ける前に水を切るのですが材料を布か何かで包んでなるたけ水を切るようにしなさい。水を良く切るほど永く保ちます。(本仕込みにするには圧搾機と申す機械にて全く水気の無いように搾ります。)
そしてこれを缶詰にするのですがこの様にすれば何年も貯蔵でき土用中でも容易にカビが生えるようなことはありません。
干し大根の福神漬
干し大根を横から一分位に切りまして、味醂一合、醤油二合一緒に沸騰させ、冷ました汁の中に唐辛子一つ二つ入れ、それを一週間ほど漬けて置くのです。
日露戦争中にこのような本が出版された。福神漬が普通名詞となっていたのだろうか。家庭等で缶詰が出来たのであろうか。