関東の醬油と織物 -18〜19世紀を中心として-林 玲子著
関東での醤油の発展史を調べるにはこの本が最適かもしれない。今は食品問屋として大手となった国分は江戸時代に土浦との取引から繊維から醤油関係の仕事に転換し発展していた歴史が書かれている。水運に恵まれ、小麦・大豆等の産地から土浦は醤油業を発展させたようだ。繊維から食へ変わったのは大名との取引が採算が取れなくなって(貸し倒れ・不良債権)となって、貸し倒れの少ない醤油に活路を見出したようだ。さらに江戸と土浦の間の取引から醤油の空き樽の物流業に向かったようだ。その物流の扱いに食品輸送が加わり国分の今がある。
江戸時代は水運が物流の基本で多くの商材と共に情報が行き来していた。南総里見八犬伝はまた水運の物語でもある。舞台となっている地名は船で行き来している所が目立つ。
いまは河川水運の時代ではなくなったが100年ほど前は、水量も多く安価な運搬手段として使われていたようだ。内陸にある河岸という地名は名残でもある。古河という地域は南総里見八犬伝でも良く出てきて、交通網の結節点で情報が早く伝わる。情報の流通の通過点に人材が出てくる。
地方の低迷は現状に慣れてしまって危機感とか向上心が弱いことから始まる。