昨日の話の続き。
週明けは急ぎの仕事も特に無く、休みの間に検討した僕の考えを
隣に座る設計者に説明した。
彼は彼なりに僕が指南した部分を計算していた。
これは嬉しかったですね。
それで、彼の計算を説明して貰った。
計算の内容は、間違いがなく、良く計算して来たなぁ・・・・
と思いながら、その内容を聞いていた。
ところが、それには落とし穴があった。
事前にその話をしてしまうと、簡単に答えが出てしまうので
敢えて僕はその部分には触れずに居た。
間違いじゃない・・・・
でも、それは理論上の話で、経験からくる部分が少々抜けていた。
今回の案件は、半導体部品が壊れないように放熱する部分。
半導体が熱的に壊れる限界値であるジャンクション温度は
通常摂氏150度と言うのが、カタログなどに書かれている値。
この温度から、装置が置かれている環境の周囲温度のまでが
放熱する際の温度差になる。
これで計算すると、ほぼ設計値の電力で半導体は壊れる。
その為に温度的な余裕を持たせ、さらに放熱した時の放熱板の
表面温度を何度に設定するか?
そう云った実用上の現実的な温度も、計算の中に入れないといけない。
そんな事を説明して、今度は僕がやった計算を説明して違いを示す。
僕の計算から割り出した放熱板の大きさは、彼のものの3倍。
これでは実際に製品にするには大きすぎてしまう。
さらに僕はファンを使って冷却をする『強制空冷方式』の説明をした。
放熱板に1m/秒の風を送ると放熱板の見かけ上の熱抵抗が小さくなって
実際の放熱板の大きさを小さく出来る。
そんな文献があるよ・・・・と言った事をちょっと教えて、計算し直してみなさい・・・・と。
意地悪なようだけど、僕の計算したその時の値は伏せておいて、
話はまた翌日に…と言う事でその場は終わりにした。
出し惜しみじゃないのですよ。
答えを教えてしまうと、そこに至るまでの事を考えなくなる。
前の会社でも、自信たっぷりに計算したと言い張った部下を
失敗させて、計算の時に色々考えるように仕向けたことがある。
その後のフォローは大変だったですけれどね。
失敗することで学ぶことは凄く多い。
と言うより、失敗しないように何かをするって言う行為は
その人の可能性や将来には何ももたらさない・・・・
僕はそう信じているから、何でも教えたりしないのですけどね。
人によっては『意地悪だなぁ』なんて思われるかも知れませんね。