今宵の宿は、日本秘湯を守る会の宿でもある樅峰苑(しょうほうえん)。
秋田市の東南、すぐそばを雄物川が湾曲して流れる強首温泉にある。
登録有形文化財のお宿で、江戸時代は大庄屋、その後も地域一帯の中心的な役割を果たしてき、現当主は16代目というお家柄の宿だ。
昭和41年、宿として営業開始。
かつて大地主であったお屋敷が、宿賃さえ払えば誰にでも解放された訳で、「あの家に泊まった。」記念に持ち帰られた物がある。
食事処になっている、40畳の大広間の長押の釘隠しが2枚程ない。
脱落したのか?と思っていたら、持って帰られた・・・との事。
ここは、湯も良かった。
湯元から2キロ程引き湯しているが、それ以外にも何かあるようで、湯はアブラ臭、臭素臭、石膏臭の入り混じる濃厚な湯だった。
食事も珍しい郷土料理を食べさせていただいた。
もくずカニのかに味噌甲羅焼き
もくずカニ(もずくカニともいう)なんて、初めて食べるものだった。
焼き物はハタハタの麹漬け。
大きなブリッコ、あまり好きではなかったがこれはおいしかった。
もくずカニのつみれ汁。
カニ身だけでなく、回りの組織も一緒にたたく事でつなぎ無しのつみれとなるらしい。
この一つでもくずカニ3匹ぐらい使うという贅沢なお汁でした。
前当主の早世によって、婚家を宿としたという上品な大女将。
温厚、熱心で前向きな若旦那。
これらのごちそうを作って下さった料理長の若女将。
家族で守り、育てていかれる宿でした。