575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

馬酔木           草女

2007年02月06日 | Weblog
  磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど 見すべき君がありと云わなくに
                               大伯皇女

 ずいぶんな慌て者が居る。海上の森で、もう花を咲かせたアセビである。
 この花を見れば大伯皇女を思い、大津皇子が偲ばれる。持統天皇が我が子を天皇にするために殺した大津皇子とその姉。その時から千年以上の時がたつというのに、その二人を忘れないのは歌の力の凄さだと思う。
 
 アセビはツツジ科アセビ属の植物でアシビ、アシミ等幾つもの古名を持つ。
 葉にも木部にも苦味のあるアセポトキシンその他の有毒成分がある。牛馬がこの葉を食べると足が萎え麻痺に陥るので馬酔木といわれるが、牛馬を倒す程の毒性は無くそれは別の植物だともいう。確かに毒性はあって駆虫剤など害虫退治に応用されてきた。葉を煎じて、その液を作物に撒くのである。何が起こるか判らず、人間に有害な化学薬品より安心であり、昔の人の知恵はつくづく素晴らしいと思う。
 
 白い小さな壺型で房になる花は美しい。樹木全体を覆うように咲いている株を見ると、大伯皇女もこのような上品で清楚な人であったかと思う。
 園芸品種も色々あって、薄紅色のものはアケボノアセビという。花の穂の長いもの、葉の小型のものなどあって、原産地日本よりアメリカで珍重されているという。
 英名はアンドロメダ。やはりこの花は美しい女性を思い起こさせるものがあるのだろう。
            
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いろはにほへとちりぢりに ... | トップ | 球春(きゅうしゅん)は季語 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
毒があると・・・ (遅足)
2007-02-05 09:19:45
馬酔木には毒と聞いていましたが、
そんな猛毒ではないんですね。
ちょっと安心しました。
水原秋桜子が創刊した俳句誌が、
たしか馬酔木でしたね。

 来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり  秋桜子


返信する
馬酔木の付け足し (草女)
2007-02-05 11:13:01
 馬酔木にはうまごろし、うしごろし、うじごろし、あししびれ、あしみ(悪実)などなど怖ろしい別名がおおくあります。
 主な中毒症状は腹痛、嘔吐、下痢、神経麻痺、呼吸麻痺、などで死に至るようです。1979年にカルフオルニアで200頭の野に迷った羊がアセビの仲間である植物を食べて20頭が大量のよだれを流し、激しい嘔吐と下痢を繰り返して死亡したという事件がおこりました。
 しかし アセビの葉は口に入れるととても苦く飲み込む前に吐き出してしまうのでほとんど体内には摂取されないと言います。
 一方焼くよう効果もありケジラミ、カイセンの外用薬や昔の便所の蛆虫退治、畑の殺虫剤にもりようされていたそうです。
 そしてまた、アセビの葉を大好物にして幼虫が育つ蝶の仲間もいて自然界は複雑だと思います。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事