575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

白波に田の匂いあり川下り      遅足

2013年06月16日 | Weblog
先日の京都の旅、初めて保津川下りを体験しました。
特に観光シーズンっでもない平日。トロッコ列車は満員。
列車を降りて、バスで乗船場まで運ばれて、舟に。
まるでベルト・コンベアーで運ばれている気分。

船頭さんは3人。前に2人、後ろが1人。
このうち一人がガイド役を兼ねています。
お客さんのなかには台湾からのカップルも。
英語も飛び出す舟旅です。

およそ400年前に舟が通れるようになった保津川。
鉄道が開通して、水運の役割がなくなりました。
そして明治の中頃から観光の川下りが始まったとか。
この時は、梅雨入りにもかかわらず、晴天続き。
水量も少なく、ちょっとスリルに欠ける急流下りでした。

この日、川の水は雨も降らなかったのに濁っていました。
これは、田植えのために田に引いた水が川に戻ってくるためだそうです。

  保津川を下れば前に後ろにと愛宕のお山が聳え立つなり

亀岡から嵐山まで16キロ、およそ1時間半の川下りでした。
まあ、一度は乗ってみないと・・・
写真は岩にしがみつくように咲く岩躑躅です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨ふる子のそばに親の雀が来てゐる    木村緑平

2013年06月15日 | Weblog
「スズメはなぜ人里が好きなのか」(大田真也・著)を読んでいたら、
「雀の俳人」と呼ばれる人がいた、とのこと。さっそくググってみました。

雀の俳人は、明治21年、福岡県柳川生まれの木村緑平。
仕事は勤務医でした。
大正時代に、自由律の俳句誌「層雲」を知り、俳句をつくり始めます。
雀が大好きで、3000句の雀の句を詠んだそうです。

   雀にうまれてきたのではだし

   炎天すずめはだしでひろうてあるく

すずめが裸足で歩く姿が気になったのでしょうか?
とくに炎天では足の裏も熱いだろうと心配しています。
お医者さんらしいこんな句も。

   聴診器耳からはづし風の音きいてゐる

漂白の俳人・山頭火とも生涯を通しての親交をもったそうです。
昭和43年、81歳で亡くなっています。

そういえば、最近、雀が減っていると言います。
雀を詠んだ短歌を一首。

  むし暑いすずめがゐないこの街ににんげんだけが獣のにほひ   坂井修一

人間って獣の仲間なんでしたね。
でも雀ほど可愛くないかも。        遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

掬ひきたる金魚の小言きいてやる    水谷洋子

2013年06月14日 | Weblog
句集「夕笹子」の「夏」のなかの一句。

  金魚田に映れる雲を呑む金魚

この句の後に置かれた句です。
金魚を掬って家に持って帰りました。
小さな容器では窮屈だったのでしょうか?
なにか、ぶつぶつ言っているようです。
そこで新しい金魚鉢を買い求めたのでしょうか。
居心地のよいようにと、心配りを。
写生の句が多い中では、ちょっと面白い句だと思います。

作者は昭和18年生まれ。この句集は3冊目だそうです。

  啄木の恋のはなしや霧の町

こんな恋の句もありました。   遅足
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋の句   麗

2013年06月13日 | Weblog
梅雨晴れ間です。台風も上陸せずよかったですね。
さて近づいて来た今月の句会。
お題は「恋」です。
すでにやっつけ仕事で提出してしまいましたが、皆さんはいかがですか?
現在進行形の恋ならもっと出来そうな。
もっぱら私の恋のお相手は福山雅治といったところでしょうか?

恋の俳句が多い黛まどかさんのエッセイ「聖夜の朝」より
いくつか恋の句はひろってみました。

   恋はじまっている香水を替えて

   流星や行方知れずの恋をして

   遠花火別れの言葉だと思う


20代の恋は妻子のある人だったようでなかなか意味深のエッセイ集です。
思い出したくない恋もあるでしょう。
皆さんの恋話。楽しみです。

   2年後にここで会おうと言った彼     麗

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6月句会が近づきました。    遅足

2013年06月12日 | Weblog
今回の題詠は「恋」です。こんな句があります。

  千万年後の恋人へダリア剪る   三橋鷹女

今、私は目の前のダリアを切っている。
これは、千万年後の恋人のため・・・
輪廻転生を繰り返して、恋をするという覚悟でしょうか?

この「恋」、2008年の句会で一度が詠まれています。

  焼け棒杭けむり一筋秋の風      愚足
  ときめきも夕までもたず花木槿    晴代
  寄りそいて石にかえれる無縁仏    遅足
  飲み過ぎて行方不明の冬の恋     朱露
  初めての少なくなりし秋の恋      童子
  ときめきは灰になるまで苧殻焚    亜子  
  片恋ひにピリオドを打つ同窓会    郁子
  訃報ありて恋の秘めごと夢のよう   立雄  
  いつまでもいつまでも振る君への手  麗子
  夢にだにまみえずなりて薄紅葉    静荷  
  面影のかすめる月に大誤算      狗子
  わが恋はあわあわ咲きし黄蜀葵    愚山  
  落日に母恋うる風曼珠沙華      能登

この時は郁子さんが最高点でした。
今回は恋の句が詠まれて、どんな結果が待っているのでしょうか?

  たましいに恋の手足が生えてくる   遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この辺でアベノリスクの見直しを   丸山進

2013年06月11日 | Weblog
以前、ねじまき句会でご一緒だった丸山進さん。
川柳のブログ「あほうどり」は元気です。
そのなかの一句がアベノミクスを取上げたこの句。

この他、安倍さんたちの政治に関する句がずらり。

  三本とも制御不能の矢を放つ

  骨太は中身がないときいう言葉

  とりあえず参院選まで媚薬撒き

  原発の甘い夢からまだ醒めぬ

  原発も農家も票としか見てない

  軍拡のために隣国敵にする

一番の政治的目標は。

  改憲のハードル下げて戦前に

さすが川柳ですね。切れ味が良い。俳句ではこうは行きません。
長良さんが健在でしたら、わが意を得たり、と思われることでしょう。

                     遅足
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏蝶に水の匂いのありにけり    遅足

2013年06月10日 | Weblog
先週、京都へ行ってきました。
最初の目的地は、叡山電鉄の一乗寺駅から歩いて3分。
恵文社一乗寺店という本屋さん。
古書や新刊書、インテリア小物やファッションまで揃えた店内。
平日の昼前でしたが、女性の姿が多く見られました。
この本屋さん「本屋の窓からのぞいた京都」という本を出版。
それを見た奥さんのお供で出かけました。
ついつい、京都のガイド・ブックを買ってしまいました。

午後は下鴨神社へ。糺の森は大きな緑の塊。
奈良の小川も流れて、夏でも快適な環境です。

みたらし団子を食べて、地下鉄の鞍馬口まで歩き出しましたが・・・暑い。
堪らずに、途中、鴨川で一休み。
木陰にいると、白い蝶が目の前を過ぎっていきます。
よく見ると数頭の蝶が舞っています。川風にのって水の匂いも。

夕方のニュースは、この日の最高気温は32.6℃と伝えていました。
梅雨に入ったのに雨の降らない日が続き、暑い京都の一日でした。

写真は恵文社一乗寺店です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

若葉風ピーターパンの通り抜け   智恵

2013年06月09日 | Weblog
ピーター・パンといえば、緑色の服を着た少年。
風が吹きぬけた後、作者は「ピーター・パンが通った」と感じたようです。
あるいは、子供たちが、わあっと通り過ぎたのを若葉風と感じたのかも。

ピーター・パンは、イギリスの作家・バリーの戯曲の主人公。
ロンドンの公園で、乳母車から落ちてしまいますが、
これをベビーシッターが見つけられずに、迷子に。
それ以来、年を取らなくなった永遠の少年です。
海賊のフック船長が住むネバーランドで、
妖精・ティンカーベルと共に冒険の日々を送ることに・・・

戯曲の副題は「大人になりたがらない少年」だそうです。
小学生の二三年の頃ですたか、大人になるのがなんとなく嫌で、
このままで居たいな・・・と思ったことを思い出しました。
ピーターパンが心の中を通り抜けていったんでしょうか?
現代ではピーターパンも高齢化しているようですね。

                        遅足




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

千年の木に千回の若葉かな     狗子

2013年06月08日 | Weblog
壮大な景です。古社寺の森でしょうか、と鳥野さん。
素直にうなずけましたし、こんな風に物事をみたいです、とえみさん。

良い句ですね。ちょっと理屈が勝った感じがします。
木は、樹の字のほうが良いかな?

  百年は死者にみじかし柿の花  藺草慶子 

  百年は生きよみどりご春の月  仙田洋子

百年を詠んだ句です。 
また、千年を詠んだのは、

  千年の留守に瀑布を掛けておく 夏石番矢

百年という長さは、70歳になってみると、実感可能となりました。
百年の恋という言い方はありますが、千年の恋とは言いません。
やはり人間には千年は長すぎるのでしょうか?

あるいは、遺伝子単位で考えれば、千年は短いかも・・・

                       遅足
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぶな若葉しずくの中に宇宙あり    能登

2013年06月07日 | Weblog
しずくの中に宇宙ありの発想が良いです、と、えみさん。

ブナは漢字では、木が無いと書きます。
日本では、一人前の木とみなされていなかったんですね。
一方、イギリスやドイツは、逆に木材としての評価は高いとか。
このブナの木、自然保護の考えが広まるとともに
日本でも大切にされるようになっています。

ブナの若葉のしずくのなかに、小さな宇宙を発見した句です。
巨大な銀河系のなかでは、地球も小さな水の惑星。
私たちの命も、この水の惑星のなかに
生かされている小さな雫のようなものかも知れませんね。

                       遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のだめカンタービレの音楽会   麗

2013年06月06日 | Weblog
先日、茂木大輔さん指揮・解説による名フィルとのコンサートに行って来ました。
漫画「のだめカンタービレ」からドラマ、映画とヒットを飛ばし、遂に劇中音楽のコンサートが開かれるようになっていました。
春日井市から出発したコンサートが70回を記念して市政70周年の記念事業として戻って来ました。

私は昼の部を聞きに行きました。地元春日井出身のピアニスト
20歳の内匠慧さんのラフマニノフピアノ協奏曲第二番は本当にすばらしかったです。
今後の活躍が楽しみです。

チャイコフスキーの「1812年」やムソルグスキーの「展覧会の絵」の演奏のバックスクリーンには作曲のエピソードや漫画の映像を交えて解説。とても楽しい音楽会でした。

この漫画の影響でクラシックファンが増えたとのこと。子供たちの姿が多かったことも嬉しかったです。
音楽と漫画のコラボ。色んな化学変化が起きていますね。
俳句も写真との合作が増えていますがまだまだ何か出来そうです。俳句漫画?俳句コンサート?


        梅雨晴れ間明るい音に癒されて   麗
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かっこうの蒼く染たる空残る   遅足

2013年06月05日 | Weblog
蓼科へ行くと決まって霧が峰まで足を伸ばします。
先日はグライダーが飛んでいました。
空を見上げるように、ベンチにゴロンとなると・・・

左の耳にカッコウ。
右の耳にはホトトギスの声が。かなり遠くからです。
ホトトギスの声が聞こえなくなりました。
そっと目を開けると近くの木に見慣れない鳥が。
ヒヨドリよりちょっと大きいくらい。
突然「特許許可局」と鳴きました。ホトトギスでした。

2回ほど鳴いたら、飛んでいっていまいました。
偵察にきたんでしょうか?
まだ完全には「特許許可局」と聞こえず、若い鳥だったのかな?

カッコウはずっと鳴いていました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長雨を眺めて   鳥野

2013年06月04日 | Weblog
東海地方は5月28日に梅雨入り。例年より
11日早い、と名古屋気象台の宣言です。

その翌日から、たっぷりの雨、暫くは続くこ
とでしょう。

長雨といえば、思い出されるのは、小野小町
の歌。百人一首のかるたでおなじみです。

 ・花の色はうつりにけりないたづらに
  わが身世にふるながめせし間に

世に降る長雨と、世に経る眺めを掛け言葉に
した見事な、技巧。自身を花と言い切る自負。
そして何時の間にか花の盛りが過ぎてしまっ
た嘆き。

平安時代の六歌仙に選ばれ、絶世の美女とう
たわれた小町の面目躍如です。

奔放な情熱家、数奇なその一生は、数々の物
語や伝説を生みましたが、古今和歌集などに
収められた作品は不滅です。

 ・ 長雨は嘆かずにあれ 世に降るを眺めせ
   し間に虹の立つやも      鳥野
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京若葉して静かさを取り戻す    佐保子

2013年06月03日 | Weblog
京若葉して、の「して」が音を吸い取り、心地よい静けさと、えみさん。

この句、同じ内容で、

  若葉して京静かさを取り戻す

と、詠むことも出来ます。
一方、京若葉して、では、京の町が、騒々しかった
桜の季節を終らせるために自ら若葉の衣を着た、
という擬人化の読みも出来ます。

南禅寺のなかに南禅院というお寺があります。
ここが南禅寺の元になった所とか。
こじんまりとした、若葉のきれいなお庭でした。

今日から京都へ。若葉はどうなっているんでしょうね?
静かな京都が楽しめるかも・・・

                     遅足

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酸実(ズミ)の花うかべて夏の水となる    遅足

2013年06月02日 | Weblog
先日、若葉を求めて蓼科へ行ってきました。
かっこうの声を聞き、鹿の親子の姿をみることが出来ました。

若葉のなかを注意してみると、結構、白い花が咲いていました。
ウワミズザクラ、ミヤマザクラ、そして酸実(ズミ)の花。
この3つはいずれもバラ科に属していますが、
今年は酸実の花が一段と美しいそうです。

ズミは、染(ソミ)というコトバに由来する名とか。
その名の通り、樹皮は、黄色の染料に利用され、材は家具や櫛に。
別名、コリンゴ、コナシというように、果実は猿など動物の食べ物に。

雨上がりの水溜りに白い花びらが一杯浮いていました。
写真は手前がミヤマザクラ、奥が酸実(ズミ)です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする