ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「三千円の使いかた」(原田ひ香著;中公文庫)

2023-07-27 22:46:45 | 読む

いつぞやT書店に並んでいたベストセラー物の本の中に、この本がずらっと並んでいた。

「三千円の使いかた」(原田ひ香)。

その書名を見て、ずっとこれは、節約生活をする上でのHOW TOものだと思っていた。

ところが、ある時、手に取ってみたらこれは小説だったのだ。

長い間勘違いしていたことが分かった。

 

そのタイトルが気になって、図書館から借りて読んでみた。

内容的には、家族小説なのだけれど、章ごとにある一家の三世代の女性4人の登場人物1人ずつに焦点を当て、お金の悩みと人間関係をめぐってストーリーが展開する。

働き出した若い24歳の女性(妹)、結婚して小さい子がいる29歳の女性(姉)、73歳の女性(祖母)、実年離婚を考える55歳の女性(母)。

各章で、いずれも、お金に関してその年代ゆえの悩みをもっていて、それを解決するためにどうしようかと考えたり行動したりする様子を描いている。

最後には、その家族が、妹の結婚に関して相談に乗る場面で、前に描かれていたそれぞれの個性が表現されているのがまた面白い。

 

感心するのは、各章でのお金の悩みを解決する途中で、お金のことに関してなかなか専門的な知識が使われていることだ。

ポイントのかせぎ方、銀行の高金利キャンペーンの利用の仕方、熟年離婚によるお金の分け方など、実に具体的だった。

一般的にはそこまで知らない人が多いよな、ということが書いてあり、へえ~と思って読ませられた。

 

それぞれの登場人物に関わって、夫であったり恋人であったりする男性たちが必ず登場して悩ませるのだが、なんとも頼りない人物ばかりであった。

もっとも、自分もその頼りない男の一人であることは間違いないな、とある種納得しながら読んでいた。

最終的に、お金のことはあるけれど、人生を決めるのは、やはり自分なりの考え方だな、と思ったしだい。

 

お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。

これはお祖母ちゃんの言葉ですが、私も今、心からそう思うのです。

 

最後の妹の言葉に、うんうんとうなずいた私であった。

コメント
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