鎌の形をしているから、鎌沼というのだとか。
その水辺まで下りられるように新しい木道ができていた。
そこで、思いもしなかった花と出会うことができた。
木道を下ってみると、今回会いたいなと思っていた花が咲いていた。
白い5枚の花びら、黄色いもじゃもじゃのおしべ。
これはまさしくチングルマの花!
高山植物の、もっともポピュラーな花。
多くはないが、2つ、3つポツポツと咲いていた。
沼畔でチングルマに会うとは、ビックリだった。
その近く、こんなところにもコイワカガミ。
ミヤマリンドウはたくさん咲いていた。
また木道に戻って、池の周りを巡る。
木道わきに多く咲いていたのは、ゴゼンタチバナ。
谷地平・東吾妻山方面へ行く分岐点。
この辺りには、まだ綿毛をつけたワタスゲが見つかり、ふわふわした様子が美しかった。
木道のすぐそばに、満開のコバイケイソウ。
そろそろ鎌沼ともお別れだ。
でも、この辺に別の楽しみがあることは知っていた。それは、…
チングルマがよく咲いているのだ。
特徴的な綿毛の姿も、絵になるなあ。
やがて、姥ケ原分岐点へ。浄土平駐車場まで1.8kmとの表示。
ここから間もなくすると、下りが始まる。
この辺りでもツマトリソウの花が満開だ。
今までこんなにたくさんのツマトリソウの花を見たことがない、というくらい見ることができた。
マイズルソウの花もそう。そこかしこ爛漫の時期。
やがて道は階段状に整備された急な下りの道を降りていく。
両側に、今までたっぷり見てきたツマトリソウ、マイズルソウ、ゴゼンタチバナ、シャクヤク、アカモノなどの花が、これでもかというくらいに咲いていた。
アカモノは、やっぱり愛らしい花だな。
空はまたくもり空となっていたが、向こうに見える吾妻小富士にもうすく雲がかかっていた。
長い下りを降りて、林の中を歩いていると、珍しい花に久々の出会い。
ベニバナイチヤクソウだ。
今回は、ここにしか咲いていなかった。
暗い中だったので、写真が少しぼやけてしまった。
でも、珍しい出合い、これはうれしかった。
やっと平地の浄土平に戻ってきた。
行くときには雲で隠れて何も見えなかった一切経山がだいぶ大きく見えた。
時すでに午後4時過ぎ。
レストハウスはシャッターを下ろし始め、駐車場はすでに無料で入れる状態になっていた。
鎌沼からは、誰も具合が悪くなることなく、淡々と下りてくることができた。
途中で古くなった娘の靴が壊れてしまい、靴底が取れたまま歩くというハプニングはあったのだけどね。
帰路、ミヤコグサが美しかった。
こんな高いところでたくさん咲くとは、彼らにとってはいい環境なのだろう。
さて、こうして浄土平、鎌沼周辺を散策しながら、多くの高山植物の花見を楽しむことができた。
私の運転迷子、妻の体調不良、娘の登山靴破損などはありながらも、なんとか無事に終われたのはなによりだった。
何年間もずっと行ってみたかったのに行けなかった所に行けた。
娘も、余力をもって歩き通すことができた。(「筋肉痛だ」とは言っているが)
花見のほかにそういう喜びも感じることができた、今回のお出かけであった。
(おしまい)