『南島旅行見聞記』 (単行本)
柳田 国男 (著) 酒井 卯作(さかい・うさく) (編集)
単行本: 265ページ
出版社: 森話社 (2009/11)
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柳田国男が、1920年12月13日東京から、九州の東海岸を経て、沖縄本島、宮古・八重山と渡り、帰路、奄美大島各地を旅して鹿児島に着くまでの約2カ月の旅の覚書といったらいいのでしょうか。
この旅は後に「海南小記の旅」とよばれ、帰京後、東京朝日新聞に32回にわたって「海南小記」として連載され、1925(大正14)年には、『海南小記』が刊行された。
柳田国男を知るためには、『遠野物語』や、晩年の『海上の道』とともに、本書と『海南小記』は、奄美に興味がなくても読んでおきたい。
また、この旅で柳田が訪ねた、三太郎峠(本書では和瀬峠)の主人のことは、『奄美の森に生きた人―柳田国男が訪ねた峠の主人・畠中三太郎 』前橋 松造 (著) 単行本: 322ページ 出版社: 南方新社 (2001/04)に詳しい。
この旅で柳田は、沖縄と奄美で桜を見た感想を書いている。P172 ”まつかな桜花さかり、アサトー(朝戸)沖縄と、安里同? 所々の山に此の花あり、異景なり、”
ヒカン桜のことと思われるのですが、この桜の木はどうなったのでしょうか?
本文は、1~2行の短い文章の走り書き?を集めたものだが、昔の奄美沖縄を知る人には、想像力をかきたてられる。タイムトンネルで柳田のつぶやきをツイッターで読んでいる気分。
巻末の編者・酒井卯作氏の「旅する貴族」南島旅行見聞記 解説 は、ユニークな柳田国男論になっていて民俗学への興味が湧いてくる。