
『堕落論』 (スラよみ!現代語訳名作シリーズ) 単行本 – 2015/2/20
坂口 安吾 (著), 松尾 清貴 (翻訳)
5つ星のうち 4.2
102件のカスタマーレビュー
昔読んだ文庫本の『堕落論』はいまでも捨てずに本棚に残っているはずだが、
探すのも億劫だ。しかし、ネットの青空文庫で読める。
いまでは、この「堕落論 (スラよみ!現代語訳名作シリーズ)」
もキンドル版で無料で読めるそうだ。
昔読んでわかったつもりでいたのとは、まったく違う印象なのは
おそらくこの現代語訳の良し悪しのせいではない。歳をとったからだろう。
もういちど原文を読んでみたいと思う。
昔読んだ文庫本の『堕落論』には「FARCEに就て」は収録されいただろうか。
収録されていたとしてもおそらく読み飛ばしていただろう。
ページ数からいっても「FARCEに就て」は「堕落論」より多いし、面白い。「風博士」もおもしろいし、
飛ばすわけにはいかない。
「FARCEに就て」原文「芸術の最高形式はファルスである、なぞと、勿体振つて逆説を述べたいわけでは無論ないが、然し私は、悲劇トラヂエヂイや喜劇コメディよりも同等以下に低い精神から道化ファルスが生み出されるものとは考へてゐない。」
現代語訳もこれとさほどかわりはない。
本書の解説の最後にこうあった。
「もったいぶって逆説を述べたいわけではないですが、私は「堕落論」こそ、
坂口安吾の最も成功したファルスだと思っているのです。」
FARCEファルスとは道化とか狂言、笑劇、滑稽とか、の意味らしく、安吾は、私流に
「荒唐無稽をその本来の面目とする」ものと述べている。
堕落論も逆説をキーワードに読んでいたら、少しは分かりやすかったのかも知れない。
逆説もそれほど単純なものではなさそうだが。
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amazon 商品の説明
内容紹介
義士も聖女も堕落せよ。健全な道徳を脱ぎ捨てよう。そこから戦後日本が始まる。敗戦直後、混迷する日本中を熱狂させた『堕落論』『続堕落論』はじめ、坂口安吾の世界をいま読み解く。