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きのうの記事2010年8月20日 (金曜日)
南州神社 奄美大島名瀬・芦花部(あしけぶ) のつづきです。
文庫: 390ページ
出版社: 角川学芸出版 (2010/7/24)
内容(「BOOK」データベースより)amazon
戊辰戦争で西郷の薩摩と敵対しながら、後に『南洲遺訓』を編纂するに至った荘内藩。仇敵をも惹きつける西郷南洲の魅力とは。薩長閥に対峙しようとした奥羽越列藩同盟、明治6年政変と「遣韓論」、そして西郷に信義を誓いながら“ニセ官軍”として処刑された相楽総三と赤報隊など、史実を丁寧に省察。現代に至るも数多くの人々の敬愛を受ける稀代の傑物・西郷隆盛の伝説と真実を問う、佐高版・明治維新史の誕生。
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西郷はもういいや、と思いつつ、佐高 信 (著) とあったので読んでみた。西郷にたいす評価は人によってさまざま。個人的にも経験や年齢を重ねることによって評価が変わったりする。奄美の場合さらに複雑になる。この著者と西郷との取り合わせが意外だと感じること自体が西郷に対してもまた著者に対しても、また歴史や人間に対してもあまりに皮相な見方であることを教えられた内容だった。コロンブスのタマゴ。矛盾も多くいわば失敗だらけの人生とも言えなくもない西郷に人はナゼこれほどまでに惹き付けられるのか。「西郷ファンかならずしも西郷ならず」とはいかにも著者らしい。「日本海の冬の海に比べれば、南の海は能天気なほど明るい」という箇所には、ああ、やはりそう見えますか、と感じた。本書は主に荘内藩や会津藩の人たちと西郷とのかかわりを中心に述べられているので、奄美での西郷については、他の作家の引用でさらりと述べられている程度だった。西郷の思想や行動には奄美大島や沖永良部での経験から得られたであろうと考えられる部分も少なからずある。著者にはその点も含めて次に期待したい。というかそれは地元の作家によってなされるべきか。「敬天愛人」の西郷が聖書を読んでいたという指摘は新鮮だったP361。儒教的な「畏天愛民」との差は大きい。沖永良部の座敷牢で、天の星を見つめ黒潮の波の音を聞いていた西郷は、まさに天のまじかに身を置きその声を聴いていたのかも知れない。
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西郷隆盛伝説 (角川文庫) 価格:¥ 700(税込) 発売日:2010-07-24 |