境内を訪れていたのは二組だけの静かさだった。
金木犀がもういい香りを境内に漂わせている。
綺麗に刈り込まれた葉の周りの小さく黄色い花が、秋の陽を浴びて星屑のようだ。
我が家では、まだ青い蕾が付いているだけだ。
残暑のせいだろうか。
「橋の欄干の上にある、玉ねぎをさかさまにした
ような装飾物が「擬宝珠」。この花のつぼみが
擬宝珠に似ていることからこの名になった。」
開花時期は6月10日ごろから7月20日ごろと書かれているので、ここに咲くのが、果たしてギボウシかどうか、全く自信がない。
色で調べたらこの名前に行き着いた。
間違っていたら、教えてください
薄いピンクの花が下向きに咲いているのが可憐だ。
境内だけでなく山門前の石垣の傍の苔の中からもす~っと伸びた感じで、地味ながら存在を示しているようだ。
ここで見ることが出来たのは、私にとっての大発見だった。
あのマムシに似た頭の中から秋には真っ赤になった実が出るとの事だったが、丁度その頃天川村に行けるかどうか分からない。
気に掛かりながら過ごしていたのだ。
マムシグサの実は、まだ緑だったがこれが秋の深まりと共に真っ赤になる様は想像できる。
茎はマムシ模様がはっきり見られた。
参道の石垣の上に立った1本のマムシグサは、住職の奥様が、草刈のとき残して置かれたものと、後で知った。
もっと沢山有ったそうである。
葉の中から細い茎が伸びだしてそこに付いた赤い小さな花が、緑の中に朧に見えるほど咲いている。
こんなに沢山の集まりを見たのは初めてである。
小さい花が開くと、上が赤で、下が白いので、紅白の水引に擬えて命名したそうだが、そういう部分の確認は出来なかった。