「もう蕎麦花は終わっているかもしれない」
そう思いながらも、晴れた日に恵まれたお昼前、家に燻っているよりはとドライブのつもりで、桜井市 笠方面に出かけた。
ススキの方がよく目立つ笠地区の蕎麦畑だった。
花が満開の時、テレビで見たのは2週間も前だったろうか、一面緑の上に、白い真綿を被せたような美しい蕎麦畑だった。
今では、黒い蕎麦の実が目立っている。
去年もそうだったのだ。
どうも私はここの満開の花に縁がない。
それだけに、また来年へと楽しみ送りをする。
この道路は来た道じゃない。
くねくねの細い山道を戻るよりは、ここを走った方がよさそうだと思って盛りの過ぎた蕎麦畑を横に見て走らせた。
しかしこれは長続きはしなかった。
再び細い山道の下りとなる。
「天理へ」という木の標識のある岐路に来た。
通ったことのない道路だが天理に向かっているのならまあいいやと、標識に従って、とろとろ下っていった。
橋の向こうが公園になっている。
余り綺麗とはいえない手入れ不足の公園だが、桜の頃はいいだろうなあと思うような古木が何本かあった。
駐車場に車を置いて橋の中ほどまで歩いてみる。
これはいい景色だ。
天理に出ることだけを目的に車を走らせてきたが、初めての道で、初めて出会った小さい青垣湖は、この日の大きなプレゼントのような気分にさせてもらった。