丘の上に背比べをするように咲いているのは、トリトマである。ゆり科の花で、小さい花が集まって筒状になっている。この花は蕾の時は赤色で開花すると黄色くなってくるそうである。花の一つ一つはみんな下を向いて咲くので、全体的に見ると小さい花の集まりであるのが分かりにくく、最初にこの花を見たときは、どんな作りになっているのかしげしげ眺めたものである。
英名は 「トーチリリー」で、直訳したら「松明ユリ」なのだから、日本に来た時に松明ユリと名づけて欲しかったなぁと、植物学者に叱られそうなことを思っている。
長く伸びた花茎に咲く細長い筒状の花を、たいまつが燃えているように見立てたうまいネーミングなのだから、やはり「トリトマ」よりは「松明ユリ」のほうが視覚的にもいいのにと、素人の勝手な思いが、この花の傍に来るとつい出てくる私見は、きっと笑われそうである。
花言葉は「あなたは私を楽しませる」である。 いいろんな楽しみを私はこの花に貰っているのだ。
花壇でなくて散策路を歩いている時、低い草の中にたった一本ホタルブクロが咲いているのを見かけた。
名前は、「花の中に蛍を閉じ込めると、その明かりが外へ透けて見える」ところからきているらしい。また、提灯の古名を「火垂(ほたる)」といい、その提灯に似ているので「ほたる」、それが「蛍」になったとも。どちらの名前の由来も、日本の季節にふさわいい趣のあるいい名前だと思う。
花の道を歩いていると、ヒラヒラと優雅に飛んできて目の前の草に留まった。アゲハチョウの仲間だろうが名前は知らない。すぐに飛び立つと思っていたが、このままの姿勢で羽根を休めている。蝶は休む時羽根を立ててヨットのようにすると聞いていた。羽根を広げたまま留まるのは、蛾だと区別するのだと、蛾の嫌いな私に教えてくれた人が居たのを思い出した。でもこれは確かに蝶だと思ったのでカメラに収めた。
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