明日開園という日、慌て者の私のしでかしそうな間違いだった。
受付で挨拶をしたら「明日からですが、裏の方はまだ準備ができていないので、表だけでも見てください。」
そのご好意で境内の表の、藁苞(わらづと)の中で、健気に咲く今年初の美人との出会いがあった。
境内から山門の向こうに当麻の里が広がる。
優しいピンクの衣装を纏った寒牡丹。
葉がごく小さいか、ないのが今咲いている寒牡丹だ。
葉がない分花がにこやかに迎えてくれる華やかさがある。
夕日が境内に差してくるころだったので、花の色が飛んでしまったのが残念。
藁苞にちゃんと収まっている子は花の色がそのままで美しい。
臙脂よりもさらに深い赤、黒に近い色の美しさに惹かれる。
表のお庭だけだと言ってくださったが、今日の出会いには十分満足してほのぼのとした安らぎを頂くことができた。
西日が差して薄い花弁が、セロファンのように透けている。
山門から長い築地塀に続く塀の内側に、今頃赤とんぼが留まっている。
これは地面の上でなく塀にへばりつくように留まっているのだ。
寒さで動けないのだろうかと気になった。
でもトンボのいる所は夕日が差しているので、塀も温かいのかもしれない。
明日から石光寺の牡丹園は開園する。
また時間があったら、裏に咲く美人にも会いに行きたいと思っている。