(4月3日、ハンガリーで議会選挙が行われ、オルバン首相(写真中央)率いる右派与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が勝利を確実にした。【4月4日 ロイター】)
【ロシア 天然ガスで欧州を揺さぶる】
ロシアの天然ガスを欧州に運ぶパイプライン「ノルトストリーム1」の定期点検が7月21日に終わり、ロシアからのガス供給が再開しました。流量は定期点検前と同様に、供給能力の4割程度でした。
ロシア国営ガス会社、ガスプロムは7月25日、「ノルトストリーム1」による天然ガスの供給能力を2割まで落とすと表明し、今後の供給に関する不安が広がっています。
****ロシアが欧州向け天然ガス供給を一段と削減へ、欧州ガス急騰*****
ロシアは欧州向けの主要パイプライン「ノルドストリーム1」を経由したドイツへのガス供給を一段と削減する。冬に向けた欧州のエネルギー備蓄に暗雲が垂れ込めた。
ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムの発表によれば、同パイプラインの輸送稼働率をモスクワ時間27日午前7時(日本時間同午後1時)から20%前後に引き下げる。タービンの保守点検の問題が背景にあると説明した。
ガスプロムの発表を受け、欧州の指標ガス先物価格は一時12%上昇した。
この稼働率がいつまで続くかは不明。ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う対ロ制裁で悪化した欧州のエネルギー危機は欧州連合(EU)域内経済に大きな打撃を与える恐れがある。
通常6基のタービンが使用されるが、ガスプロムの発表によると、ロシアのポルトバヤ圧縮機ステーションではタービン1基のみが作動している。交換用タービン1基がカナダで点検修理された後、国際制裁により返還が遅れており、残りはなおロシア国内にあって保守点検のためカナダに送る必要がある。(中略)
ロシアのプーチン大統領はカナダで修理されたタービンがロシアに戻れば稼働率40%が可能になると述べた。今月実施された定期点検の前の稼働率は40%で、点検後も引き続きその水準となっていた。【7月26日 Bloomberg】
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こうしたロシア側の対応を受けて、6月上旬にはいったん落ち着いていた天然ガス価格が急騰しています。
****欧州ガス価格が一時2割上昇、4か月半ぶり水準…ロシア「天然ガス8割減」で供給不安****
26日の欧州ガス市場で、代表的な指標となる「オランダTTF」の先物価格が一時、前日終値から2割上昇し、1メガ・ワット時あたり211ユーロをつけた。ロシア産天然ガスの供給不安が強まり、3月上旬以来、4か月半ぶりの高水準となった。(中略)
オランダTTFの先物価格は、ロシアのウクライナ侵略を受けて、3月上旬に1メガ・ワット時あたり200ユーロ台をつけた。その後は、100ユーロ前後で推移し、6月上旬には80ユーロを割り込んだ。現在の水準は1年前の約5倍となる。(後略)【7月27日 読売】
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【EU 天然ガス使用量を15%削減】
EUは「ノルトストリーム1定期点検以降のロシアの対応・プーチン大統領等の発言をウクライナを支援する欧州に対する「脅迫」と認識し、ガス使用量の15%削減を加盟国に求めました。
****EU、天然ガス使用量15%削減目指す ロシアの「脅迫」に対抗****
欧州連合欧州委員会は20日、ロシアのエネルギー供給をめぐる「脅迫」に対抗するため、加盟国に対し冬季の天然ガス使用量を15%削減するよう呼び掛けた。
欧州委はまた、ロシアが欧州へのガス供給を停止した場合に、使用量の削減を強制できる特別権限を同委に付与するよう要請した。
欧州委はまた、ロシアが欧州へのガス供給を停止した場合に、使用量の削減を強制できる特別権限を同委に付与するよう要請した。
ウルズラ・フォンデアライエン委員長は「ロシアはわれわれを脅迫している。ロシアはエネルギーを武器として使っている。大規模なガス供給制限であれ全面停止であれ、欧州はいかなる事態にも備えておかなければならない」と述べた。 【7月20日 AFP】
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しかし、国民の生活に直結する「15%削減」にはEU内部でも多くの反対がありました。
****EUのガス使用節減計画、27カ国中12カ国が難色=当局筋****
欧州連合(EU)欧州委員会が提案した来年3月までガスの使用量を15%削減する目標の設置に対し、加盟27カ国のうち少なくとも12カ国がこの提案に懸念を示したことが分かった。20日の会合に参加した5人のEU当局者がロイターに語った。
欧州委は20日にこの案を提案した。これは自主目標だが、欧州委は、域内で深刻なガス不足が生じる可能性がかなり高いと判断した場合、この目標を義務化することもできる。
この提案には加盟国の過半数の賛成が必要なため、実現が危ぶまれている。ギリシャやポルトガルの政府関係者からはすでに反対の声が上がっている。【7月22日 ロイター】
欧州委は20日にこの案を提案した。これは自主目標だが、欧州委は、域内で深刻なガス不足が生じる可能性がかなり高いと判断した場合、この目標を義務化することもできる。
この提案には加盟国の過半数の賛成が必要なため、実現が危ぶまれている。ギリシャやポルトガルの政府関係者からはすでに反対の声が上がっている。【7月22日 ロイター】
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異論も多い提案でしたが、一応、EUは合意にこぎつけました。
****EU、ロシア依存脱却へ天然ガス15%削減で合意****
欧州連合は26日、天然ガス使用量を15%削減し、ロシア産ガスへの依存を減らす方策について合意した。
ロシア国営天然ガス大手ガスプロムは、27日から欧州へのガス供給を削減すると予告している。電力や化学薬品の製造でロシア産のガスに依存するドイツをはじめ、複数の国の経済が脅かされている。
EU加盟27か国は、ガス使用量の削減方策や不足時の負担分担などについて合意した。
EUの担当閣僚による閣僚理事会は「EUのエネルギー供給をめぐる安全保障を高めるために、加盟国はきょう、今冬の天然ガス需要を自主的に15%削減する政治的合意に達した」との声明を出した。
この中で「ガス需要削減の目的は、エネルギー供給を武器として利用し続けているロシアからのガス供給が途絶えた場合に備え、冬に向けてガスを節約することにある」とした。深刻なガス不足の際には警告を出し、加盟国に消費抑制を義務付ける可能性もあるという。
ルクセンブルクのクロード・トゥルメス土地計画・エネルギー相はツイッターに、節ガスはロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「ガスによる脅し」への最善策だと投稿。反対票を投じたのはハンガリーだけだったと明らかにした。 【7月26日 AFP】
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ただ、合意を得るため、多くの妥協・修正はあったようです。
****EU、ガス消費削減合意 例外容認、反発受け大幅修正****
(中略)南欧諸国などが15%の一律削減を義務付けることに異議を唱え、例外措置を認めることで妥協が成立した。
欧州委員会が20日に示した原案では、ガス供給が逼迫(ひっぱく)した場合、欧州委が警報を発令し、加盟国に削減を義務付けられると定めていたが、合意では大幅に修正された。
EU声明によると、アイルランドやマルタなど、大陸のガス供給網に加わっていない島国は、例外として削減義務に縛られない。バルト諸国も除外対象。液化天然ガス(LNG)ターミナルを保有し、ほかの加盟国に輸出する能力がある国も、例外扱いが認められた。警報は、閣僚理事会が欧州委の提案を受けて発令することになった。
欧州委の原案には反対が相次いでいた。国内にLNGターミナルを持つフランスやスペイン、ポルトガル、ギリシャは、「一律15%の目標設定は公平でない」として、反対を表明した。
ドイツや東欧がパイプライン経由の露産ガス輸入に頼り、切り替えが難航しているのに比べ、アフリカなどへの供給元の多極化が進んでいるためだ。
東欧でも、ポーランドが「押し付けは認めない。エネルギー安全保障は国家の権限」と抗議した。理事会はロシアの供給削減で、ガス価格が上昇する中、例外を設けても早期合意を優先する形となった。
緊急対策には、ガス不足の際に民間世帯のほか、医療や防衛など基幹分野に供給を優先する方針も記された。
ロイター通信によると、理事会の採択ではハンガリーが反対した。ハンガリーは理事会を前に閣僚をモスクワに派遣し、ロシアにガス供給を増やすよう要請するなど、EUの対露制裁に否定的な立場を示している。
EUはガス輸入の4割をロシアに依存してきた。【7月26日 産経】
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【EU方針に最後まで反対したハンガリーの特異な立場】
多くの妥協が図られましたが、最後まで反対したのがハンガリー。
****EUのガス削減計画「強制できない」 ハンガリーが反発****
欧州連合加盟各国が合意した天然ガス消費量の削減計画について、唯一反対していたハンガリーは26日、「強制できない」ものだと反発した。
この計画はEU加盟27か国に対し、来月から来年3月までのガス消費量を、過去5年間の平均に比べて自主的に15%削減するよう求めるもので、加盟国の多数決で承認された。ロシアはさまざまな理由でEU諸国へのガス供給を停止または削減しており、欧州側はウクライナ侵攻をめぐる対ロシア制裁への報復だとみている。
ブリュッセルを訪問しているハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は記者団に対し、「これは正当化できず、役に立たず、強制できず、有害な提案だ」と糾弾。「ハンガリー国民の利益を完全に無視している」と非難し、「ハンガリーにはガスがあるにもかかわらず、国民や企業が使えないのはなぜか、ブリュッセルの誰かがハンガリー人に説明してくれるのだろうか。まったくばかげた話だ」と切り捨てた。
ロシア産の天然資源に大きく依存しているハンガリーは今月、エネルギー供給をめぐって「危機的な状況」にあると宣言。同国は現在、石油の65%、天然ガスの80%をロシアからの輸入に頼っている。
シーヤールトー氏は先週モスクワを訪れ、天然ガス7億立方メートルの追加購入についてロシア側と協議していた。ハンガリーの天然ガスパイプライン運営企業FGSZによると、これは同国の2020年の天然ガス消費量の約6.7%に相当する。 【7月27日 AFP】
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ガス問題に限らず、そもそもハンガリーはEUの対ロシア制裁全体について反対の立場です。
****EUの対ロシア制裁は失敗、新たな戦略必要=ハンガリー首相****
ハンガリーのオルバン首相は23日、欧州連合(EU)の対ロシア制裁は効果が出ておらず、新たな戦略が必要との考えを示した。また、ハンガリーはウクライナ戦争に関与しないと再度表明した。
オルバン氏は以前、EUの禁輸措置やロシア産ガスの輸入制限を支持しないと述べている。ハンガリーは輸入ガスの85%をロシア産に依存しており、輸入を制限すれば国内経済に打撃を与える。
オルバン氏は欧米の戦略について、1)北大西洋条約機構(NATO)の武器でウクライナはロシアに勝利できる、2)制裁はロシアを弱体化させて政権指導部を不安定にする、3)制裁の打撃は欧州よりロシアの方が大きい、4)各国が欧州を支持する──の4本柱で成り立っていると説明。
オルバン氏は以前、EUの禁輸措置やロシア産ガスの輸入制限を支持しないと述べている。ハンガリーは輸入ガスの85%をロシア産に依存しており、輸入を制限すれば国内経済に打撃を与える。
オルバン氏は欧米の戦略について、1)北大西洋条約機構(NATO)の武器でウクライナはロシアに勝利できる、2)制裁はロシアを弱体化させて政権指導部を不安定にする、3)制裁の打撃は欧州よりロシアの方が大きい、4)各国が欧州を支持する──の4本柱で成り立っていると説明。
欧州の政権は「ドミノ倒し」のように倒れ、エネルギーは高騰し、戦略は失敗に終わったとして、新たなやり方が必要と述べた。
ロシアの軍事力がウクライナ軍を上回ることを踏まえると、ウクライナがこの戦争に勝つことはないと指摘した。
ロシアとウクライナの間で和平交渉が行われる可能性は低いとし、「ロシアが安全保障を望んでいる以上、この戦争はロシアとアメリカの和平交渉によってのみ終結可能だ」と述べた。【7月25日 ロイター】
ロシアの軍事力がウクライナ軍を上回ることを踏まえると、ウクライナがこの戦争に勝つことはないと指摘した。
ロシアとウクライナの間で和平交渉が行われる可能性は低いとし、「ロシアが安全保障を望んでいる以上、この戦争はロシアとアメリカの和平交渉によってのみ終結可能だ」と述べた。【7月25日 ロイター】
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更に言えば、ウクライナ問題・対ロシア制裁に限らず、そもそも基本理念・価値観においてハンガリー・オルバン政権は西欧的民主主義とは異なる「非自由主義的民主主義」とも言われる価値観を有し、国内反対派、政府に批判的なメディア、移民・性的マイノリティーといった少数派への攻撃・不寛容姿勢を露わにしている・・・・ということは、これまでも再三取り上げてきました。
ハンガリーがEU方針に反対することは、EU指導部を想定内でしょう。
EUはハンガリーを欧州司法裁判所に提訴する関係にもなっています。
****欧州委、ハンガリーを提訴 反LGBTQ法めぐり****
欧州連合の欧州委員会は15日、ハンガリーが未成年者に向けたLGBTQなど性的少数者に関するコンテンツを禁じたことをめぐり、同国を欧州司法裁判所に提訴した。
ハンガリーは昨年、EUや加盟各国首脳の度重なる警告にもかかわらず、「反小児性愛法」を施行。未成年者に対して同性愛や性別移行を「助長」する行為などを禁止した。ナショナリストで保守派のオルバン・ビクトル首相は、同法は同性愛嫌悪的なものではなく、「子どもの権利を守る」ことが目的だと主張している。
欧州委は声明で、同法がEUの市場規則に違反し、LGBTQなどの個人の基本的権利を侵害しているとし、「EUの価値観」に反すると非難した。欧州司法裁は、その決定に対する違反行為に罰金や経済的罰則を科すことができる。
欧州委はさらに、ハンガリー規制当局による独立系ラジオ局クラブラジオの閉鎖に関しても同国を提訴。EUはまた、同国政府の汚職対策が不十分であるとして、同国への予算配分を停止する手続きを開始している。 【7月16日 AFP】
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【オルバン首相 「(非欧州人との)混血の国は望まない」発言】
これまでも物議を醸す言動が多いオルバン首相ですが、今度は「我々は(欧州人同士が)混ざり合うことは望むが、(非欧州人との)混血の人間が生まれることは望んでいない」と。
****ハンガリー首相の「混血の国は望まない」発言 「まさにナチスの物言い」と側近辞任****
ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相が「混血の」国になることを望まないと発言したことを受け、首相の側近の1人が26日、辞任した(編集部注:ハンガリーの名前は日本と同じ、姓+名の順番のため、そのように表記しています)。
辞任したのは首相顧問のヘゲドゥス・ジュジャ氏。ハンガリーのメディアによると、ナショナリストのオルバン首相の顧問を長年務めてきたヘゲドゥス氏は、今回の首相発言について「ナチスそのものの物言い」だと批判した。
国際アウシュヴィッツ委員会はオルバン氏の発言が「愚かで危険」なものだと指摘した。
一方、首相報道官のコヴァックス・ゾルタン氏は、「移民と同化についていくつか強く発言した部分について、主要メディアが過剰反応」しながら、肝心の首相演説の要点には触れていないと反論している。
「ナチスそのものの物言い」
問題の演説は23日、大規模なハンガリー人コミュニティがあるルーマニアの地域で行われた。
その中でオルバン首相は、欧州人は自由に混ざり合ってもいいが、欧州人と非欧州人が混ざり合うことで「混血の世界」が生まれると発言。「我々は(欧州人同士が)混ざり合うことは望むが、混血の人間が生まれることは望んでいない」と述べた。
オルバン氏は以前から、反移民の立場を取っていることで知られる。ただし、ヘゲドゥス氏は今回の演説について、容認できないと強く反発した。
ハンガリーのニュースサイト「hvg.hu」によると、ヘゲドゥス氏は辞表の中で、「(首相の)演説は(ナチスの宣伝大臣を務めた)ヨーゼフ・ゲッベルスにこそふさわしい、ナチスそのものの物言いだ。(オルバン氏が)自分でそれに気づかなかったとは、とても思えない」と批判した。
オルバン氏はヘゲドゥス氏の批判に手紙で答え、「私の政府は反ユダヤ主義と人種差別の両方に対して、絶対不寛容の方針を取っている。君はそれを誰より承知のはずだ」と、自分の発言を擁護した。
ルーマニアでの演説でオルバン氏はさらに、欧州連合(EU)がロシア産天然ガスの使用を15%削減すると合意したことも批判し、「過去を振り返れば、ドイツ式のやり方が分かる」とも述べた。これはナチス・ドイツが強制収容所のガス室でユダヤ人などを大量虐殺したホロコーストを念頭にした、軽口と受け止められている。
ハンガリー最大のユダヤ人団体は首相の演説を非難し、オルバン氏との面会を求めている。第2次世界大戦の末期には50万人以上のユダヤ系ハンガリー人が殺害されており、その多くがアウシュヴィッツ強制収容所で命を落とした。
ロシアのガス輸入増量を検討
オルバン氏はウクライナでの戦争についても言及し、西側諸国の支援は失敗した、対ロシア制裁は効いていないと指摘。和平交渉が優先されるべきだと主張した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と良好な関係を維持してきたオルバン氏は、EU加盟国の指導者として唯一、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を公然と批判している。
他のEU加盟国は、ロシア産エネルギーを輸入し続けることがロシアに軍資金を提供するに等しいというゼレンスキー大統領などの批判を受けて、ロシアからの天然ガス輸入を大幅に減らすことで合意した。しかしオルバン政権からは今月半ばに外相がモスクワを訪れ、ガス輸入拡大についてロシア政府と協議した。
ハンガリーは現在、使用するガスの8割をロシアから輸入している。
オルバン政権はEUから多額の資金援助を受けているにも関わらず、報道の自由や移民問題など法の支配をめぐる問題でEUと頻繁に衝突している。【7月27日 BBC】
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ハンガリー・オルバン首相については、今更・・・というか、いつまでEUとして一緒にやっていくのか?とも思いますが、問題はオルバン首相の発言に本音で一定に共感する人々が他国にも存在することでしょう。
****仏パリの高級レストランに人種差別疑惑 非白人の入店拒否か****
仏パリの高級レストランでドアマンをしていた男性が25日、非白人客の入店を拒否するよう指示されたと証言したのを受け、人種差別疑惑が浮上している。
問題の店は、シャンゼリゼ通りにほど近いモンテーニュ通りにあるレストラン兼ナイトクラブの「Manko Paris」。黒人女性3人が16日に入店を拒否された時の動画をティックトックに投稿したことがきっかけで疑惑が浮上。検察当局が人種差別の容疑で捜査を進めている。
ペルーをテーマとした同店は疑惑を否定するとともに、3人に謝罪した。
ドアマンのダミアンさんは25日、「『アフリカ人やマグレブ(北アフリカ)出身者を多く入れてはいけない』と言われた」とBFMテレビで証言した。
ダミアンさんは民間警備会社から派遣されて働いていたが、動画の拡散後、同店に契約を切られた。入店拒否については「支配人ら」からの指示であり、「店の方針」に従っただけだと釈明した。
動画によると、黒人女性3人はドレスとハイヒールを着用していたにもかかわらず、「イブニングウエア」を着ていないとして入店を拒否された。女性の一人は「イブニングウエアを着ているじゃない! 冗談でしょう。何を着て来たらよかったの?」「人種差別を受けたのは生まれて初めて」と話している。
別の黒人客も入店を拒否されたが、白人客は入店を認められていた。 【7月28日 AFP】AFPBB News
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なお、オルバン首相が国民に支持される国内事情などについては、長くなるので別機会に。