(北京駅前を歩く防護服姿の旅行者(7日)=ロイター【1月15日 読売】 ミニスカート女性と防護服、面白い画像ではありますが・・・)
【習近平主席 政策急転換による混乱を乗り切ったとして、自信を誇示】
ゼロコロナからのハードランディングを決行している中国では習近平国家主席が“今月22日の旧正月を前に政策急転換による混乱を乗り切ったとして、自信を誇示したかたち”とか。
****中国・習主席「非常に激しかったし、感染拡大も速かった」 ゼロコロナ政策の転換以降初の“具体的言及”****
中国の習近平国家主席は18日、国内向けのスピーチで、新型コロナウイルスの感染爆発について「非常に激しかったし、感染拡大も速かった」と述べました。
中国の国営メディアは18日、習主席がオンラインを通じて、新型コロナに感染した患者や医療関係者らをねぎらう様子を報じました。
習主席「重症患者の状況はどうですか?」
医療関係者「先月31日にピークを越え、状況は好転しています」
習主席「今回の新型コロナ感染の波は爆発が非常に激しかったし、速かった。多くの医療関係者は、コロナ予防と治療の両面で戦ってきた」
習主席が国内の感染状況について具体的に言及するのは、ゼロコロナ政策の転換以降初めてです。
中国各地の感染爆発がピークを越えたと伝えられる中、今月22日の旧正月を前に政策急転換による混乱を乗り切ったとして、自信を誇示したかたちです。【1月19日 日テレNEWS】
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実際、中国国内の各地はコロナ前の賑わいを取り戻してもいるようです。
****「夜明けは間近だ」習近平氏がコロナ政策“正当性”アピールも…春節期間中に「死者1日3万6千人も」英調査会社分析****
中国の旧正月・春節に向けた、延べ21億人の大移動はピークを迎えた。
春節目前で各地で賑わい
春節にともなう移動の“ピークを迎える”といわれていた19日。北京駅には、大きな荷物を持った帰省客が次々とやって来た。 帰省客:3年ぶりに家族に会うのが楽しみです。
また、かつて“新型コロナの震源地”ともいわれた武漢の街も、賑わいをみせていた。食べ歩きを楽しむ人の姿も、あちこちで見られた。3年前には考えられなかった光景だ。
人気の繁華街付近にある日系の飲食店は、開店したばかりにも関わらず、ほぼ満席になっていた。(中略)
習氏はコロナ政策の“正当性”アピール
良くも悪くも、“コロナ前”とほぼ変わらぬ様子がみられるなか、習近平国家主席は18日、オンラインでさまざまな人との対話を行った。
福建省の高齢者施設に暮らす人との対話では、習主席が「皆さん、新年おめでとう」と挨拶し、一同「習主席、新年おめでとうございます!」と応えた。
満面の笑みで語りかけた習主席。人々は皆、中国国旗カラーのマスクを着用していた。洋服も赤一色だ。
また、黒竜江省にある病院では、医師や看護師らが直立不動のまま、拍手で習主席を迎えた。
さらには、鼻に酸素チューブをつけた入院患者まで登場し、「習主席、ありがとうございます!私の体調はとても良いです!回復はとても早いです!」と述べた。
習主席はこの日の対話で「夜明けは間近だ」と話すなど、自らのコロナ政策の正しさをアピールした。
その一方で、イギリスの調査会社の分析によると、この春節の期間中、中国での死者が1日3万6000人に達する可能性があるという。【1月19日 FNNプライムオンライン】
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【緩和策実施後の死者数を1か月ほどで約6万人とする数字を急遽公表 しかし、それも政治圧力による「過小」】
死者数はこれまでは一日で数人程度とされ、「過少評価だ」との批判も上がっていた中、14日には緩和策実施後の死者数を1か月ほどで約6万人とする数字を急遽公表しています。
春節直前の習近平国家主席の「夜明けは間近だ」とする発言の前に、合併症による死者を感染による関連死と認めることで、実態を反映していないとする国際社会からの批判をかわす狙いがあるとみられています。
****中国のコロナ関連死、1カ月で約6万人 ゼロコロナ政策緩和後****
中国は14日、厳しい「ゼロコロナ」政策を大幅緩和した先月8日から今月12日までの1カ月余りの間に、新型コロナウイルスに関連して死亡した人が6万人近くになったと発表した。同政策の大幅緩和後に死者数が公表されるのは初めて。
中国当局によると、昨年12月8日から今月12日までの間に新型ウイルス関連死として記録された人は5万9938人だった。死者の大半は、基礎疾患のある80歳以上だったという。
死因の内訳は、新型ウイルスに直接起因する呼吸不全による死亡が5503人、基礎疾患と感染が複合的に作用したことによる死亡が5万4435人。この数字は医療
関で記録された死者のみを対象としているため、実際の人数はさらに多いとみられる。
中国国内の病院や火葬場がひっ迫していることを示す証拠があるにも関わらず、中国政府は新型ウイルスによる死者数を過少報告していると広く非難されている。
中国政府は先月、新型コロナウイルスによる死者数には、ウイルスが直接引き起こした呼吸器疾患で死亡した人のみを含めるという、新しい分類方法を採用した。
世界保健機関(WHO)は今月4日、中国政府による新型ウイルス死者のこの定義は「非常に狭く」、「真の影響を過小評価」していると警告した。
中国政府は常に、自分たちのデータは正確だと主張し、WHOに「科学的、客観的かつ公正な立場を守る」よう求めている。
当局によると、入院する重症患者の数は1月上旬にピークに達した。ただ、その後も高い水準で推移している。
当局は農村部での状況を引き続き監視し、感染の早期発見と、重症化リスクのある人への優先的な治療に注力するとしている。【1月15日 BBC】
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中国当局も冒頭の習近平発言を裏付ける見解を公表しています。
****中国「コロナ感染状況落ち着く」、春節の帰省ラッシュ控え見解***
中国当局は、春節(旧正月)の連休に伴う帰省ラッシュが予想される20日を前に新型コロナウイルスとの戦いで最悪期を脱したとの見解を示した。
国営の新華社が19日夜に伝えたところによると、中国のコロナ対策を監督する孫春蘭副首相は「国内の感染状況はこのところ比較的低い水準にある」と指摘。「救助活動はまだ厳しい状況だが、病院の重症患者数は着実に減少している」と述べた。
世界保健機関(WHO)が19日に公表した週次報告書によると、1月15日までの間に中国で新型コロナ感染で入院した人の数は前週から70%増加し、コロナ禍が始まって以降で最高となった。
しかし、中国保健当局は19日の記者会見で、コロナ患者の入院報告数は頭打ちしたとし、1月5日のピークに比べ、17日は重症で治療を受けた人が40%以上少なかったと発表した。【1月20日 ロイター】
国営の新華社が19日夜に伝えたところによると、中国のコロナ対策を監督する孫春蘭副首相は「国内の感染状況はこのところ比較的低い水準にある」と指摘。「救助活動はまだ厳しい状況だが、病院の重症患者数は着実に減少している」と述べた。
世界保健機関(WHO)が19日に公表した週次報告書によると、1月15日までの間に中国で新型コロナ感染で入院した人の数は前週から70%増加し、コロナ禍が始まって以降で最高となった。
しかし、中国保健当局は19日の記者会見で、コロナ患者の入院報告数は頭打ちしたとし、1月5日のピークに比べ、17日は重症で治療を受けた人が40%以上少なかったと発表した。【1月20日 ロイター】
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実際、予想されたより早くピークを迎えたようにも見えます。
ただし、それはハードランディングという劇薬のもたらす結果を伴っての話です。
“先月8日から今月12日までの1カ月余りの間に、新型コロナウイルスに関連して死亡した人が6万人近く”という数字もあまり信ぴょう性はないように思われます。
****「死因はコロナ」と書けない中国の医師、政府が圧力か****
北京で新型コロナウイルス感染症の拡大がピークに達していた頃、私立病院で多忙なシフトに入っていたある医師のもとに、印刷された通知が救急部門から届いた。死亡診断書で新型コロナによる呼吸器疾患に触れることを「なるべく避ける」よう医師らに求める内容だった。
ロイターが閲覧した通知のコピーでは、死亡者に基礎疾患があった場合はそれを主な死因として記載するよう指示されている。
新型コロナ感染に伴う肺炎のほかに死因は認められないと医師が考える場合には、上長に報告しなければならない。新型コロナによる死亡と認定されるまでには、さらに2段階の「専門家への諮問」を経ることになる。
取材した公立病院の6人の医師も、新型コロナを死因とすることを控えるよう口頭で指示を受けたか、勤務先の病院にそうした方針があると認識していたとのことだった。
新型コロナで亡くなった人々の親族からも、死亡診断書に死因として書かれていなかったという証言があった。一部の患者は、呼吸器系の症状で病院に行ったにもかかわらず、新型コロナの検査をされなかったと報告している。
「昨年12月の規制解除以降、死因を新型コロナだと分類することはやめている」と語るのは、上海の大規模な公立病院に勤務する医師だ。「ほとんど全員が新型コロナ陽性だから、分類しても意味がない」
こうした指示に対し、世界的な医療専門家や世界保健機構(WHO)からは批判が噴出している。12月に厳格なゼロコロナ体制を放棄して以来、中国国内ではコロナが猛威を振るっているにもかかわらず、死亡例が極端に過少報告されているという批判だ。
中国当局者は1月14日、新型コロナ対策の大転換以来、6万人のコロナ患者が病院で死亡したと発表した。以前に公表されていた数値に比べ約10倍の数字だが、国際的な専門家が100万人を超えると試算しているのに比べれば大きな開きがある。(中略)
<「慎重」な対応を指示>
中国東部の都市、浙江省寧波で働くベテランの医師は、死因を新型コロナとするに当たっては「慎重」な対応を指示されているとし、そのように記載する場合には許可が必要になるだろうと話す。
このような「慎重さ」は、他の疾病を死亡診断書に記載する際には求められないと言う。
上海の大病院に勤務する医師は、今回の「波」が始まって以来、平年の同時期に比べ週単位での死亡率が3―4倍高くなっていると話す。
「死亡診断書では、主要な死因を1つ、副次的な死因を2つか3つ記載する。基本的に新型コロナは書かないようにしている」とこの医師は言う。
「病院からの指示は政府から来ているものであり、従う以外に道はない。私は何か決定できるような立場にはない」【1月20日 ロイター】
ロイターが閲覧した通知のコピーでは、死亡者に基礎疾患があった場合はそれを主な死因として記載するよう指示されている。
新型コロナ感染に伴う肺炎のほかに死因は認められないと医師が考える場合には、上長に報告しなければならない。新型コロナによる死亡と認定されるまでには、さらに2段階の「専門家への諮問」を経ることになる。
取材した公立病院の6人の医師も、新型コロナを死因とすることを控えるよう口頭で指示を受けたか、勤務先の病院にそうした方針があると認識していたとのことだった。
新型コロナで亡くなった人々の親族からも、死亡診断書に死因として書かれていなかったという証言があった。一部の患者は、呼吸器系の症状で病院に行ったにもかかわらず、新型コロナの検査をされなかったと報告している。
「昨年12月の規制解除以降、死因を新型コロナだと分類することはやめている」と語るのは、上海の大規模な公立病院に勤務する医師だ。「ほとんど全員が新型コロナ陽性だから、分類しても意味がない」
こうした指示に対し、世界的な医療専門家や世界保健機構(WHO)からは批判が噴出している。12月に厳格なゼロコロナ体制を放棄して以来、中国国内ではコロナが猛威を振るっているにもかかわらず、死亡例が極端に過少報告されているという批判だ。
中国当局者は1月14日、新型コロナ対策の大転換以来、6万人のコロナ患者が病院で死亡したと発表した。以前に公表されていた数値に比べ約10倍の数字だが、国際的な専門家が100万人を超えると試算しているのに比べれば大きな開きがある。(中略)
<「慎重」な対応を指示>
中国東部の都市、浙江省寧波で働くベテランの医師は、死因を新型コロナとするに当たっては「慎重」な対応を指示されているとし、そのように記載する場合には許可が必要になるだろうと話す。
このような「慎重さ」は、他の疾病を死亡診断書に記載する際には求められないと言う。
上海の大病院に勤務する医師は、今回の「波」が始まって以来、平年の同時期に比べ週単位での死亡率が3―4倍高くなっていると話す。
「死亡診断書では、主要な死因を1つ、副次的な死因を2つか3つ記載する。基本的に新型コロナは書かないようにしている」とこの医師は言う。
「病院からの指示は政府から来ているものであり、従う以外に道はない。私は何か決定できるような立場にはない」【1月20日 ロイター】
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【政府の欺瞞を承知していながら受け入れる社会 多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている】
強権的なハードランディングに伴う犠牲者・混乱は非常に大きなものになっていますが、それでも表面上は春節を迎える華やかさで覆われています。
多くの国民も政府発表の数字のいい加減さには気付いているとは思いますが、それでも中国社会では大きな問題とはなっていないようです。
****コロナ感染拡大でドタバタでも中国世論が荒れない事情****
(中略)
それでも中国共産党の危機にならない
では、(デマが飛び交うような世論統制の)この緩みは中国共産党にとっての危機になるのだろうか?
ゼロコロナを貫くと宣言した舌の根も乾かぬうちの手のひら返し。その後の準備不足が招いたドタバタ。そして、今現在進行しているであろう大量の高齢者の死。いずれも政権の正当性に疑念を抱くに十分な材料に思えるが、それが体制危機にはつながらないというのが筆者の見立てだ。
というのも、中国のソーシャルメディアのリサーチや、中国人からの情報収集でも、怒りよりもあきらめを感じるからだ。ゼロコロナ対策に対する抗議活動「白紙運動」のような怒りは間欠泉のようなもので、一時は盛り上がっても持続させることは難しい。
ましてや、今の中国では若く健康な人にとっては一度感染すれば、後はゼロコロナ対策よりもよっぽど自由で快適となる。高齢者や基礎疾患を持つ人、そしてその家族にとっては不安な日々が続くが、そうした少数派の苦しみに寄り添うムードは社会にはない。
神戸大学の梶谷懐教授との共著『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書、2019年)では、現在の中国の統治思想が功利主義に親和性を持つことを指摘した。監視国家化に傾斜する中国だが、それは多くの人民が日々苦しみにあえぐ強圧的な社会ではなく、少数の人々の犠牲には目をつぶることで大多数の人々は豊かで秩序だった幸福が与えられる社会である。
ゼロコロナ解除後の中国もまさにこの構図にあてはまりそうだ。高齢者や基礎疾患を持つ人々を排除することによって、大多数の健康な人々は長いコロナ禍から脱出し日常を取り戻す。この状況が社会不安につながるかどうかは損をしない大多数の人々が、苦しむ少数派の人々に共感するかどうかにかかっている。
しかし、今の中国では少数派の悲哀は検閲によって覆い隠されている上、多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている。ここに中国共産党の統治の強靱さがあるのだろう。【1月18日 WEDGE】
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“少数派の悲哀は検閲によって覆い隠されている上、多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている”・・・非常に怖い政治・社会体制です。
【密かに力でねじ伏せられる抵抗者】
春節に浮かれるその陰では、抵抗者への国家権力による厳しい報復が進行しています。
****ゼロコロナデモの女性、失踪状態に 助け求める動画****
ユーチューブに投稿された動画で助けを求める曹芷馨さん(共同)
昨年11月に中国各地で相次いだ「ゼロコロナ」政策に対する抗議デモを巡り、中国当局が参加者を相次いで拘束していると告発する動画がインターネット上で拡散している。参加者の一部が公然と習近平政権を批判したため、態度を硬化させた当局が水面下で取り締まりを進めているもようだ。
ツイッターで20日までに、当局に拘束されたとみられるデモ参加者の女性の動画が出回った。中国の人権問題を扱うウェブサイト「維権網」などによると、女性は北京大学出版社で編集の仕事に従事している曹芷馨(そう・しけい)さん(26)。曹さんは「皆さんがこの動画を見ているとき、私は既に警察に連行されている」と述べ、自分が行方不明になったら動画を公開するよう友人に頼んだと説明した。
曹さんは、ゼロコロナ政策に基づく封鎖措置で被害が拡大したとされる新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市の火災の犠牲者を追悼するため、昨年11月27日に北京市中心部で行われたデモに友人と参加。その後、警察に拘束されて取り調べを受けた。その際は解放されたが、12月18日に複数の友人が逮捕され、曹さんは24日に消息を絶ったという。
曹さんは動画で「私たちは現場で秩序を守り、警察との衝突も一切なかった」と強調。「私たちは、いわれもなく消え去りたくない」と助けを求めた。
動画は、曹さんら計13人のメディア関係者らが昨年12月10日から今年1月7日にかけて連絡が途絶えたと指摘している。中国当局は、デモ参加者に対する対応について明らかにしておらず、拘束の実態は不透明となっている。【1月20日 産経】
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