孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア  兵士補充に苦慮 ウクライナとの戦線に北朝鮮兵士投入 集団脱走の情報も

2024-10-16 22:32:41 | 欧州情勢

(朝鮮人民軍特殊作戦部隊の基地で行われた訓練 2024年10月2日、朝鮮中央通信【10月16日 毎日】
凄い訓練 こんな兵士が3000人いたらウクライナ軍をすぐに圧倒するでしょうが・・・)

【激しい兵士の損耗 補充に苦慮】
ウクライナはもちろん崖っぷちですが、攻めるロシアも苦しい。これまでにロシア軍兵士11万人超が死亡とも。

****ロシア軍の死者 侵攻開始から11万5000人に 米紙報道 9月は最も損失が多い月に****
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は、アメリカ政府がウクライナ侵攻によるロシア軍の死者数を11万5000人と推定していると報じました。

10日付のニューヨーク・タイムズはロシア軍の死傷者がこれまでに61万5000人に上り、そのうち11万5000人が死亡したとアメリカ政府が推計していることを当局者の話として報じました。

一方、ウクライナ軍の死傷者も30万人を超え、死者は5万7500人に上るとしています。

関係者によりますと、9月のロシア軍の一日あたりの死傷者は1200人に上ったとみられ、侵攻開始以来、最も損失が多い月になったということです。

ロシアの独立系メディア「重要な話」は、ロシア軍が9月に集中して多大な犠牲を払うことになったのは「ロシア側が優勢だ」と西側諸国に示すためだと指摘しています。

ロシアの攻勢をアピールすることで西側諸国がウクライナのゼレンスキー大統領に対して和平交渉への圧力を強めるように促すのがプーチン政権の狙いだとしています。【10月11日 テレ朝news】
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兵士の損耗を補充すべくプーチン大統領は18万人の兵力増強を指示しています。

****プーチン氏、ロシア軍に18万人増員を指示 150万人規模に****
ロシアのプーチン大統領は同国軍に18万人の兵力増強を指示した。ロシア大統領府が16日に発表した。ロシアが2022年2月にウクライナ侵攻を開始して以来、3度目の増員となる。

ロシア大統領府が公開した大統領令によれば、今回の増員によりロシア軍の総員は約240万人、このうち兵士の数は150万人となる。大統領令は12月に発効するという。

今回の増員の前には、ウクライナが先月、ロシア南西部のクルスク州に越境攻撃を仕掛けていた。ロシア領への外国による侵攻は第2次世界大戦以降、初めてだった。

ロシアは先週、クルスク州からウクライナ軍を排除する動きを強化したほか、ウクライナ・ドンバス地方東部の要衝ポクロウシクに向けて徐々に前進している。

プーチン氏は22年以降、予備役と徴集兵の動員に加え、兵士の増員を2度命じている。

22年8月には翌年初頭までに13万7000人の増員を命じ、ロシア軍は115万人の兵士を含む200万人強となった。

同年9月にウクライナ軍が奇襲に成功し、東部ハルキウ州の大半を奪還したことを受け、プーチン氏はロシア国民の即時の「部分的動員」を指示した。この動員では従軍の経験のある国民が徴兵の対象となり、予備役が招集される可能性があった。

この動員により、数十万人が国外に逃亡。その多くは隣国のジョージアやロシア国境近くの旧共産主義国に向かった。

23年11月には当局が目標とする30万人の兵員募集を達成したと発表。動員は一時停止されたが、プーチン氏は翌月、さらに17万人の増員を公式に命じ、ロシア兵の定員は132万人となっていた。【9月17日 CNN】
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しかし、長期化に伴い国民の間でのウクライナ侵攻に関する評価は芳しくありません。

*****ウクライナ侵略「より多くの損害をもたらした」ロシア人の47%、6ポイント増…独立系世論調査機関*****
ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」が9日公表した調査結果で、ロシアによるウクライナへの侵略が「より多くの損害をもたらした」と答えたロシア人が全体の47%に達し、昨年5月に比べて6ポイント増加した。

「より多くの利益をもたらした」との回答は同比10ポイント減の28%にとどまり、侵略の長期化で批判的な意見が増えている。
 
侵略がもたらす損害としては「死、苦しみ、悲しみ」(52%)や「兵士の死亡」(21%)のほか、「経済の悪化」(18%)や「国際的孤立」(7%)が挙がった。

ただ、和平合意のためロシアが一定の譲歩をする必要があるかとの問いには「全くない」「どちらかといえばない」で計71%を占めた。大多数が譲歩に否定的な意見を持っている模様だ。
 
調査は9月26日から今月2日まで、18歳以上の1606人を対象に対面式で実施した。同センターは、プーチン政権から「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながら調査を行っている。【10月11日 読売】
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こうした状況では兵士の補充もままなりませんし、無理に動員を強化すれば国民の反発を招きます。

【兵士補充の“奥の手” 北朝鮮兵士派遣】
これまでも、国民に「戦争」を意識させたくないということで、モスクワなど大都市を避けて、地方や少数民族から兵士を集めていましたが、それでも足りずに奥の手でしょうか。

****ロシアへ派遣された北朝鮮兵、ウクライナが侵入のクルスク州に展開か…「18人逃亡」報道も****
英BBCロシア語版などは15日、複数のウクライナ情報機関関係者の話として、最大3000人の北朝鮮兵の部隊がロシア極東ブリヤート共和国ウランウデ付近の露軍基地で、訓練を受けていると報じた。
 
英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」も15日、北朝鮮兵1万人がロシアに派遣されたと伝えた。ウクライナ国営通信は、自国の情報機関が露西部ブリャンスク州と、クルスク州で約3000人の北朝鮮兵を確認しており、このうち18人が逃亡したと報じている。クルスク州ではウクライナが越境攻撃を続けている。
 
ロシアはウクライナ侵略に絡む北朝鮮との協力を否定しており、北朝鮮兵はモンゴル系のブリヤート人としてロシアの身分証を支給されているとの情報もある。
 
一方、ロシア通信によると、プーチン大統領は14日、露朝が6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」を批准する法案を下院に提出した。【10月16日 読売】
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兵士の数については1万人という報道も。

****北朝鮮が兵士1万人をロシア軍に派遣か、「頭を下げ支援を求めざるを得ず」…英国の元駐露武官が分析****
ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」は15日、西側諸国筋の情報として、ウクライナ侵略を続けるロシア軍に北朝鮮兵1万人が派遣されていると報じた。
 
報道では、「(侵略開始から)2年半が経過した露軍は北朝鮮に頭を下げ、支援を求めざるを得なくなったことを示している」とする英国の元駐露武官の分析に言及した。派遣された北朝鮮兵の役割は明らかになっていないという。(後略)【10月16日 読売】
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ひとつ前の記事にあるように、プーチン大統領は14日、露朝が6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」を批准する法案を下院に提出しています。

****プーチン露大統領、「露朝戦略条約」法案を国会提出 北朝鮮と事実上の同盟締結へ****
ロシアのプーチン大統領は14日、北朝鮮と安全保障協力の拡大などを定める「包括的戦略パートナーシップ条約」を批准する法案を露下院に提出した。

条約は、どちらか一方の国が武力攻撃を受ける恐れが生じた場合に即座に協議を行うことや、実際に武力攻撃を受けた場合に相互が軍事支援を行うことなどを規定。一方が他方に不利益を与える協定などを第三国と結ばないことも定めている。

ロシアは北朝鮮と事実上の軍事同盟を結ぶ形。ウクライナ侵略で欧米諸国と決定的に対立したロシアは、核兵器開発や人権問題などを巡って同じく欧米と敵対する北朝鮮と関係を深め、欧米に対抗する思惑を改めて鮮明にした。露朝の関係強化は、両国の軍事的威圧と対峙(たいじ)する日本にとっても脅威となる。

法案は今後、露下院と上院で可決された後、プーチン氏の署名により成立する見通し。

米国やウクライナによると、ロシアは北朝鮮から調達した弾道ミサイルや砲弾をウクライナの戦場で使用。ロシアは見返りにロケットエンジン技術などを北朝鮮に提供していると観測されている。

露朝間の包括的戦略パートナーシップ条約は、6月に24年ぶりに訪朝したプーチン氏が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記とともに署名していた。【10月15日 産経】
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事実上の軍事同盟ですが、現実は先行して前述のような北朝鮮兵士派兵といったことになっているようです。

アメリカはこうしたロシアと北朝鮮の連携を懸念しています。

****“北朝鮮がロシアに人員派遣”の情報に米政府が懸念示す 「本当ならば両国の結びつきの進展示すもの」****
ウクライナでの戦闘を続けるロシアに対し、北朝鮮が人員の派遣を行っているとの情報について、アメリカ政府が懸念を示しました。

アメリカ国務省 ミラー報道官
「北朝鮮の兵士がロシアのために戦っているという情報を懸念している。もし本当ならば、両国の結びつきが著しく進んでいることを示すことになる」

アメリカ国務省のミラー報道官は15日の会見でこのように懸念を示すとともに、「戦場で大きな犠牲を出し続けているロシアが、さらにやけになっていることも示している」とも指摘しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、ロシアに対して北朝鮮が兵器の供与だけではなく人員の派遣も行っていると訴えていました。

また、ワシントン・ポストは11日、ウクライナ軍当局者の話として、現在、数千人の北朝鮮兵がロシアで訓練を受けていて、年末までに前線に配備される可能性があるとの見方を伝えています。【10月16日 TBS NEWS DIG】
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【北朝鮮兵士、早くも集団脱走の情報】
ロシア軍の戦術は兵士の犠牲をものともせず前進する人海戦術ですから、その最前線に送られたら死ぬ確率が非常に高い。プーチン大統領はそんな「使い捨て」用に使用するために北朝鮮から兵士を派遣してもらったのか?
金正恩朝鮮労働党総書記はそれを了解しているのか?

ただ、兵士でも一般市民でも、北朝鮮国民は自国から脱出したいっという強い願望がありますので、北朝鮮からロシアへ派遣された兵士にすれば、自国に関係ない戦争で死ぬのはまっぴらだし、この際脱走してウクライナ側へ・・・という話にもなります。

****ロシア国境付近で北朝鮮兵士18人集団脱走 派遣兵か 韓国紙報道*****
韓国紙の朝鮮日報は16日、ウクライナ軍高官の話として、ロシア西部ブリャンスク、クルスク両州のウクライナとの国境付近で、北朝鮮軍兵士18人が集団脱走したと報じた。ウクライナ軍は、脱走したのは北朝鮮が対露軍事協力の一環で派遣した兵士らで、まだ拘束されていないとみているという。(中略)
 
北朝鮮の派兵を巡っては、露政府は否定しているが、ウクライナ側からの情報発信が相次いでいる。
 
米紙ワシントン・ポストは11日、ウクライナ軍関係者の証言として「数千人規模の北朝鮮の歩兵部隊が露国内で訓練を受けている」と伝えた。年末までに前線に配置される可能性があるという。
 
また、ウクライナメディアは10月上旬、東部ドネツク州の露側占領地域で、北朝鮮軍の将校6人がウクライナのミサイル攻撃で死亡したと報じた。
 
米CNNは、北朝鮮がロシアに兵器を供給していることから、これらの兵器に関する工学的な支援や情報交換のために兵士が派遣されたとの情報を伝えている。【10月16日 毎日】
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集団脱走しないように監視しながら戦闘に参加させる・・・・なかなか難しいかも。

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