孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

COP28  石炭火力廃止で日本にかかる圧力 洋上風力発電にも問題 日米など、原発「50年までに3倍」

2023-12-02 22:25:04 | 環境

(【SOLAR JOURNAL】)

【モディ首相「ごく一部の人類がやみくもに自然を搾取してきたことで、いま人類全体がその代償を払わなければならなくなっている」】
気候変動問題を話し合う国際会議「COP28」が30日、UAE(=アラブ首長国連邦)のドバイで開幕しました。
焦点は化石燃料の扱い。温室効果ガスを大量に排出する化石燃料の削減といった具体的な方策を打ち出せるかどうかが焦点となります。

****COP28 首脳級会合 途上国の首脳 “化石燃料 大幅な削減を”****
UAE=アラブ首長国連邦で開かれている気候変動対策を話し合う国連の会議、COP28は1日、首脳級会合が行われ、気候変動による被害を受ける途上国の首脳からは、再生可能エネルギーの拡大や化石燃料の大幅な削減を求める声があがりました。一方、化石燃料の削減をめぐっては各国の間で意見に隔たりもあり、今後の交渉の争点になっています。(中略)

この中で、気候変動による影響がとりわけ深刻な途上国の首脳などからは、現状の対策では気温の上昇を抑えられないとして被害に対する資金提供や、化石燃料の大幅な削減を求める声が上がりました。

このうち、インド洋の島国セーシェルのラムカラワン大統領は「島国は気候変動の最前線で、高潮でインフラが被害を受け、国民の生活が危険にさらされている」と述べ、さらなる被害への対策などのため資金提供が必要だと訴えました。

また、深刻な干ばつに見舞われたケニアのルト大統領は「このままでは世界の気温は3度上昇するかもしれない。大胆なエネルギーの転換や、化石燃料への依存度の大幅な削減のための仕組みが必要だ」と述べ、再生可能エネルギーの拡大や化石燃料からの脱却を訴えました。

こうした訴えに対し、フランスのマクロン大統領は「G7の各国は、手本を見せるため、2030年ごろまでに石炭への依存をやめなければいけない」と述べ化石燃料からの脱却を推し進めていくという考えを示しました。

ただ、化石燃料の削減をめぐっては、国連のグテーレス事務総長がすべての化石燃料の段階的な廃止を目指すべきだとしていますが、新興国や先進国のなかには慎重な意見もあり、今後の交渉の争点になっています。

インド モディ首相「グローバルサウスにしわ寄せ」
インドのモディ首相は、COP28で行われている首脳級会合の演説で「インドは、2030年までに化石燃料以外のエネルギーの割合を50%にまで増やす方針だ」と強調し、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めていることをアピールしました。

その上で、「前世紀までの間違いを正す時間はあまりない。ごく一部の人類がやみくもに自然を搾取してきたことで、いま人類全体がその代償を払わなければならなくなっている。とりわけグローバルサウスの国々の住民にしわ寄せがいっている」と訴えこれまで二酸化炭素を大量に排出してきた先進国が責任をもって、気候変動の影響を受けている途上国を支援しなければならないという考えを強調しました。

ブラジル ルーラ大統領「アマゾン川の水位は過去最低」
ブラジルのルーラ大統領は1日、COP28で行われている首脳級会合の演説で、南米のアマゾン川が流れるブラジル北部で続く記録的な干ばつについて触れ「アマゾン川の水位は過去120年間で最低となった。世界最大の淡水の水源であるこの地で起きるとは想像もできなかった」と述べ、気候変動の影響が深刻化していると訴えました。

そして、途上国が気候変動対策を進めるためには、先進国の支援が欠かせないとした上で、これまで約束してきた年間1000億ドルという支援が実現していないとして、「容認できない」と非難しました。

イギリス チャールズ国王「実際に行動することが必要」
イギリスのチャールズ国王が、UAE=アラブ首長国連邦で開幕したCOP28に参加し、1日、演説しました。国王は環境問題に長年取り組んでいて、COPへの参加は去年9月に即位してから初めてです。

チャールズ国王は、干ばつや洪水などによる被害を受けている国々に言及し、「最も脆弱な犠牲者の増加を食い止めるためには、実際に行動することが必要だ」と強調しました。そして、世界の気候変動対策が「軌道から大きく外れている」と懸念を示した上で、「COP28が真の変革に向けた重要な転機となることを、心から祈っている」と述べました。【12月2日 NHK】
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【石炭火力 マクロン大統領、禁止に向けた有志連合を発足 岸田首相、全廃時期は示さず】
化石燃料、特にCO2排出が多い石炭の使用をどのように減らしていくのかが問われていますが、上記記事にもあるようにフランス・マクロン大統領は「G7が手本を示す」ことを主張しています。

****マクロン仏大統領、G7に2030年までの石炭火力「終止符」を要請****
フランスのマクロン大統領は1日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の演説で、主要7カ国(G7)は2030年までに石炭火力発電に「終止符を打つ」よう促した。石炭火力への依存度が高く、廃止の年限を定めていない日本に公の場で圧力を強めた形だ。

首脳級会合で演説したマクロン氏は、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭への投資は「実にばかげたことだ」と指摘。地球の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べ1・5度に抑える目標の達成に向け、先進国は模範を示した上で、途上国の石炭火力からの移行を支援すべきだとした。フランスはCOP28で米国と共に石炭火力の禁止に向けた有志連合を発足させる方針。

岸田文雄首相は1日の演説で、国内でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力は新設しないと表明したが、稼働中の発電所の廃止時期には言及しなかった。

今年4月のG7気候・エネルギー・環境相会合では、英国や米国などが共同声明に石炭火力の廃止時期を明記することを求めたが、日本の反対で見送られた経緯がある。国連のグテレス事務総長も、経済協力開発機構(OECD)の加盟国は30年までに、それ以外の国は40年までに石炭火力を段階的に廃止するよう求めてきた。

COP28では、成果文書に石炭を含むすべての化石燃料の段階的廃止・削減を目指す方針を明記できるかどうかが大きな焦点になっている。【12月2日 毎日】
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石炭依存については、フランスは発電電力に原発の占める割合が6割を超えているのに対し、日本は原発の割合がかつては3割超だったが現在は1割以下となっているという“事情”の違いもあります。(それが石炭火力継続の理由になるかどうかは賛否があるところですが)

岸田首相は排出削減対策の取られていない石炭火力発電所の新規建設を「終了する」と表明したものの、石炭火力の全廃時期は示していません。こうした日本の対応に対しては、化石燃料の延命策との批判も根強くあります。

****岸田首相、排出削減対策ない火力発電の新規建設終了を表明 COP28****
岸田文雄首相は1日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の首脳級会合で演説した。温室効果ガスの排出削減対策の取られていない石炭火力発電所の新規建設を「終了する」と表明。議長国のUAEなどが掲げる、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にするとの目標に賛同する姿勢を示した。

排出削減対策の取られていない石炭火力発電を巡っては、今年5月に広島市で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言で「建設終了に向けて取り組む」と明記したが、日本政府として国際社会に発信するのは初。首相はCOP28の場で表明することで日本の取り組みへの理解を得たい考えだ。

一方、日本は既存火力の排出削減策として、石炭にアンモニアや水素を混ぜて二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「混焼」やCO2回収・貯留技術(CCS)を進め、石炭火力をできるだけ長く利用する方針で、石炭火力の全廃時期は示していない。混焼を巡っては欧州などから化石燃料の延命策との批判も根強い。(後略)【12月1日 毎日】
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【洋上風力発電 コスト上昇、大型化の弊害、中国依存などの問題に直面】
化石燃料に代わる発電として期待される再生可能エネルギーが風力発電、特に大型の洋上風力発電ですが、ここにきて問題が指摘されています。

****「嵐」に見舞われる欧州洋上風力発電、脱炭素目標に黄信号****
洋上風力発電業界は、サプライチェーン(供給網)の混乱、風力発電装置の設計上の問題、コストの上昇などが重なり、嵐のような逆風にさらされている。このため数十件の開発プロジェクトに支障が生じており、各国の気候変動目標の達成にも影響が及ぶ恐れがある。

化石燃料への依存度を引き下げる競争により、メーカーや部品サプライヤーには、よりクリーンなエネルギーの需要の高まりに応じるよう圧力が掛かっている。

特に2030年までにエネルギーの42.5%を再生可能エネルギーで賄うという法的拘束力を持つ目標を最終決定している欧州連合(EU)では、プレッシャーが顕著だ。

業界団体のウインドヨーロッパによると、EUが再生可能エネルギーの比率を現在の32%から新たな目標の42.5%に引き上げるには、風力発電容量を今の205ギガワット(GW)から420GWへと2倍以上に引き上げ、洋上風力発電容量は17GWを103GWへと大幅に増やす必要がある。

しかし、今年に入って英国、オランダ、ノルウェーの洋上プロジェクトが、コスト高と供給網の制約のために延期または棚上げになった。また、英国では再生可能エネルギー向け補助金の入札で、洋上風力開発業者からの応札が皆無だった。

ジュピター・アセット・マネジメントの投資マネジャー、ジョン・ウォレス氏は「もし、これがプロジェクトの長期休止につながれば、2030年の再生可能エネルギー目標の多くは、達成が厳しくなるに違いない」と話す。

EUが今年、新たな再生可能エネルギー目標で合意する以前から、オルステッド、シェル、エクイノール、風力タービンメーカーのシーメンス・ガメサといった企業が、洋上風力産業の規模は気候変動目標の達成に不十分だと警告していた。

新型コロナウイルスのパンデミックを発端とする供給網の混乱は、ウクライナ戦争で一段と深刻化。一方で、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、インフレで利益が圧迫されている風力発電事業者もある。

ドイツのエネルギー大手RWEのマルクス・クレッバー最高経営責任者(CEO)は交流サイト(SNS)への投稿で、洋上風力発電産業は急速な拡大が予想されるタイミングでさまざまな問題が重なり、気候変動目標の達成が危うくなっているとの見方を示した。

<巨大化のわな>
洋上風力発電は過去20年間に急成長を遂げ、一部の国ではコストが化石燃料と同等か、それ以下になった。だが、タービンをより大きく、より効率的にしようとする開発競争が性急すぎたのではないかといった指摘が、経営者やアナリストの中から出ている。

タービンの大きさは10年ごとにおよそ2倍になり、2021年と22年に稼働した最大級のタービンはブレードの長さが110メートル、出力が12─15メガワット(MW)もある。

しかし、大型化すればするほど故障しやすくなると、コンサルタント会社サンダー・サイド・エナジーのアナリスト、ロブ・ウェスト氏は指摘する。ブレードは大きくなればなるほどたわみが大きくなり、より剛性の高い補強材が必要になるという。(後略)【10月1日 ロイター】
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ブレードの長さが110メートル・・・信じられないような規模です。「そりゃ、安定性に問題が出るだろう」と素人は考えます。

洋上風力発電については、インフレや金利上昇でコストが膨らんでいること、大型化に伴う問題などのほか、「中国依存」と言う問題も指摘されています。

****米欧で逆風の洋上風力 インフレで建設費高騰、採算合わず****
再生可能エネルギーの切り札として米欧で展開されてきた洋上風力事業が逆風にさらされている。インフレや金利上昇でコストが膨らみ、事業の中止や延期が相次ぐ。

発電量が大きい洋上風力の計画がつまずけば各国の気候変動対策に影響を及ぼしかねず、米自治体や欧州連合(EU)は支援に向けて動き出した。安価な中国製の風力タービンが世界市場を席巻する中、中国依存の課題も浮上している。

崩壊する事業
「洋上風力事業は高インフレと金利上昇という巨大な嵐に見舞われている」
洋上風力最大手のオーステッド(デンマーク)のマーズ・ニッパー最高経営責任者(CEO)は11月1日、そう打ち明けた。(中略)

英石油大手BPも7〜9月期決算で、ノルウェーの同業エクイノールと進める米東部ニューヨーク州沖の洋上風力の減損を計上した。損失が相次ぐ事態を受け、BPの低炭素部門の責任者、アンニャイサベル・ドツェンラス氏は「米国の洋上風力の業界は根本的に崩壊している」と述べた。

欧州でも同様の動きが広がる。スウェーデンの電力大手バッテンフォールは7月、英国の大型洋上風力プロジェクトを停止すると発表した。英国の約150万世帯に電力を供給する予定だったが、開発コストが最大で40%上がることが判明し、見直しを迫られた。エクイノールもノルウェー沖で計画した大型洋上風力の建設を無期限で延期した。(中略)

中国依存も課題に
一方、中国は世界の風力発電市場に攻勢を強め、22年に世界で導入された風力タービンのうち約6割を中国勢が占めた。安価な中国製は欧州メーカーの経営を悪化させている。欧州風力エネルギー協会は、EUがロシア産天然ガスに依存したことでエネルギー危機に陥った教訓をもとに「このままでは依存先が露産から中国産に置き換わる」と危機感を示した。

EUは中国依存を減らす姿勢を鮮明にしており、メディアによると、欧州委には中国からの輸入の一部制限を支持する声もある。欧州委は関税の上乗せを判断するため、中国が補助金支援で欧州での競争を阻害していないかを調査することを検討しているという。【12月2日 産経】
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【原発 「2050年までに世界全体の原子力発電の設備容量3倍を目指す」、日本も賛同】
化石燃料は減らさなければいけない、洋上風力発電も困難に直面している・・・ということで、改めてその必要性が主張されているのが原発。

原発による世界の発電量は2011年の福島第一原発の事故以降、やや落ち込みましたが、現在は回復傾向にあります。特に中国での複数の新設が進んでいます。世界全体では2023年時点で436基で、発電電力の約10%をまかなっています。発電量はアメリカが最も多く、中国、フランスと続いています。

****「2050年までに世界で原子力発電3倍」 日本も賛同 COP28*****
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、米政府は2日、日本を含む22カ国が「2050年までに世界全体の原子力発電の設備容量3倍を目指す」宣言に参加したと発表した。

宣言では、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1・5度に抑える目標を達成する
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ために、原子力が重要な役割を果たしていると指摘。「エネルギー安全保障に利点がある」などとしている。

日本では、5月に原発の60年超運転を可能にした「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立。原発回帰の方針に転換したが、その姿勢が鮮明になった格好だ。

日米以外では、英国やフランス、UAE、韓国などが参加した。【12月2日 毎日】
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原発については、安全性や廃棄物の扱いで議論があるのは言うまでもないところ。

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ジョン・ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は、「われわれは、原子力が他のすべてのエネルギー源に完全に取って代わると主張しているわけではない」

「しかし、科学と現実、エビデンスは、原子力なしでは2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにするのは不可能だと示している」と主張。「(原子力の利用は)科学的な現実にすぎない。政治もイデオロギーも関係ない」と訴えた。【12月2日 AFP】
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どうでしょうか・・・この議論はさんざん繰り返されているところで、ほとんど歩み寄りは期待できない問題ですので今回はパスします。
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