早朝から、相国寺周辺は大変な人出です。
タクシーが何台も総門前に停まり、
続々と老若男女が集まってきています。
みなさま、《若冲展》へ向かう人たち。
私も、人の流れに乗り、
境内の北を目指しましょう。
承天閣美術館はあちら、ですね。
「ネーさ、すごーいこんざつ、でスよ」
しッ、テディちゃ。静かに。
ここはまだ、当日券売り場前の行列です。
はい、券をゲットして、
……入館する方々の行列はここ、ですか。
うわ、これは。
「く、くるしいでスぅ」
テントの下は物凄~い行列です。
延々と人の列が前方に。
美術館の入口は、全く見えません。
ぎっしり、みっしり、人だらけ。
人気の展覧会で並んだことは何度かありますが、
これはちょっと、すごいです。
近年稀にみる、というほどの、大行列人数。
体調はまだベストとは程遠いのに、
どうしましょう……。
いえ、迷ってなどいられません。
行列しなければ、入館できないのですからね。
「きゃッ、いたたァ、せまいよゥ、こわいよゥ」
きっともう少しだよ、テディちゃ。
もう少し……もう少し……だといいんだけど……。
~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~
並びました。
当日券売り場で並び(15分くらい)、
入館するために並び(1時間くらい)、
館内でも並びました。
もうひたすら並びました。
並んだ果て、ついにめぐり合った若冲は、
やはり、素晴らしかったのでした。
展示は、第一展示室と第二展示室に分けられ、
第一展示室の印象は、いわば
「墨」。
大書院の障壁画、昇鯉、龍……
やや抑えた色調の画が多くを占めます。
そして、第二展示室。
絢爛たる色彩の動植糸采絵が、
釈迦三尊像を中心に
天上界の光を放っています。
ひとの手が生み出した、最上の美です。
~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~ ~~
「きれいでスね、ネーさ」
ええ、本当にきれいですね。
言葉もない、言葉には出来ない美しさです。
来てよかった、です。