テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 北の自然と、白の鳥影 ―

2012-11-02 23:26:48 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……むむむッ? これはッ?」
「がるる!ぐるっる……!」(←訳:虎です!これって……!)

  

「あれだッ!」
「ぐる!」(←訳:あれ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はーい、御明察の通り、この箱のは――

  

 今日11月2日発売!
 『iPad mini』!ですよ~♪
 新し物好きのネーさ弟が購入してきました。
 本体をお見せしたいのですが、
 現在あれもこれもとデータを『iPad』やPCから移している最中です。
 落ち着いたらあらためて御披露目いたしますね♪
 では、頭脳をデジタルモード→アナログモードと変換して、
 本日の読書タイム、始まりま~す!
 こちらを、どうぞ~!

  



 
               ―― エストニア紀行 ――



 
 著者は梨木香歩(なしき・かほ)さん、2012年9月に発行されました。
 『森の苔・庭の木漏れ日・海の葦』と副題が付されています。
 小説『西の魔女が死んだ』『エンジェル エンジェル エンジェル』
 エッセイ『渡りの足跡』などの作品で知られる作家・梨木さんの、
 この御本は欧州の小国エストニア旅行の記録なんですよ。

「えェ~?? えすとにあァ~??」
「ぐるるがるるぐる?」(←訳:どんな国なんだろう?)

 エストニアことエストニア共和国は、
 ヨーロッパの北東に位置する国です。
 かつてはソヴィエトに実質支配されていましたが、
 1991年に独立を宣言しました。
 地理的には、ロシア、ラトヴィアと地続きで、
 海を隔ててフィンランドともお隣りさんになっています。
 首都タリンの歴史地区は、世界文化遺産にも登録されているんですよ。

「ふァ~…にほんからはァ~」
「ぐるがるがる~…」(←訳:遠そうだねえ~…)

 そうね、あんまり近いとは言えないわ。
 日本発の直行便はないので、
 著者・梨木さんも、
 まずオランダのアムステルダム・スキポール空港へ、
 そこで乗り換えて、夜遅く、エストニアのタリン空港へ到着したのでした。

「おつかれさまァでスゥ!」
「がるぐっるるー!」(←訳長旅だったよー!)

 深夜の空港は閑散としていますけれど、
 宿泊した市内のホテルは近代的な高層ビル。
 実はね、タリンって、ヨーロッパきってのIT産業の盛んな都市、なんですって。
 ロンドンやパリ、フランクフルトからは少し離れていても、
 ド田舎じゃないんですよ、エストニアは。

「ふむふむゥ、すすんでるゥのでスねッ!」
「ぐるがる!」(←訳:興味津々!)

 ではあれど、
 梨木さんと、編集者さんと、カメラマンさんと、通訳兼ガイドの日本人女性さん、
 4人を乗せた車が向かうのは
 IT産業の会社ではありません。

 東西――ソヴィエトと西欧諸国の狭間に立たされ、
 それゆえに乱開発を免れたエストニア共和国には、
 豊かな自然が残っているのです。

 古い町、深い森、静かな湖を巡り、
 バルト海の淵に立ち、
 その折々に、梨木さんは空を見上げます。
 
 どこかに、コウノトリはいないかしら?と。

「こうのとりィ?」
「がるるるがる!」(←訳:幸運の鳥だよ!)

 幸せの象徴、善いコウノトリといわれる白コウノトリ。
 昔は日本でもよく見られたという野生のコウノトリを、
 目にすることは出来るのでしょうか。

 この御本には、
 エストニアの地図はなく、
 旅程など巡った町のルートマップもなく、
 旅の日時についても(わざと?)明確な記述はなく、
 いわゆる《旅行記》らしさがありません。

 けれど、不思議なことに
 読むのを止められないのです。
 行ったこともなく、
 今後もおそらく行くことはないと思われる遠い国の、
 ゆるやかで、穏やかな旅は、
 どこへ、どのように《着地》するのか――

「こうのとりをォ、みつけるまではァ~」
「ぐるがるるるるっ!」(←訳:終わらないかもっ!)

 ハラハラドキドキとは
 違うタイプの御本を読みたい!というときに、
 おすすめの一冊です。
 連休の読書タイムに、ぜひ~♪
 
コメント
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