テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

坑道に、月の光が。

2012-11-11 23:31:56 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ~ぞろめッ!」
「がるる!ぐるぐるぐるぐるる!」(←訳:虎です!1並びの11月11日!)

 こんにちは、ネーさです。
 震災から20箇月……
 今日は可愛い七五三の御詣り姿のチビっ子たちを見かけましたよ。
 東北のチビっ子たちに、
 世界中のチビっ子たちに、幸あれ!

「みんなァ、げんきにィ!」
「ぐるぐるる!」(←訳:すくすくと!)

 では、東北産の美味しいリンゴ(3Lサイズ!)をかじりながら、
 本日も読書タ~イム!
 こちらを、どうぞ~!

  



               ―― 月を見つけたチャウラ ――



 
 著者はルジ・ピランデッロさん、画像の日本語版は2012年10月に発行されました。
 『ピランデッロ短篇集』と副題にありますように、
 イタリア生まれの作家・戯曲家・詩人として知られる
 ルイジ・ピランデッロさん(1867~1936)の短編小説作品集です。
 
 以前に『カオス・シチリア物語―ピランデッロ短篇集』を御紹介いたしましたが、
 ピランデッロさんの作品集がまた一冊!日本で出版されるとは、
 私ネーさ、感激です~!!

「いたりあァではッ、きょしょうさんッ、なのでス!」
「ぐるるっ!」(←訳:だよねっ!)

 色々と事情があって、
 日本ではメジャーになりきれないピランデッロさん、
 1934年にはノーベル文学賞も受賞している大文豪さんなんですよ♪
 この御本には、
 表題作品の『月を見つけたチャウラ』を始め、
 初心者さんにも親しみやすい、
 ピランデッロさんの短編小説15作品が収録されています。

 特に、
 『月を見つけたチャウラ』は、
 宮崎駿さん監督作品『天空の城ラピュタ』の
 アナザーサイドストーリーじゃないかしら?と想わせる掌編です。

「むむゥ? らぴゅたッ??」
「ぐるるがっるるがる??」(←訳:どこがラピュタなの??)

 パズーが働いていた鉱山と
 よく似た採掘鉱山が、
 主人公チャウラの生活の場でした。
 ただ、環境の点ではチャウラの鉱山の方がはるかに劣悪です。
 機械や工具、トロッコなどはありません。
 ツルハシで硫黄鉱石を採掘し、
 人力で外へ運び出す。
 重労働なのに、賃金はスズメの涙。

 つらく苦しい労働が続く或る日、
 暗い坑道でチャウラが見出したのは――

「どうわッ、みたいィなのでス!」
「ぐるがるるるぐるるる!」(←訳:小川未明さんみたいな!)

 この御本の中で最も有名なのは、
 『甕(かめ)』という作品でしょうか。
 ピランデッロさんの代表作のひとつであり、
 映画化もされ、
 演劇を勉強している学生さんならばきっと御存知の戯曲『甕』。
 ここでは1909年発表の小説版が
 訳出されていますよ!
 演劇青少年さんは、必読!の傑作です。

「ぶたいィはァ、しちりあッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:地中海の島だね!)

 ピランデッロさんが生まれ、育った地シチリア島は、
 数千年をさかのぼれば、
 水と緑に恵まれた豊かな土地でした。
 しかし、樹木が伐採され尽くした後、
 水脈は涸れ、
 土地は荒れて細り、
 強国の支配、
 貴族&地主階級の専横、と災厄に見舞われます。

 ピランデッロさんは裕福な家の出身でしたが、
 その目線、思いは常に、
 運命に翻弄される人びと、
 苛酷な定めに喘ぐ人の側にありました。
 関口英子さんによる流麗な訳文で、
 ゆったり、
 じっくり、
 ピランデッロさんの世界を覗いてみてくださいな~!

「えいがもォ、おすすめッ、なのでスゥ!」
「がるがるる!」(←訳:名作ですよ!)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする