テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

トランプの王さま。

2012-11-05 23:27:31 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……むむゥッ! ないッ! ないィでスゥ!」
「がるる!ぐるぐるーがるぐる?」(←訳:虎です!ないよねーどこにも?)

 こんにちは、ネーさです。
 プロ野球は読売ジャイアンツが優勝して……優勝、したんですよね?
 なのに、おかしいわ??
 優勝記念のセールって全く耳にしないんですけれど??

「つまんなァ~いッ!」
「ぐるがるるるぅ!」(←訳:つまんないよぅ!)

 今からでもいい!全国で華やかにイベントやセールを!と願いながら、
 さあ、週明けの今日も読書タイムですよ♪
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― チューダー王朝弁護士 シャードレイク ――



 著者はC・J・サンソムさん、原著は2003年に、日本語版は2012年8月に発行されました。
 英原題は『DISSOLUTION』、
 本国イギリスでは第五作まで刊行されている人気ミステリシリーズの
 邦訳版第一作がこの御本です。

「ちゅーだァー??」
「ぐるがるる??」(←訳:弁護士さん??)
「じゃあッ、ほうていィみすてりッ??」

 弁護士さんが出てくるミステリだからといって、
 皆が皆、異議あり!と法廷で叫んじゃったりはしませんよ。
 いえ、この御本の主人公である
 マシュー・シャードレイクさんは
 法廷でのお仕事も担当しているのですが、
 他のお仕事も請け負っているんです。

 トマス・クロムウェル卿。

 英国王ヘンリー8世に仕える摂政宗務長官クロムウェル卿が、
 シャードレイクさんの“上司”でした。

 ヘンリー8世って、テディちゃ、虎くんも、聞いたことあるわよね?

「ふァいッ! ふとッちょッ!」
「がるぐるるがる!」(←訳:怖い王さまだよ!)

 眼力&迫力、胴周りサイズもパワフルな、
 英国王ヘンリー8世(1491~1547)。
 そして、ヘンリー8世によって騎士(ナイト)の位を授けられ、
 後に王の側近に上りつめるトマス・クロムウェル卿(1845~1540)。

 シャードレイクさん、荒れた天気の中を
 クロムウェル卿の急な命令に従い、
 宮殿へとやって来ました。

「うゥ~むゥ! このおじさんもォ~」
「ぐるるるっ!」(←訳:なんか怖っ!)

 怖いおじさん、あっと失礼、クロムウェル卿は
 弁護士シャードレイクさんに新たな任務を下します――

   或る修道院を解体に追い込め!

「うぎゃァッ!」
「がっるるっ!」(←やっぱ怖っ!)

 実質は、解体に追い込むべく証拠を探せ、ということなのですが、
 クロムウェル卿の狙いは同じです。
 修道院なぞ何の役にも立たぬ。
 潰してしまえ!
 修道士たちの財産も土地も、
 すべて没収するのだ!
 ――そう、当時の英国には、宗教改革の嵐が吹き荒れていたのです。

 クロムウェル卿に仕えて間もなかった頃のシャードレイクさんでしたら
 喜び勇んで仕事に取り掛かったことでしょう。
 しかし、シャードレイクさんは最近、
 疲れはてていました。
 王と側近たちの政(まつりごと)は
 強欲で、疑心に満ちている……
 そんな気がしてならないのです。
 でも、その思いを口に出したりしたら――

「つかまッちゃうゥのでスゥ!」
「ぐるぐるるる!」(←訳:投獄されるよ!)

 暗澹たる心地で
 指定された修道院へ向かうシャードレイクさん。
 そこで起きている事件を解決し、
 クロムウェル卿に吉報を送らねば、
 明日の我が身はどうなることか……。

 中世の修道院に於けるミステリ、と聞けば、
 多くの活字マニアさんはウンベルト・エーコさん著『薔薇の名前』を
 想い浮かべるでしょうね。
 この御本では、『薔薇の名前』から約200年後という時代設定が採られています。
 雪深いイタリアの修道院と違い、
 チューダー王朝時代の弁護士探偵さんは……ハードボイルド?!?

「えッ? かたゆでッ??」
「ぐるがるる~…がるがるる!」(←訳:そういえば~…なんとなく!)

 英国史マニアさんには
 ぜひとも一読していただきたい歴史風味満載の重厚なミステリ、
 BBCがドラマ化を予定しているそうですので、
 予習の意味で海外ドラママニアさんも、ぜひ!

「でもォ、おうさまにはァ~」
「ぐるがるるるぐるぐるがるっ!」(←訳:近付かない方がいいみたいっ!)


コメント
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