テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

湾を見おろす、花の邸宅にて。

2012-11-16 23:13:11 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 りゅうせいぐんッ、かもーんッ!」
「がるる!ぐるぐるるぅ?」(←訳:虎です!晴れるかなぁ?)

 こんにちは、ネーさです。
 今年のしし座流星群のピークは17日深夜から18日朝……?
 ううっ、寒そうだわねー!

「かんそくにィ、おでかけするのならっ!」
「がるぐるるー!」(←訳:厚着してねー!)

 そうね、防寒モードON!
 ついでに読書タイムのスイッチもON!
 さあ、本日ご紹介いたします一冊は、こちらですよ~!

  



            ―― トマス・グラバーの生涯 ――



 
 著者はマイケル・ガーデナさん、原著は2007年に、画像の日本語版は2012年6月に発行されました。
 英原題は『AT THE EDGE OF EMPIRE  The life of Thomas Blake Glover』、
 『大英帝国の周縁にて』と日本語副題が付されています。

「ぐらばーさんッ?? それはァ~…」
「ぐるるーがるぐるるーがる?」(←訳:グラバー邸のグラバーさん)

 はい、そうです。
 私たち日本人には、グラバーという呼び名と、
 住居であった長崎の御邸『グラバー邸』で知られる
 トマス・ブレイク・グラバーさん(1838~1911)。

 この御本は、グラバーさんの生涯を辿るノンフィクション――
 それも、グラバーさんと同じくスコットランド出身の研究者さんによる、
 よくぞここまで調べ上げた!と感嘆するほど、
 詳細を極めた評伝なのです。

「ふむむゥ!
 げきどうのォ、じだいィ、でスねッ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:明治維新だもの!)

 英語の発音では、
 グラバーよりもグローヴァーの方が近いのでしょうが、
 幕末の頃の日本人の耳には、グラバー、と聞こえたのでしょう。
 十代後半のうちに故国を発ち、
 神秘の地・東洋へ。

 とはいっても、若きグラバー青年が求めたものに
 ミステリアスな要素はありません。

 狙うは、一攫千金!

「ふァ??」
「ぐるるっ??}(←訳:おカネっ??)

 ギャンブル精神をビジネスに同化させ、
 儲けよう!
 商人になって、蓄財しよう!
 そんな風に考えて東洋へやって来る若者が
 当時は大勢いたのです。

 ただ、グラバーさんは、他の一攫千金派とは
 ちょっと違っていました。

 お金を稼いでさっさと故国へ帰るのではなく、
 ニホンという小さな島国に
 留まることを選んだのです。

「ふしぎなァ、おじさんッ、でスねェッ!」
「ぐるがるがるるる?」(←訳:どうしてなのかな?)

 明治の頃の、いわゆる“お雇い外国人”として
 日本の地を踏んだ異人さんたちや、
 旅行者、ジャーナリストとも
 かけ離れた道を歩む、
 商人・グラバーさんの人生は、
 近代日本の黎明期にそっくり重なります。
 激動、という表現がふさわしい時代に――

「あらしィのようなッ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:潮流の変わり目!)

 歴史好きさん、
 幕末史マニアさんに
 ぜひ読んでいただきたい労作であり大作です!
 著者・ガーデナさんにはもちろんのこと、
 訳者である村里好俊さん、杉浦裕子さんにも、
 ねぎらいの拍手を~! 

コメント
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