テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

年月を、解凍すれば。

2012-11-13 23:24:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむむゥ……これはァ、みぎにィ!」
「がるる!ぐっるぐるがる!」(←訳:虎です!こっちのは左に!)

 こんにちは、ネーさです。
 右、左、と忙しいのは……ジグソーパズル?クロスワードパズル?
 いえいえ、
 本棚の模様替えです!
 ふぅ~、脳ミソ全力回転の難解パズルですよ~!

「ぱふゥ~! つかれたァ~!」
「ぐるぐる!」(←訳:くたくた!)

 では、熱いコーヒーなど淹れて……はい!
 ひと休みを兼ねての、読書タイム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  



 
                  ―― 冥闇 ――



 著者はギリアン・フリンさん、原著は2009年に、日本語版は2012年10月に発行されました。
 英原題は『DARK PLACES』、
 日本語題名の『冥闇』には『めいあん』とルビがふられています。
 2009年度のCWA賞にノミネートされた傑作ミステリですよ!

「むむッ!
 けッこうゥ、ぶあついィぞッ!」
「がっるるるぐるる!」(←訳:どっしりの長編だ!)

 厚みのある御本ですが、
 S・キングさんの長編ほど厚くはありませんので、
 安心してくださいね。
 さあ、ゆっくり、
 慌てず騒がず、ページを捲ってゆけば――

 現代と、過去。
 今と1985年を往き来する物語が始まりますよ。

「う~んとォ、むかしのようなァ??」
「がっるっるぐるるる?」(←訳:ちょっと昔のような?)

 1985年、アメリカの或る州の、或る農場で、
 《事件》は起きました。

 訳者の中谷友紀子さんが、訳者あとがきで、
 『カポーティの《冷血》を彷彿とさせる』と形容する、
 悲惨な事件です。

 物語の主人公は、
 その《事件》のたったひとりの“生き残り”――
 リビーさん。

「ええェッ? いきのこりィ??」
「がるる~…」(←訳:それは~…)

 事件の生き残り……
 そう聞いただけで、リビーさんがどのような状況に在るか、
 推察できますね。
 事件が起きた1985年から現代まで24年もの間、
 周囲からの偏見に晒され、
 物珍しがられたり、
 噂の対象にされたり、
 経済的にも苦境に立たされ……。

「けいざいィ、というとォ~…」
「ぐるがるる?」(←訳:お金ですか?)

 ええ、リビーさんの手許にはもう僅かなお金しかありません。
 これからどうしよう……?
 お金を手にするために、私にできることは……。

 苦境から脱出すべく、
 リビーさんは或る申し出を受諾します。

「むむゥ~、それはァ、なにやらァ~…」
「ぐるぐるる!」(←訳:危険な気配!)

 事件について研究している或る団体が、
 当時のことを語ってくれたら謝礼を支払いましょう、と
 提案してきたんです。

 意を決し、
 リビーさんはつらい記憶を掘りおこすことにしました。
 7歳の、あの日。
 わたしの家に、家族の身に、何が起きたのか――

「おもいィだせるのかなァ??」
「ぐるるがるがるぐるる?」(←訳:24年も昔だもんね?)

 キレやすくて、わがままで、
 付き合い難そうな性格のリビーさん。
 強烈なキャラクターの彼女は、
 しかし、ストーリーが進むにつれ、
 意外なしぶとさ、強さを獲得してゆきます。
 長い時間の隔たりを越え、
 一歩一歩、真相へ迫り得る強さを。

「うむッ!
 おうえんしたくゥ、なッてきたでス!」
「ぐるがるる!がるがる!」(←訳:掘り起こせ!どんどん!)

 デビュー作ではCWA賞を受賞、
 第二作目となるこの御本は映画化も予定されており、
 今年発表した第三作目の長編は
 全米でベストセラーになったという著者・フリンさん!
 年末恒例のベスト文庫本リストにもランクインしそうなこの御本、
 活字マニアさん、
 ミステリ好きさんに、おすすめの一冊です!
 ぜひ!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする