テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 書き続ける者の、魂 ―

2012-11-23 23:14:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちぇッ、ちぇッ! あめェなんてェ!」
「がるる!ぐるるがるるぐるがるがる!」(←訳:虎です!お休みなのに残念なお天気!)

 こんにちは、ネーさです。
 勤労感謝の祝日は、
 ダウン・手袋・マフラー!が必要な寒さとなりましたね。
 本日の読書タイムは、
 気候あったかな南を目指して、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  



  
                ―― 天使のゲーム (上巻/下巻) ――



 著者はカルロス・ルイス・サフォンさん、原著は2008年に、画像の日本語版は2012年7月に発行されました。
 スペイン語原題は『EL JUEGO DEL ANGEL』、
 邦訳文庫版は上下巻の2冊に分かれての刊行となっています。

 世界的なベストセラーとなった著者・サフォンさんの作品、
 『風の影』(日本語版は2006年刊)の
 続編……というよりは、姉妹編、と申し上げるべきでしょうか。
 スペインのバルセロナを舞台にした、
 《忘れられた本の墓場》シリーズの第二作です。

「すぺいんのォ、ばるせろなッ??」
「ぐるーるるがるぐる!」(←訳:イメージは南国だね!)

 海に面し、
 ガウディさんの建築で名高い都市・バルセロナ。
 その一角に、『産業の声』新聞社があります。
 
 深夜の編集部フロア。
 煙草の煙とタイプライターの騒音に埋もれるようにして、
 ひとりの若者が机に向かっていました。
 なぜって、
 6時間のうちに、
 物語をひねりださねばならないのです。

 編集の終業間際、
 日曜版の裏面が脱落?!?という事態が発生しました。
 折悪しく、
 代打を務められるような書き手さんは出払っています。

「むむむゥ! きんきゅうじたいィ、でス!」
「がるるぐるる!」(←訳:新聞のピンチ!)

 そこで抜擢されたのが、
 雑用係のダビッド・マルティンさん、17歳。
 
 ダビッドさんは書きます。
 『自分の命でもかかっているかのように』、
 書いては直し、直しては書き。

 そうして、ダビッドさんは得ました。
 10ペセタ!

「ぺせたッ?? おかねでスかッ??」
「ぐるぐるがる~…」(←訳:ということは~…)

 原稿は採用され、
 ダビッドさんはささやかな報酬を手にしたのです!
 それだけじゃありません。
 激励の言葉と、
 部内に机も与えられました!

「すぅごいィッ!」
「がっるぅ!」(←訳:やったぁ!)

 けれど――

  禍福はあざなえる縄のごとし。

 書く喜び、
 読んでもらえる喜び、
 紙面に掲載してもらえる喜びを知って程なく、
 ダビッドさんに投げつけられたのは
 無情な宣告でした。

 連載は打ち切り。
 マルティン、君は……

「くッ、くびィ?!?」
「ぐるるぅ~!」(←訳:そんなぁ~!)

 居場所を失っても、
 でも、書きたい。

 書くために、
 ひたすら書き続けるために、
 ダビッドさんが択った道とは――

「どッ、どうするのッ??」
「がるるがるる??」(←訳:何が始まるの??)

 『センペーレと息子書店』、
 『塔の館』、
 『忘れられた本の墓場』……
 
 『風の影』に登場した様々なモチーフ、言葉、場所が
 この作品にも顔を覗かせます。
 混沌とした、
 けれどとてつもなく魅力的な、
 都市バルセロナの物語は、
 ミステリ好きさんにも歴史好きさんにも、
 そしてノワールドラマ好きな御方にも、おすすめです!
 今年度のベスト本ランキングに
 必ずや名を挙げられる一冊!
 活字マニアの皆さまは、どうか読み逃しなきよう!



 
コメント
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