テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ムーミンたちの旅路 ~

2014-08-01 21:35:03 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッほォ~いッ♪おまつりィ~♪」
「がるる!ぐるるがるるる~!」(←訳:虎です!八王子まつりだ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、今日から八王子まつり!……なのですが、
 あまりの暑さに夜店をひやかすことも出来なかったネーさです。
 でも、あちこちから聞こえる祭り囃子は風情がありますよ♪
 八王子にいらした御方はた~んと楽しんでいってくださいね。
 さあ、では本日の読書タイム、始まり始まり~♪♪

  



             ―― だれも知らないムーミン谷 ――



 著者は熊沢里美(くまざわ・さとみ)さん、2014年5月に発行されました。
 『孤児たちの避難所(シェルター)』と副題が、
 『the little-knouwn truth about moominvalley』と英語題名が付されています。

「ふァ? だれもォ、しらないィ??
 テディちゃ、しッてるでスよゥ!」
「ぐーるるるがるぐるるる!」(←訳:ムーミンは有名だもんね!)

 北欧発の可愛いキャラクター、
 ムーミン。

 ロンドンの新聞にコミックが連載され、
 その後、
 日本で制作されたアニメが多くの国で放送されたために
 世界中で知られるようになった、ムーミン一家と友人たち……

 でも、活字マニアさんならば、よく知っていますよね。
 ムーミントロールの“トロール”って、
 どちらかというと悪い妖精のことでしょ?
 原作者トーベ・ヤンソンさんが描いた挿絵のイメージと
 可愛らしいアニメの絵柄は、あんまり似てないわ。
 登場するムーミンたちの性格や行動も
 微妙に、いえ、けっこう差がある……。

「ふゥむッ? そうだッけッ??」
「がっるるるぅ?」(←訳:だったかなぁ?)

 著者・熊沢さんは、アニメではなくヤンソンさん著の原作作品に触れ、
 ムーミンの物語を見つめ直すことになりました。

 その結果、熊沢さんの眼に映ったムーミン谷の住人たちとは、

  《孤児の集団》。

「ええええェッ?」
「ぐるぅ?」(←訳:孤児ぃ?)

 捨て子であったムーミンパパ。
 孤児院から脱走したパパは、
 高波から一人の(一匹の?)ムーミントロールを救出します。
 彼女こそが、ムーミンママ。
 ほどなく息子のムーミンが誕生して
 一家が暮らし始めたムーミン谷のムーミン屋敷には、
 ムーミンが連れてきた孤児たちが同居するようになりました。

 スニフ、スナフキン、スノークの女の子……。
 みな、《避難所(シェルター)》に身を寄せた孤児、だったのでした。

「そッそうなのッ??」
「がるぐるるるるっ!」(←訳:そういわれればっ!)

 《避難所》という視点に立って、
 熊沢さんはムーミントロールたちのもうひとつの物語を
 発見してゆきます。

 知っているつもりでいて、
 実は殆ど知らなかったムーミンたちの歩み。
 
 とりわけ衝撃だったのは、
 原作者トーベ・ヤンソンさんが
 スウェーデン系フィンランド人という、言語的少数民族であったこと、でしょうか。
 もともと、原作はもともとスウェーデン語で記述された、のだそうです。
 一作目の『小さなトロールと大きな洪水』の刊行は1945年、
 それがフィンランドに訳されたのは1955年のこと。
 しかも、その後にヤンソンさんは原作に改稿を施しました。
 本当の第一作目のムーミンは、いまはもう消えてしまった……?

「まかふしぎィ!」
「ぐるがる!」(←訳:奇怪千万!)

 原作者ヤンソンさんはムーミンの物語に何を託し、何を表現しようとしたのか。

 この御本の著者・熊沢さんが達したのは、
 なるほど!
 と読み手を唸らせる“推理”です。

 評論ではあれど、
 そこらへんのミステリに負けない《探求》の一冊、
 全活字マニアの皆さまにおすすめ!ですよ~♪

「むーみんのォあにめェ、だいすきなァ、おかたもォ♪」
「がるぐる~!」(←訳:読むべし~!)




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする