テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― ちいさな、お城のうた ―

2014-08-29 21:46:43 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでスッ!
 ♪るるゥ~♪かきくえばァ~♪」
「がるる!ぐるぐるがる~♪」(←訳:虎です!鐘が鳴るなり~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、法隆寺、と。
 子規さんが眺めた旅の空のように、
 本日の読書タイムではゆったり広がる《旅》エッセイ本を御紹介しましょう。
 こちらを、どうぞ~♪

  



              ―― ちいさな城下町 ――



 著者は安西水丸(あんざい・みずまる)さん、2014年6月に発行されました。
 イラストレーター、漫画家、小説家、エッセイ、絵本、書籍の装幀、と
 八面六臂の活躍で活字マニア諸氏にはお馴染みのクリエイター安西さん……
 この御本は、
 今年2014年3月に惜しくも急逝された安西さんの、
 エッセイ集としては最後の作品になるのでしょうか。

「きゃわゆいィ~いらすとッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:独特の味わい!)

 御本の表紙には、
 安西さんらしい、軽やかなタッチのお城のイラストが描かれています。

 ええ、お城です。
 小さな城下町を訪ねることが、
 安西さんの趣味だったのです。

「ふむゥ~? ちいさいッていうのがァ~」
「がるるるぐる?」(←訳:ポイントなの?)

 御本の冒頭で、安西さん、こう記しています。

   《ぼくの城下町の好みは十万石以下あたりにある》

   《なまじっか復元された天守閣などない方がいい》

   《わずかな石垣から漂う、敗者の美学のようなものはたまらない》

 観光の目玉になっている仰々しい城郭は、ダメ。
 ちょっと鄙びていて、
 でも地元の人には大事に思われている、
 そんなお城がお好きだったのかしらね?

「それならァ、きッとォ~!」
「ぐっるるがるるる!」(←訳:いっぱいありそう!)

 先ずは新潟県村上市の、村上城址にて。
 親友の小説家・村上春樹さんと
 村上新聞社前で村上新聞を手に
 記念の写真をパチリ、したお話。

 次は、
 映画&小説の『のぼうの城』で広く知られるようになった
 埼玉県行田市の忍(おし)城址へも。
 古墳を見物して、
 地元の名物?もいただいて。

「もぐもぐッ、うむッ、いけるゥ!」
「がるるる!」(←訳:美味しい!)

 合間に、ちょっと思ったりします。

   《歴史や歴史本はことさら劣勢側に味方して書かれている場合が多い》

「ついィ、ひいきィしちゃうんでス!」
「ぐるるぅ~!」(←訳:だよねぇ~!)

 はたまた、広告代理店に勤めていた時代の上司さんを偲び、
 彼の故郷の静岡県掛川へ。
 ここの城郭は立派に再建されてしまっているようですが、
 まあいいでしょう、
 藩主(城主)がめまぐるしく変わった経緯を持つ、
 五万石のお城です。

 という風に、
 これ!と見込んだ小さな城下町への旅、20編。
 うち、3編が描き下ろし作品となっています。

 いずれの旅も、
 歴史の解釈を押し付けるものではなく、
 お金をかけまくった大名旅行ではなく、
 質実でありながら、どこか優美!なんです。

 これみよがしではない、安西さんの歴史に関する知識の深さが
 そこここから湧き出ていますよ。

「のんびりィのォ、じょうかまちあるきィ!」
「がるぐる!」(←訳:ほのぼの!)

 人柄そのまま、
 イラストの印象そのままの、
 心やすらぐ旅のエッセイ。

 8月の末、
 周りは騒々しいけどほんわか読書を愉しみたいわ!と願う活字マニアさんに
 おすすめですよ。
 全国のお城マニアさんも、ぜひ♪




 
コメント
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