テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

つるりん、は歴史です。

2015-06-18 21:49:20 | ブックス
「こんにちわッ、テデイちゃでス!
 あれもようゥでスよゥ!」
「がるる!ぐるるっ!」(←訳:虎です!嵐ですっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 荒れております、コパ・アメリカが。
 ブラジルのネイマールJrくん、レッドカードは駄目でしょう!
 チリのビダルさん、酒酔い運転でフェラーリ潰したらいかんでしょう!
 悪いことをすると、
 こちらの御本の登場人物さんたちに怒られますよー!

  



             ―― 修道士ファルコ ⑤ ――



 著者は青池保子(あおいけ・やすこ)さん、2015年6月に発行されました。
 ええ、本日の読書タイムはコミック、
 それも、中世の修道院の修道士さんたちが主役!
 という、珍しいテーマの作品です♪

「おぼうさまァ、でスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:清廉で清貧!)

 清く、正しく、美しく。
 それが修道士さんたちの生活であろうと思いきや、
 ドイツのリリエンタール修道院で
 日夜聖務に励むお坊さま方は、
 時折り、いえ、非情にしばしば
 サスペンスフルな騒動に巻き込まれます。

 時代は、1370年前後、でしょうか。
 カール四世がドイツを統治していた頃のお話です。

「そういわれてもォ~…」
「がるるるるる!」(←訳:分かりにくい!)

 年代とか王様って言われても
 イメージが湧かないなぁ?と言う御方は、
 ウンベルト・エーコさん著『薔薇の名前』か、
 同名の映画作品を想い浮かべてくださいね。

 『薔薇の名前』は、
 1327年の北イタリアを舞台にした物語でしたが、
 こちらの『修道士ファルコ』も、
 やはり冬には雪深く、
 夏には緑濃い森の地の……

 亡霊と陰謀と横領の物語!

「こッ、こわいィ~ッ!」
「ぐるるがるっる!」(←訳:危険だ中世って!)

 ④巻では、
 廃墟となった湖上の城にまつわる怖ろしい噂と、
 噂に隠された陰謀を突き止めようとする
 修道士さんたちの果敢な行動が描かれました。

 そして、この⑤巻は物語の後半部分、
 陰謀を暴く修道士さんたちと
 暴かせまいと足掻く“悪モノ”側の
 攻防が目玉となります。

「……でもォ、めにィつくのはァ~…」
「がるぐるる!」(←訳:ツルピカ頭!)

 ええ、そうなのよねえ。
 ページのコマを埋めるのは、
 トンスラ(剃髪)という、
 現代ではとーっても珍奇な、ヘアスタイル。

 私たち日本人には、
 日本史の教科書に載っているあの画――
 フランシスコ・ザビエルさんの肖像画でお馴染みですわ♪

「あたまのォ、てッぺんがァ~」
「ぐるるる??」(←訳:つるりん??)

 つるりんは、自然な髪型ではないのです。
 頭頂部を、わざと剃りあげる。
 それが、中世のキリスト教における修道士さんたちの髪型だったのでした
 (トンスラは1968年のバチカン公会議で廃止が決定されました)。

 そんなトンスラスタイルに満ち満ちた修道院の中で、
 唯一、俗世の者のような、
 剃りあげナシ、のヘアスタイルをしているのが
 我らが主人公・ファルコさん。

 或る複雑な事情からトンスラを禁止されている彼は、
 服装をちょこっと変えれば
 修道士には見えない!という利点?のおかげで、
 内外のトラブル解決のため、
 修道院の平和を保つため、
 何かにつけ酷使されることに。

「こんかいィもォ、ふんとうゥしてまス!」
「がるるぐるる!」(←訳:平和のために!)

 準主役さん・脇役さんたちのキレ具合が冴えまくる⑤巻、
 平凡な少女マンガ&少年マンガでは物足りないわ!
 歴史モノが好き!という
 活字マニアさん漫画マニアさんにおすすめです。
 トンスラ溢れる“奇蹟”のコミックを愉しんでくださいね♪




 
 
コメント
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