テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《この一枚》を手に。

2015-06-19 21:39:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 ぶるるる~ッ!」
「がるる!ぐるるるっ!」(←訳:虎です!寒いですっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨寒ってヤツに見舞われている、ここ東京・八王子……
 厚手のパーカなど着込みながら、
 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



             ―― キャパへの追走 ――



 著者は沢木耕太郎(さわき・こうたろう)さん、2015年5月に発行されました。
 『Chasing Capa』と英語題名が付されています。
 この御本は、
 2013年に刊行された沢木さん著『キャパの十字架』と対(つい)の、
 或いは双子の兄弟のような存在、と申し上げるべきでしょうか……。

「にてるけどォ、ちがうゥのでス!」
「ぐるがるるるぐるるるるがる!」(←訳:でもお父さんお母さんは同じ!)

 父をローバート・キャパさん、
 母を著者・沢木さんとして誕生した2冊。

 『キャパの十字架』は、
 知らぬ者とてないキャパさんの代表作、
 世界に彼の名を広めた写真《崩れ落ちる兵士》をめぐる御本でした。

 写真が撮影された場所はどこだったのか?
 兵士が崩れ落ち行くあの場面は、
 本当に狙撃された瞬間だったのか?

「すりりんぐなァ、のんふぃくしょんッ、だッたでス!」
「がるるるぐーるるるるる!」(←訳:ほとんどハードボイルド!)

 写真《崩れ落ちる兵士》ただ一枚を追った『キャパの十字架』とは逆に、
 こちらの『キャパへの追走』で沢木さんが探し求めるのは、
 キャパさんが遺したその他の作品――
 《崩れ落ちる兵士》ほど有名ではないけれど、
 これもキャパさんの代表作といえる写真たちの撮影地です。

「ふァ~…せかいィじゅうゥ、でスよゥ!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:遠いとこだね!)

 スペイン、アメリカ、メキシコ、
 イギリス、イタリア、フランス、
 ドイツ、中国、そして日本。

 キャパさんがカメラを向けたそこは、
 現在、どんな様子をしているのだろうか。

 昔のまま?
 それとも、影も形もない、のか……?

「のこッてるゥ、かなァ?」
「がるるっるぅっるぐる?」(←訳:なくなっちゃったかも?)

 追いかける旅。
 回顧する旅。

 御本冒頭の『Ⅰ 旅するキャパ』に記されている
 キャパさんの略伝に愕然とさせられます。

 政情の悪化、戦争の悪化と同調するかのような、
 短い人生――
 『崩れ落ちる兵士』を撮ったのは22歳の時。
 インドネシア戦争下のハノイで亡くなったのは、
 40歳の時でした。

「ううむゥ、わかいィ~…!」
「ぐるるるる~…!」(←訳:惜しまれる~…!)

 沢木さんの旅は、
 キャパさんの人生の軌跡に沿って、
 国から国へ。

 終章『Ⅲ ささやかな巡礼』は
 旅のゴールにふさわしい、
 悲しくも優美な《結び》の記録です。

「ながァいィ、たびでしたでスゥ~…」
「がるぐるるるがるる!」(←訳:いや充実の旅でした!)

 『キャパの十字架』を読んだ御方は、こちらの御本も、ぜひ。
 2015年度のノンフィクションBESTに推したい一冊ですよ!




 

 
コメント
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