テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

見えない《危険》が、見えてくる…!

2016-11-29 22:10:46 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 いるみねーしょんッ、ぴかぴかァ、なのでスゥ!」
「がるる!ぐっるるるるっ!」(←訳:虎です!光ってますねっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 あちこちでイルミネーションが美しい季節です。
 書店さんにもクリスマスギフト用の豪華な御本が並んでいますが、
 本日の読書タイムでご紹介いたしますのは……
 背筋がひんやり寒くなる一冊?でしょうか。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



        ―― 最も危険なアメリカ映画 ――



 著者は町山智浩(まちやま・ともひろ)さん、2016年10月に発行されました。
 『The Most Dangerous American Mouvies[Ever]』と英語題名が、
 『《国民の創生》から《バック・トゥ・ザ・フューチャー》まで』と
 日本語副題が付されています。

「あわわゥ、ひょッ、ひょうしィがァ~…」
「ぐっるぅがる!」(←訳:めっちゃ怖い!)

 なにやら穏やかならぬ、
 闇夜のような悪意を感じさせる御本の表紙デザインを眺めつつ……

 唐突ですが、皆さま、
 先日NHKのBSプレミアムで放送された
 『獄門島』を御覧になりましたか?

 名探偵・金田一耕介を長谷川博己さんが演じたことで、
 いえ、それ以上に、
 原作者の横溝さんも驚くに違いない物語後半の
 思い切った展開と、
 放送禁止用語の壁すら撃破する仰天の演出で
 いま大評判となっているのですけれど。

「ひょうばんッというよりもォ~!」
「がるぐる!」(←訳:騒然です!)

 『獄門島』というミステリ作品は、
 狭い世界に渦巻く
 怨念に近い感情が動かす物語でした。

 そして、
 この御本で取り上げられているアメリカ映画にもやはり、
 怨念、嫉妬、呪い、といった感情が
 フィルムの底に焼き付けられています。

 映画史に名高い作品も、
 莫大な興行収益を挙げた作品も、
 日本で人気のあのシリーズ作品も、
 著者・町山さんは果敢に“読み解き”ます。

 一見、口当たりのいい、
 愉快で、
 痛快でさえあるものがたり。

「でもォ、それはァ??」
「ぐるがるる?」(←訳:本物なのか?)

 楽しい場面の裏側で、
 効果的なBGMの背後で、
 実際には欺瞞が、
 解釈のすり替えが、
 都合が悪いことはなかったことにする歪曲が
 行われているのではないか。

 大作『国民の創生』、
 エィズニー作品『空軍力による勝利』、
 さらには、
 娯楽作品『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、
 『フォレスト・ガンプ』の中にも、
 笑いごとではない、
 笑いごとでは済まされない思想が隠されている――

 こう書くと、
 それは考え過ぎだよ、と反論の声も
 上がりそうですけれども。

 著者・町山さんの視点を借りると、
 読み手の私たちにも見えてくるのです。

「なにかがァ、おかしいィ?」
「がるるぐるるる?」(←訳:これでいいのか?)
「よくないィ!」

 特に、《バック・トゥ・ザ・フューチャー》シリーズと
 『フォレスト・ガンプ』について語られた章では、
 私たちは想わざるを得ません。

 ボブ・ディランさんが歌った『風に吹かれて』の意味を。

 ジョン・レノンさんの『イマジン』を。

「わすれられないィ、うたでスゥ!」
「ぐるがるぐるるるるる!」(←訳:今も歌い継がれてます!)

 書店さんでは映画やアートのコーナーに
 配架されているであろうこの御本ですが、
 映画論を超え、
 文化論/文明論として読むこともできると思います。

 読み進むにつれ、
 米国に新大統領が誕生しようとしているいま、
 不安は増すばかりなのですけれど……

 書物を愛する方々も
 映画を愛する方々も、
 勇を鼓して、
 ぜひ、一読を。
 
 
コメント
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