テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 月に捧ぐ ~

2016-11-22 22:11:20 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥ~、むずかゆいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるるる!」(←訳:虎です!痒くても掻かないで!)

 こんにちは、ネーさです。
 えーと、痒いというか、インフルエンザの予防接種後なので、
 腕がダルくて、重たいような感じですね。
 そんなダルさもスパっと吹き飛ばすべく、
 さあ、読書タ~イム!
 本日は、優雅でスリリングな時代絵巻を、どうぞ~♪
 
  



          ―― 陰陽師 玉兎ノ巻 ――



 著者は夢枕獏(ゆめまくら・ばく)さん、2016年9月に発行されました。
 『玉兎』は『ぎょくと』とお読みくださいね。
 もはやヘタな説明の必要はありますまい、
 《陰陽師》シリーズの最新巻です!
 
「むむッ? あれれッ?」
「ぐるるぅ?」(←訳:変だなぁ?)
「ないでスよッ?」

 そうね、御本の表紙を捲って、
 目次のページを目にして、
 そこで、あれれ?と思う方々は多いかもしれません。
 かく申す私ネーさも、そのひとり。

 《陰陽師》がシリーズ名で、
 ならば、《玉兎ノ巻》は巻名で、
 えーと、表題作品っていうのは、どれかしら??

 月兎という題名の作品は、
 見当たらないんですけど……?

「こッちのォ、これッ??」
「がっるるぐる?」(←訳:そっちのかも?)

 収録されている短編9作品のうち、
 作品名に『月』の字が入っているのは、
 『道満月下に独酌す』
 『月盗人』
 『木犀月』。
 
 ウサギちゃんは、その中の、どこにいるのか?

「なやみィまスゥ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:どれもアヤしい!)

 いえいえ、悩むまでもないのです。
 《陰陽師》ファンの御方は、きっとお分かりのはず。
 ウサギちゃんがひそんでいるのは……

 『嫦娥の瓶』

 という作品だということを。

「ふァ?!?」
「がっるー?」(←訳:そっちー?)

 御本の2番目に収録されている
 『嫦娥の瓶』。

 嫦娥(じょうが)、あるいは姮娥(こうが)とも称される
 月に住む仙女さんが、
 この物語の陰の主人公なのですよ。

「やぱりィ、つきッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:月つながり!)

 おはなしの幕開けは、例によって例のごとく、
 安倍清明(あべのせいめい)さんと
 源博雅(みなもとのひろまさ)さんが
 酒杯をゆったり傾けているシーンから始まります。

 今宵、ふたりが待っているのは、月蝕。

 まだかっまだか、と夜空を見仰ぎ、
 おお、ついに!
 月の端がわずかに翳った!
 という瞬間に、
 あ~あ、来てしまったようですよ、
 不意のお客さんが。

「だれでスかッ、ぷんぷんッ!」
「がるる!」(←訳:不粋な!)

 やって来たのは、
 藤原兼家さんの息子の、道長さん。

 その頃、
 京の都でいちばんの権力者といったら、
 この兼家&道長父子なんですけど、
 権力者であるはずの道長青年が、
 清明さんに頭を下げます。

   我が屋敷に足をお運びいただくわけには
   ゆきませんでしょうか――

「なにかッ、ありましたでスねッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:怪しのことだ!)

 兼家さんの御屋敷を見舞った出来事、とは。

 どこか中島敦さんの『山月記』を思わせるような、
 大陸の古典文学の香り漂う、
 美しく、ファンタジックな一篇です。

 そして、この作品だけではなく、
 御本のあちこちに月のイメージ、
 月にまつわる伝説も織り込まれていますので、
 どうか皆さま、ゆるゆると読み進めながら
 探してみてくださいね。

「うさぎさんにィささげるゥ~!」
「がるるぐる!」(←訳:記念の作品!)

 巻末のあとがきも、お読み逃がしなく~♪



 
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