テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

賞賛と、ため息と?

2016-11-01 22:07:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、わんッわんッわんッ!」
「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!ワンコの日だねえ!)

 こんにちは、ネーさです。
 11月1日はワン・ワン・ワンで“犬の日”……なんですけど、
 “お寿司の日”でもあるらしゅうございます。
 なぜまたお寿司?と首を傾げつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの《人物評》エッセイ作品を、どうぞ~♪

  



           ―― マスラオ礼賛 ――



 著者はヤマザキマリさん、2016年8月に発行されました。
 『パピルス』『フィガロ・ジャポン ヴォヤージュ』
 『暮しの手帖』他に掲載したものを加筆・修正し、
 書下ろし作品も加えて構成されたこの御本は、
 著者・ヤマザキさんが奏でる《愛の賛歌》!……の一種でしょうか。

「ふァいッ! しつもんッでスゥ!」
「ぐるるるっるがぅる?」(←訳:マスラオってなぁに?)

 御本の表紙の、右側に、
 小さな字でその答えが記されています。

 主意は、《りっぱな男》《勇気のある強い男》。

 けれど、ヤマザキさんは、
 そう、あの『テルマエ・ロマエ』で古代ローマと現代日本を
 お風呂を通じて力技でくっつけ、
 嫌いといいながらも『スティーブ・ジョブズ』を漫画に描いてしまう、
 あのヤマザキさんですから、
 《男性論》をテーマに据えても
 一筋縄では行きません。

  強い生命力?

  責任感?

 そういった後天的に作られた人為の似非(えせ)要素を、
 いっさい求めない――

「ふわわァ~…」
「がっるるるぅ~…」(←訳:そっそうかぁ~…)

 たとえば、『テルマエ・ロマエ』にも登場した
 ハドリアヌス帝。

 ローマ帝国の第14代皇帝さんを
 ヤマザキさんはこう評します。

   妻もいるのに 子も残さず、
   やりたいことだけ コツコツと

「そうゥいわれるとォ~…」
「ぐるがるるる~!」(←訳:反論できない~!)

 ノッポさん――
 ええ、かつてNHK教育TVで大人気だった『できるかな』の、
 あのノッポさんには、

   この世に なくてもいいものを
   ひたすら生み出す力

   大きくて広い器の持ち主

 と賛辞を惜しみません。

「うんうんッ、のッぽさんはッ!」
「がるぐるる!」(←訳:最高だよね!)

 ヤマザキさんが絶賛する“男”衆さんは他に

 安部公房さん、
 チェ・ゲバラさん、
 水木しげるさん、
 スティーブ・ジョブズさん、
 山下達郎さん、
 空海さん、
 マルチェッロ・マストロヤンニさん、
 とり・みきさん……

 けれども、絶賛よりも悲嘆の思いを隠せない人物が、
 ひとり。

 十八代目 中村勘三郎さんは、
 ヤマザキさんにとって
 《巨大発電機》にして
 《日本男性の中で恐らく最もパワフルな人であった》
 のでした。

「ふゥむゥ、はつでんきィでスかァ~?」
「ぐるがるる!」(←訳:超人みたい!)

 愛情と、
 この上なく優しい目線と、
 ほんのちょっとシニカルな見方が混在する各論の中にあって、
 勘三郎さんを書いた文章からは
 特別な敬意が感じられます。

 同じ時代に生を享けたクリエイターへの、
 切ないような愛惜……。

「いだいィなるゥ、かぶきものッ!」
「がるるぐる!!」(←訳:千万両役者!!)

 感情の振れ幅MAX!な
 評論エッセイ作品は、
 『テルマエ・ロマエ』で大笑いしちゃった方々に、
 そして文化論好きな御方にもおすすめです。
 ぜひ、一読を~♪

 
コメント
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