テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― ドラコニアの宝石匣 ―

2017-09-24 22:16:05 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きんもくせいィがァ、さきましたァでス!」
「がるる!ぐるがる~♪」(←訳:虎です!佳い香り~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 秋爛漫?な金木犀の香りに包まれながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 今年(2017年)で没後30年、
 もうすぐ世田谷文学館での企画展も予定されている
 あの作家さんの“傑作集”を、どうぞ~!

  



         ―― 澁澤龍彦玉手匣 ――



 著者は澁澤龍彦(しぶさわ・たつひこ)さん、
 編者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、2017年7月に発行されました。
 『un ecran doraconia』と仏語題名が付されています。
 また、『玉手匣』には『エクラン』とルビがふられていますよ。

「しぶさわァさんッ!」
「ぐるるる!」(←訳:伝説の人!)

 澁澤龍彦さん(1928~1987)は、
 フランス文学者さんであり、評論、エッセー、
 そして小説家さんとしても知られる御方ですが、
 そんな澁澤さんの作品の中から、
 編者・東さんが抽出したのは、
 
 《全部で九十九のエッセンスにより構成されたアンソロジー》。

 東さんによる御本冒頭の『まえがき』を経て、
 プロローグの『夢の玉手箱』から
 エピローグの『澁澤龍彦という夢』まで、
 どのページをひらいても
 澁澤さんの名文がほろほろとこぼれてきます♪

「おしゃれェさんッ、でしたでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:驚倒のセンス!)

 あらゆる情報が溢れ返っている現代に比べて、
 まだ絶対的に情報の量が少なかった時代、
 澁澤さんは確かに《知の巨人》の一人でした。

 たとえば、
 いま、上野の美術館で展覧会が開催されている
 アルチンボルトさん。

「やさいでェ、しょうぞうがッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:お花で横顔!)

 戯れ絵のようなアルチンボルトさんの作品を
 日本で正当に評価したのは
 澁澤さんが最初じゃないかしら?

 他にも、博物画や、
 仕掛け満載のイタリアの庭園のお話、
 中世の伝説のお話などなど、
 澁澤さんが“その地平を拓いた”といえるジャンルは
 数えきれないほど!

「いまでもォ、しんせんッなのでス!」
「がるぐるがる!」(←訳:今もなお斬新!)

 この御本では、
 《ドラコニア》
 《オブジェ》
 《文学》
 《美術》
 《生涯》
 のパートに分けて
 澁澤さんの文章が紹介されています。

 中でも、これはチカラ入ってるなぁ~と
 読んでいてウフフと頬が緩んでしまうのは、
 本文96ページの
 『天井界の作家』!

「これはァ~もうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:本気です!)

 天上界へ連れていってくれる作家さんとして
 澁澤さんが慕っていたのは、
 泉鏡花さんでした。

 短い中にも、
 澁澤さんの鏡花さんへの憧れ、共鳴、
 賛美の思いが凝ったこの文章、
 鏡花さんのファンの方々は必読です!

「てんらんかいィのォよしゅうゥにもッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:おすすめです!)

 《澁澤龍彦 ドラコニアの地平》展は、
 東京・世田谷区の世田谷文学館にて、
 10月7日から開催されます。

 編者・東さんが案内してくれる
 澁澤さんの世界=ドラコニアの精髄を、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ、この《宝石匣》で味わってみてくださいね♪
 
 
  
 
 
  
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